エピローグ

変化




 乙川達は、旅の途中で街道の隅で休む。

 これまでにスケイスが仲間にした馬に乗ってきたが、乙川のお尻が限界を迎えたためだ。


「いてて、俺のケツが。二つに割れる」

「大丈夫か乙川クン。俺が確かめてあげようか」

「嫌だよ。よるな変態が」


「どうしても我慢しがたいというのなら、もう少し休憩時間を延ばしましょうか。先を急ぐとはいっても、体調を崩しては元も子もありません」

「いや、そこまでじゃないけど、途中村とかあったらクッションになりそうなもの買いたいな」

「予定より遅くなりますが、仕方ありませんね」


「なあ、スケイス。もうちょっと揺れない馬いないのか」

「それは難しいね。これでも気性が穏やかで人の指示に従いやすい個体を選んでいるんだ」

「そっか、それなら仕方ねーか」


 そこにあった会話は、旅が始まる前には考えられなかったものばかりだ。


 戦闘が必要な場面でも彼らは、しっかりと連携して互いにフォローしあいながら、戦う。


「おっ、魔物発見。こっちに来るみたいだぞ」

「よし、やるぞお前ら! 乙川クン、俺様頑張るからちゃんと見ててねー」

「相手は頑丈なタイプですね。しっかり弱点を狙って攻撃していきましょう。一人で戦わないで済むので楽です」

「援護は任せて、他の動物たちにも手伝ってもらうよ」


 どうなる事かと思った魔王討伐の旅だが、この調子なら何とかなりそうだなと乙川は安堵していた。






「乙川クン、俺様ちょー頑張ったぜ? さあ、褒めて!」

「まったく最後のとどめをさしたくらいで、あなたはよくそんなに調子に乗れますね。弱点を見つけたのはこの私ですよ」

「僕も頑張った。乙川には知っていてくれると嬉しいかな」


「ーーいや、やっぱりちょっと不安だわ!」


 魔物を倒すなり一斉に寄り集まってくる野郎×3を見て、乙川は言い表しようのない不安にさいなまれた。



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勇者召喚されたら最悪パーティーで無茶な旅を強要されたんだが 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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