20話 作戦会議
宮殿のなかに入ってすぐのムッシーたち………………………
「「こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい」」
小魚と晴魚は案の定こわいを連呼していた。そんな中、ノエルとムッシーはものすごい勢いで直進していく。と、そのとき急にフッと音がして外の景色が目に飛び込んだ。
「「「え?」」」
ヒュ~となま温い風が吹く。
「「「………………………」」」
驚きで言葉が出なく、長い沈黙が続く。
「………………………あ!ムッシーがいない!」
ながい沈黙の中小魚が最初に口を開いた。
「ホントだ!さっきまで確かに私の前を走っていたはずなのに…………」
「夢だったの?ムッシーに飛ばされたショックで夢でも見てたの?」
「………………………四人同じ夢は信じがたいけど………………………それにはっきり記憶があるし」
長い沈黙の末、宝魚がさらに口を開いた。
「あ!!!これあれじゃない?"学校七不思議 夕方の巨大塔"!」
「たしかに、夕方に出現して、入った瞬間塔が消えるというのは一致してるけど………………………これって塔なの?かな?」
ノエルの疑問に一行は考え始めた。そしてその場で会議開始。
「形が塔じゃない。」疑問はこれだけじゃない。グランツ校長の話では出現するのは一人のときとなっている。もう一つ疑問。雷魚とムッシーはどこへ行ったのか。雷魚は謎が多すぎてわからない。ムッシーは宮殿に取り残されてしまったのだろうか?まあ、あいつのことだ。生きて帰ってくるだろう。ムッシーの心配はしなくていい。
問題は雷魚。ここに来た瞬間消えてしまったのだ。おそらくだが、宮殿の中に入ってしまったのだろう。雷魚はムッシーを省いた五人の中では一番強いが、めちゃくちゃ強いというわけではない。"図書館のポルターガイスト"の時ではひどいけがはおっていなかったが、心配だ。まず一年生最強決定戦決勝での傷が完治していない。今頃だが、リーザ先生の回復力が化け物で、たった一日半で生活できるほどになったのだ。そして決勝から三日後、傷は少し痛むが普通に生活できるようになった。もう一度言う。今頃だが、リーザ先生の回復力は化け物なのだ。
そして鎌男のときに完治しかけていた雷魚の腹に斬撃が直撃。そして現在は少し痛むくらい。それでも戦いに問題は出てくるだろう。いまは雷魚を助け出すことを目的にする。という結論に至った。
だが、どうやって中に入るのか、もう宮殿の姿はない。四人は考える。考える。考える。
その結果、入る方法は思いつかなかった。だが、四人の意見で一つ分かった。宮殿は強いものを中に入れているのだ。さっきも言った通り、雷魚は六人のなかでムッシーの次に強い。そしてムッシーが宮殿のなかに取り残された………………………宮殿は強いものだけを中に入れたがっているのではないだろうか?なら自分たちも強くなれば中に入ることができる。だが強くなるには時間がかかるだろう。その間に手遅れになったら話にならない。急激に強くなる方法………………………四人はさらに考える。そしてピンと来たのは
「「「小魚の(僕の)リインフォース!!!」」」
四人はそろって言う。さっそく実行。
「いくよ!リインフォース オール!」
あふれる魔力が格段に上がったのを感じる。これで………………………
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かなり待った。だが中に入れる気配はない。「所詮、強化魔法がないと強くなれない雑魚だ。」とでも思われているのだろうか?
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さらに待った。ここまで待ってもだめならダメだろう。ならどうする?さらに考える………………………………………………
そしてさらに話し合った。結論は、一年生最強決定戦の前にやったムッシーの特訓をする。だ。小魚と宝魚はもうあんな恐ろしい特訓はしたくないと反対したが、ノエルと晴魚に共感はもらえず、結局することになった。内容を知っているのは小魚と宝魚だけだ。頑張って再現する。
さぁ、地獄の特訓が終わった。
この特訓は寝ないと効果が出ない。ということで少しだけ寝ることにした。ムッシーはあの時 しっかり寝るむし みたいなこと言ってたから寝れば寝るだけ効果が出るのだろう。だが、少しでも強くなりたい。そうすれば中に入れるかもしれないから。四人は少しだけ寝るつもりだったが、ここは山だ。小鳥の鳴き声、木々の葉っぱがこすれ合う音、暖かい風で深い眠りについてしまった。
一方ムッシーは………………………
自分だけ取り残されたことなんて知らずに直進していく。
「ノエル、楽しいむしね!」
………………………返事はない。
「ノエル?………………………」
振り向いたとき、初めて自分が取り残されたことに気が付いた。
「あれ?みんなは………………………」
そしてもう一度正面を向いたとき、さっきまでは普通の通路だった。だが、たった今、ムッシーは大広間にいた。
「………………………」
驚いたムッシーは、自分はやばいところに足を踏み入れてしまったのかもしれないと悟った。ここから逃げ出さなければ。来た道を戻ろうとしたとき、声が聞こえた。
「おいおい、冗談だろ?えげつない魔力を感じたからここに招待してやったらいも虫かよ」
「だ、だれむし!?」
大広間を大きく見渡すと、奥に人影が見える。そっちに走った。声の主はそいつだったようだ。
「おい、いも虫、お前の名前は何という?」
「僕は………………………ムッシーむし。」
「ムッシーよ、あそこの雑魚はお前の知り合いか?」
と杖でさしたほうを見る。するとなんと!雷魚が壁にもたれかかっている!
「雷魚!ここにいたんむしか!雷魚!しっかりするむし!」
雷魚を揺さぶっているムッシーをみてそいつは笑い出した。
「うはははははは!やはり知り合いだったようだな。おれはな、強いやつが好きだ。そして雑魚は嫌いだ。そいつはくそ雑魚だ。そんなくそ雑魚の知り合いが貴様のような魔力がえげつない奴だったとはな。ムッシーよ、俺と戦ってくれ、そしたらそいつは貴様の好きにすればいい。勝ったらの話だがな!」
「いいむしよ。僕も強いやつと戦うのが好きむしから。それに雷魚を救うむし!」
「そうか。俺と気が合いそうだな!観客はいるぞ。ゼーベル様だ。」
「ムッシーといったか。二人の戦い。楽しみにしているぞ」
姿は見えないが声だけが聞こえる。だが、そんなのは関係ない。こいつを倒して雷魚と一緒に無事に脱出する。いまのムッシーはそれだけを思っていた。
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