第じゅうよん話 合掌

(自転車の走行音)シャーーーシャッシャッシャッ


かすみ

「見えた。」


雷人らいと

「見えた見えた。」


萌音もね

「見いぃつけた。」


莉奈りな

【電車の線路の向こう側。

満開のソメイヨシノのその奥に、白い高貴な大仏様がいるよ。】


孝太郎こうたろう

「この踏切だ。」


莉奈りな

【この踏切のランプに違いない。

見る角度によってサングラスになるんだ。

『サングラス大仏』で検索すれば出てくる画像は、

ここが現地なんだ。】





◾️挿絵あり◾️サングラス大仏◾️


https://kakuyomu.jp/users/moogot/news/16818622175991860007





孝太郎こうたろう

「電車と桜と大仏!!エるぅぅぅ。」


莉奈りな

孝太郎こうたろうくんは、大興奮。

自転車を放り出して、スマホを構えている。電車好きだもんネ。】


孝太郎こうたろう

「早く電車来ないかなぁ。」


雷人らいと

「どこから見たらグラサンになるんだぁ?」


莉奈りな

【みんな、うろうろ歩き回っている、面白い。

しゃがんで、視線を下から見上げてみたり、

回り込んで角度を変えてみたり。

徐々にポイントを絞っていくと、、、。】


萌音もね

「ここ、お墓だよね。」


武佐士むさし

「お墓だね。」


雷人らいと

「この中だよね。」


莉奈りな

「そうみたい。」


萌音もね

「ちょっと怖いよ。」


雷人らいと

「入ったら、怒られないかな。」


莉奈りな

【みんな、どうしようって顔してる。】


雷人らいと

「あ!あぁあぁぁぁ!」


莉奈りな

【あぁ!かすみちゃんがもうお墓の中にいる!】


かすみ

「ほら、見つけた、ここよ、撮影ポイント!」


莉奈りな

【みんな、かすみちゃん以外は、困った顔してるよ。でも、】

【ニコォ!っと笑顔で確認しあったよ。】


雷人らいと

「どこどこぉ!?」


莉奈りな

かすみちゃんズルーーィ!」

【みんなで墓地の敷地内へ駆けて行くよ。】


かすみ

「こらぁ!雷人らいと、通路からはみ出たらダメよ!」


莉奈りな

【あ!あたしもかな!?足の置き場、ちょっと引っ込めておこ。】


かすみ

「お墓の区画と通路があるから。通路からはみ出たらダメよ!」


莉奈りな

「通路ならいいの?」


かすみ

「うーーん、少なくとも、区画に勝手に入ったらダメよ。

お亡くなりになった方に敬意を払って、

お世話している方の気持ちを考えて。

、、、通路ならいいんじゃないかな。

きっと、うちのおじいちゃんもそう言うよ。」

「少なくとも、踏み荒らしたり、

ゴミを残したりしなければ、いいんじゃないかな。」


莉奈りな

「ここだ!」

【問題のポイントに立って、少し中腰になって、大仏様方向を見ると、

踏み切りの二つ並んだ赤いランプと、

大仏様の両目が重なる、ピンポイントがある。

ここから見ると、大仏様がサングラスしているように見えるんだ。

エモい!エモい!エモい!

最初に気づいた人、エライ!】






莉奈りな

【改めて、大仏様を見ると、

周りを守るように桜並木。

淡い淡い桜色の中から、優しいお顔。】

「きれーい。」


武佐士むさし

「スイーツめぐりで買い付けしたら、

もう一度ここに戻って、お花見しよう。」


一同

「そうしよう♡」

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