第27話「最終決戦」 draft ver.
図書館の最奥――そこに“影の核”が待っていた。
巨大な心臓のように脈動し、黒い靄を吐き出している。
その一つ一つが、人々の「忘れたい記憶」だった。
泣き叫ぶ声。
誰かを失った痛み。
裏切られた絶望。
無数の声が蒼と紗夜を包み込み、心を削ろうとする。
「……これが、人々の影……!」
紗夜が刀を構え、瞳を鋭くする。
影の核が轟き、記憶の断片を具現化させた。
炎の中で泣き叫ぶ子供。
墓前に跪く男。
裏切りに笑う女。
それらが次々と襲いかかる。
「蒼! 心を飲まれるな!」
「分かってる!」
蒼は胸を打つ苦痛に耐えながら、玲奈の声を思い出す。
――忘れないで。
その言葉が、心を支えていた。
蒼と紗夜は背中を預け合い、同時に踏み込む。
「――うおおおおっ!」
「切り裂けぇぇぇ!」
光と影が激突する。
衝撃で図書館全体が震え、崩壊が加速していく。
核が悲鳴をあげ、黒い触手のような影が蒼の胸を貫こうと伸びる。
その瞬間――紗夜が身を投げ出した。
「紗夜っ!」
彼女の刀が閃き、影を断ち切る。
同時に、蒼は両手で光を掴み取り、核へと叩き込んだ。
「――これで終わりだぁぁぁ!!!」
轟音とともに、影の核は粉々に砕け散った。
黒い靄は悲鳴をあげながら消え去り、残ったのは静かな光だけだった。
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