第41話 双子がやって来たんや

昼下がり。

居住区のエントランスに、明るい声が響いた。

「ハルくーん! 来ちゃったよ!」

「今日はよろしくお願いします」

アオナとピナ、双子の配信者姉妹が、そろって姿を現した。

快活な姉と、落ち着いた妹。二人の雰囲気は対照的だが、揃って笑顔を向けられると、ハルキは思わずたじろぐ。

「……ほんまに来よったんか」

小声でつぶやくと、隣のミオが肘でつついてきた。

「ほらね、言った通りでしょ。セリナに続いて、双子も動くって」

「……オレの心臓に悪いわ」


そこへ、アキナが人間の姿で現れた。

白いワンピースに身を包み、柔らかな笑みを浮かべている。

「初めまして。私はアキナ。任谷ハルキさんの生活支援ユニットです」

「えっ……人間?」

アオナが目を丸くする。

「すごい……本当に人間みたい」

ピナは興味深そうに観察していた。

「私は人間型素体を使用しています。任谷さんの日常を支えるために」

アキナは落ち着いた声で説明する。


「……なんか、家族紹介みたいやな」

ハルキは頭をかきながら苦笑した。

「家族、ねぇ」

ミオが小さくつぶやき、視線を逸らす。

「まあ、任谷さんにとって私たちは“家族以上”になる存在ですわ」

カナメがさらりと付け加え、場をかき回す。

「ちょ、カナメ! そういう言い方やめぇや!」

ハルキは慌てて声を上げた。


アキナが一歩前に出る。

「補足します。昨夜、任谷さんとカナメさんは――」

「アキナ! それ以上は言わんでええ!」

ハルキが慌てて制止する。

「……昨夜?」

アオナとピナが同時に首を傾げる。

「ふふ、任谷さん。隠し事は難しいですわね」

カナメが意味深に笑い、ミオは頬を膨らませた。

「……ほんま、オレの平穏どこ行ったんや」

ハルキは深いため息をついた。

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