17話 入った理由

ディングをたおした。即グランツ校長をよぶ。


「うーむ。やはりディングであったか。こやつが目覚めたときじっくりとはなしをきくとしよう。」


一時間ほど待つつもりだったが、ディングはすぐに目覚めた。


「………………………ここは…………っち、負けちまったのか…………」


「ディングよ、なぜ学校七不思議なんかに入ったのか聞かせてくれぬか?」


「………………………」


無言だ。殴ってでも暴露させたいところだがそんなこと俺のプライドが許さない。それとズベル先生の時みたいに口封じのため殺させるかもしれない。本人が言いたくないことはしつこく聞かないようにしよう。


「話せることでいいから何か話してくれないか?」


優しく声を掛ける。さっきまで戦っていたことが噓みたいなやさしさで。


「………………………きさまらも知っているんだろ?学校七不思議にはリーダーがいることを。そのリーダーに言われたんだ…………」


と話し始めてくれた。さすが俺!




     ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




今日もいつも通りだったな…………面白いことないかなぁー。


(おい)


(ん?今なんか聞こえたような…気のせいかな?)


(気のせいじゃねぇよ。今俺はお前を呼んでいる。)


(え?え?どゆこと?だれもいないぞ?)


(当たり前だ。お前の脳内で会話しているからな。)


んんんんんんん?????どゆこと????


(細かいことはいい。おまえ、なにか面白いことを探しているんだろう?)


(ああ、そうだ)


てかなんでしってんだ?


(なら面白いことを一緒にやろうではないか!)


(ほんとか!?なにするんだ?)


(ふふふふ、それはな…学校七不思議を作るのだ!!!)


ちょっと何言ってるかわかんないっすね。


(もっと詳しく聞かせてくれないか?)


(いいだろう。学校七不思議を作って魔法学校をじわじわと俺たちのものにしていき、やがては学校を侵略するのだ!!!)


うおおおおおお!!!面白そうじゃないか!!


(いいだろう!やってやる!)


(話が早くて助かる。ちなみにお前の固有魔法はなんだ?)


(物体移動ゼプラデだ。)


(ふむ、物体移動ゼプラデか…よし!お前は図書館を担当させる。ポルターガイストというやつだ!"図書館のポルターガイスト"だ!!まだ活動はしない。いまはきさまをあわせて五人協力を得ている。あと二人だ。あと二人の協力をえれば活動開始だ!!まずは俺の秘密基地に案内する。目をつぶれ!)


目をつぶる?


目をつぶった。次の瞬間ものすごい量の魔力を感じた。おそるおそる目を開けるとそこには紫のマントに真っ黒なジャージのようなださ…………いや、独特なファッションで、髪はオールバックの全体的にもださ…………いや、独特な男がいた。そこまで年は離れていない。おそらく17歳ほどだろう。それほどの身長だった。豪華なアニメっぽい椅子にすわっている。


「よぉ、今日からよろしくな。」


声はザ・男の子という感じだった。だが、かなりの魔力があふれていて、ため口は聞けなかった。


「よろしくお願いします。」


「おう、早速だが、お前はポルターガイストということで姿を消さなければならない。基礎魔法に透明化魔法があるだろう。それを極めるのだ。」


「はい、ですがどうやって?」


「常に透明になっていろ。それだけだ。」


え、むず、きつ、うそやん。けど、極められたときは楽しそうだな…………よし!やるぞ!


さっそく透明になった。


「ふむ、やる気はあるようだな。俺は魔力探知が得意だ。透明になっていても居場所はすぐにわかるだろう。問題ない。その調子で頑張れよ!」


「はい!」


かなりいい人だった。




それからしばらくして活動を開始した。最初のうちはとても楽しかった。だが、だんだん人が来なくなって暇になった。そこにリーダーが来てくれた。


「おい!ディング!きたぞ。暇なんだろ?」


「はい、ありがとうございます。」


「礼はいい。そんなことより、暇なら俺と勝負しないか?」


「え?」


「ははは!!もちろん手加減はする。暇つぶし程度だ。重傷はしないだろう。」


うーん、たしかに暇だし…………何もしないよりかはいいか!


それが何回かあった。リーダーと話したり勝負したりして暇なときがほとんどなかった。楽しかったのだ。これまでにないくらい。




    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




話を聞いたグランツ校長はうなずきながらいった。


「だから時々図書館からものすごい音が聞こえたんだな。それと不登校と思われていたがずっと図書館にいたのか。それと話を聞いているとリーダーはいい人そうだが…………そのリーダーの名前は言えるか?」


「……………………」


黙っていた。だがそのとき、ズベル先生の時のようにディングの首がはねられてしまった。


「「「「「「!!!!!!!」」」」」」


また、首をはねられてしまった。口封じのために…………ディングは名前を言っていない。なのに軽々しく首を切ってしまったのだ。そこそこ友情はできていたはずなのに…………ゆるせない。そのリーダーは人のことをなんだとおもっているのだ?わからない。ただひとつわかる。そ の リ ー ダ ー を 成 敗 さ せ な け れ ば な ら な い。そう強く思った。




その日の夜、ディングの葬式が行われた。また、ひとり殺された。もう学校七不思議について知っていることを聞くのはやめようか?だが…………そうすれば何も情報を得られずに困っていてもリーダーがどんどん生徒を殺していってしまう。それは防ぎたい。絶対に。だが…………。くっ、どうすればいいんだ…………。


自分の弱さの悔しさだけで心がつぶれそうになる。それと同じくらい悔しそうなやつはいる。ムッシーだ。理由はしょうもないけど。


「おい!おまえら!僕が気絶している間にディングをたおしたって!?なにやってるんむしか!!!とどめはぼくのものむしよ!あほむしか?おまえらは?」


相変わらずむかつくことを言ってくる奴だ。だが今はぐっとこらえる。ここで怒りを爆発させたらディングがかわいそうだから。


「ムッシー。明日から特訓しないか?そしたらムッシーはもっと強くなれるし、俺、もっと強くなりたいんだ。これ以上死人を出したくないから。」


試しにさそってみた。


「ふっ、いいむしよ。」


「雷魚兄ちゃん。僕たちも特訓させてよ!みんなもしたいってさ。」


という小魚の声でみんなの顔を見回した。たくましい顔だ。きめた。俺たちは明日から特訓する。学校七不思議のリーダーを成敗する。絶対に…………!

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