21話 学校七不思議 夕方の巨大塔

なんだ………………………なんか………………………聞こえるぞ………………………炎のような音と………………………硬い物同士がぶつかっているような音………………………。


「………………………!!!」


目を開けると飛び込んできたのはムッシーとタールムが戦っているところ。そうだ、俺はタールムの攻撃を食らって気を失ったんだ。ムッシーが助けにきてくれたのか。くそっ、またムッシーに助けられている。早く俺も参戦しなければ………………何とか立つことができた。だが、うまく魔法が使えない。だせ、だすんだ。一回落ち着け。


「………………………ドゥルフ!!!」


タイミングを見計らって撃ったドゥルフはちょうどムッシーの攻撃をかわしたところに直撃。


「ぐわ!………………………く、きさま!生きていたのか!」


「俺はあんなので死なない。なめてもらっちゃ困るな!ドゥルフ オブジェクト!」


稲妻の形をしたものがタールムに直撃して吹っ飛ばされた。そこにムッシーの攻撃


「アンフェルフラム エノルム!」


爆炎に飲み込まれたタールムは膝をついていた。ふっ、俺の不意打ちがきいたな!ムッシーを超えたぞ!(ばか・なの?)


「ムッシー。ありがとな」


「雷魚!生きててよかったむし!」


ま、助けてくれたことには感謝感謝。


「俺がこんなので死ぬわけないだろ!」


「そうむしね!はははは!!」


「おい!よそ見してたら死ぬぞ」


というゼーベルの声でハッとした。さっきまで膝をついていたタールムの姿がないのだ。


「ぐは!!」


ムッシーの声が聞こえたと思えばトゥルムが横切った。遠くにムッシーがみえる。ぐったりしている。くそ、また俺一人だ。振り出しに戻った。これはまずい。だが………………………間違いなくダメージを多く受けているのはタールムだ。ムッシーのおかげで………………………………………………………………………………………………そうか、この時俺は初めて気づいた。ムッシーを超えるだとか、ムッシーに強さを見せつけるだとか、そういうのじゃない。仲間を頼るんだ。もちろん頼らないほうがいい時もある。だが、ムッシーは俺を助けるために戦ったのだ。自分の強さを自慢するために使うのではなく、仲間を守るために使っているのだ。ムッシーはもしかしたら、自分だけで無理せずにたまには仲間を頼ってほしい。ということに気づかせたかったのではないだろうか?かなり考えられた策略だけど、そのために煽ったり、いきったりしていたあと、俺たちを守るために戦ったのでは?あいつはツンデレだからな。もし俺の予想が違っても俺はムッシーのために戦う。ムッシーも俺のために戦ってくれたから!


「ドゥルフ!!!!」


ひらりとよけられる。わかっている。それくらい。


「ドゥルフ オブジェクト!」


防御魔法で防がれる。それも想定済みだ。


「"ドゥルフ コンティニューエ"」


タールムの周りに大量の稲妻が召喚される。タールムはそれを処理しようとしている。その間に高火力技だ。


「ドゥルフ ジェアンテ!!!!!!」


タールムの頭上で雷雲が発生。すぐに稲妻がタールムに直撃した。


「ぐああああああぁぁ!!!!!!!!!」


あららら、タールムは超魚同様雷が苦手らしいですね。勝った。


「ドゥルフ スフェール!」


「ぐはぁ」


「ドゥルフ コンティニューエ!」


大量の稲妻がタールムに直撃する。


「ぐああぁぁぁぁぁぁーー」


「チェックメイトだ。」


「ぐ、ぐぅ。く………………………そ………………………」


タールムは倒れた。俺の勝ちだ。


「ふはははは!!タールムよ、負けてしまったか」


「ゼーベルさん。約束しましたよね?」


「ああ、そうだな。姿を見せてやろう」


といった瞬間目の前にオールバックでジャージのようなふくで紫のマントをきている男が現れた。


「どう思う?」


「ものすごくださ…………あー、いやいや、かっこいいですね!」


あぶないあぶない。もちろんかっこいいなんて少しも思っていない。


「ふはは!そうか。それで、あのムッシーとかいうやつ。奴はなんだ?」


「いや、それが俺にもよくわかんなくて…一応友達なんですけど」


「そうか。まあいい、お前、ここがどこかわかるか?」


「え?宮殿の中ですか?」


「ちがう。そう、だが、ちがう。塔の中だ」


「え?」


「"学校七不思議 夕方の巨大塔"って知ってるだろ?それだ」


「え?ええ?」


「タールムはな、建物の持ち主なのだ。」


「え?あなたじゃないんですか?」


「おれは学校七不思議のリーダーだ。貴様も知っているだろ?夕方の巨大塔。それだけ聞けば塔だと思うだろう?それはたまたまだ。タールムは気分によって時間、場所、建物を変える。生徒が目撃したのがたまたま夕方で図書館の隣で塔だっただけだろう。"学校七不思議 建物"のほうがあってる気がするがなー」


いや、センスくそだな。建物って、なんも不思議ちゃうやん。あと、さっき言ったことと矛盾しているような………………………てか、その夕方の巨大塔の持ち主をたおしたってことは解決したってこと?


「まぁ、全部の七不思議を解明していつか俺にたどり着くことだな!!フハハハハハ!!!」


あ!そうか!こいつリーダーか!!さっさと成敗しなければ!


「ドゥルフ!!」


ひらりとよけられる。


「おいおい、いきなり敵対とはひどいな。」


く、いま俺は疲れている多分負ける。だが、一つ聞きたい。


「おい!なぜおまえはズベル先生とディングを殺した?」


「それは口封じのためだよ。遅れて情報が漏れてしまったがね。」


「お前は人をなんだとおもっている?」


「身内や弟子はそれなりにやさしくしている。それ以外の人間は ゴミだ 」


「なっ………………………」


人間が………………………ゴミだって??こいつ………………………


「ではな!さらばだ!」


「!!、まて!!」


といったころにはタールムとともに消えていた。くそ、やはり、あいつは成敗しなければならない。


「う、うう」


「あ!ムッシー!気が付いた?」


「………………………はっ!あいつはどこむしか?」


「おれが成敗してやったよ」


「ほんとむしか!?すごいむしね!」


「うん。ありがとう。ムッシーのおかげだよ………………………」


「ははははっはは、やはり僕は最強むし。」


「てかさ、ムッシーがいつもやられている理由 油断 じゃない?そろそろ油断するのやめてもらっていいっすか?」


「あ、はい」


そして、フッ、と音がしたと思えば山にいた。目の前には小魚たちが寝ている。


「え?急に外に出た?」


ムッシーは戸惑っていたが、俺はわかる。宮殿の主(タールム)を成敗したから消えたんだろう。とりあえずみんなを起こす。そして、俺とムッシーは宮殿での出来事を、小魚たちはなぜ寝ていたのかを日が暮れるまで話していた。

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