第じゅうろく話 踏切

莉奈りな

【なんだか、暗い未来の話になってきた。

こんなにも青く澄んだ空なのに。

桜も満開で、大仏様もにこやかなのに。】





(車椅子が倒れる音)ガチャ!!!





雷人らいと

「あれ、なんの音?」


かすみ

「線路に何かあるよ!?」


萌音もね

「踏切に車椅子が倒れてる!あ!」


莉奈りな

武佐士むさしくんが走り出した。

みんなも続いた。あたしも。

踏切から外れた線路の上に、誰か人がうずくまっている。

見覚えのある車椅子も倒れている。】


雷人らいと

「おばあちゃん、大丈夫?」


かすみ

「おばあちゃん!」


莉奈りな

【男の子達3人でおばあさんを支えて、女の子達で車椅子を起こしたら、】


(踏切の音)カン、カン、カン、、、、


武佐士むさし

莉奈りなちゃん、ボタン押して!」

かすみちゃん、萌音もねちゃん、誰か大人を呼んで!」


女の子3人

「わかった!!」


莉奈りな

【ふたりは、踏切待ちの車に向かった。

あたしは非常ボタンの前へ。】

【パニックってこういうこと!?

頭がグルグルして、信じられないくらい声が大きくなるよ。】

「これって、押しちゃダメなのじゃないの!?」


武佐士むさし

「今は押す時!押せ!莉奈りな!」


莉奈りな

「か、かたい、押せない!」


武佐士むさし

莉奈りな!馬鹿ぢから出せぇ!」


莉奈りな

無理むりぃー!!か、ったぁ、いぃ!!」





武佐士むさし

雷人らいと!お前、押してきて!」


雷人らいと

「ダメだよ、3人がかりで、やっとおばあさん、支えているのに。」


孝太郎こうたろう

「いや、まず押した方がいい。僕が行く。」


武佐士むさし

孝太郎こうたろう!任せた!押せぇ!」


雷人らいと

「走れぇ!孝太郎こうたろう!」






莉奈りな

「かたいよ、無理ぃ、、、でも、

あたしが押さなきゃ、あたしが押さなきゃ、あたしが押さなきゃ、」

【こんな時こそ、AIに聞いてみよう。

アプリを開いて、、、】

「間に合わないよぉぉぉぉ。」

「みんなが死んじゃう、みんなが死んじゃう、みんなが死んじゃう、」




〜〜〜莉奈りな、私で打て、ユキちゃんで打て。





莉奈りな

「え!?うん。」

【スマホをギュッと握り直して、ボタンに狙いを定めて。】

「いっけぇぇぇぇ!」


(スマホの打撃音)ガン


(ここまで、継続して踏切の音)カン、カン、カン、カン

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