15話 学校七不思議 図書館のポルターガイスト

図書館に入った俺たち。ドアを閉めるとのガチャーンとアニメっぽい音がして鳥肌が立つ。図書館の中は意外にも明るかった。




しばらくの沈黙の末 コトッ という音が聞こえた。次の瞬間本がものすごい勢いでとんできた。顔面に直撃。ゆるせない。ディング。ぜっっっっっったいに潰す!


「おい!ディング!いるんだろ?でてこい!」


アニメお決まりセリフをいったった。すると今度は本が五、六冊とんできた。それを華麗にかわす。へっ、俺じゃなきゃ死んでたぜ(?)


「いるむしね。」


ムッシーもあわせて全員が警戒する。そのとき不気味な声が聞こえた。


「きさまら…………何しに来た。」


晴魚が威勢よくいった。


「わたしたち、学校七不思議を解明しにきたんです!生徒に物をなげるなどやめてください!」


「無理だな、聞いたぞ、きさまら"トイレの鎌男"を解明したんだろ?そんな仲間を倒した貴様らのいうことなぞ聞くわけがない。それに俺は戦いが好きだ。こいよ!"図書館のポルターガイスト"を解明してみろ!」


という掛け声とともに椅子が三つとんできた。俺、宝魚、ノエルと小魚、ムッシー、晴魚に別れた。まず相手の場所を特定しなければ…………今度は机がとんできた。


「ぐわぁー!」


宝魚にあたってしまった。吹っ飛ばされた宝魚にもう一撃!椅子が二階から降ってきた。


頭部にあたって宝魚は気絶。つまり一人ダウン。


「宝魚君!」


心配して駆け寄ったノエルに椅子が飛んで行った。


「はっ!」


ノエルはすばやい判断で剣を抜いてはじき返した。そこに机が襲い掛かる。


「シュネーシュトルム!」


シュネールシュトルムが直撃した机は吹っ飛ばされた。もしかしたらシュネールシュトルムは相性がいいのかもしれない。ついに本棚がとんできた。もちろんノエルはシュネールシュトルムで応戦したが雪が崩れてしまった。ドオオオオオオオオン!!!と音を立てた。四人で何とか本棚をどかした。ノエルは気を失っている。これで二人ダウン。


ヒュンヒュンヒュンと音を立てて椅子がとんでくる。それをかわす。壁や床に当って砕ける椅子。これはものすごく威力が高い。ノエルのように本棚なんかにあたったら即ダウンだろう。だが、砕けてくれるおかげでその椅子や机がさらにとんでくるなんてことはなかった。おわりはあるだろう。図書館の本、椅子、机、本棚がなくなるか、ディングを見つけておとなしくさせれば俺たちの勝ちだ。それまでに全員がダウンしたら俺たちの負けだ。それが終わりの二パターン。これはとにかく疲れる。全員違う方向に走っているのにもかかわらず物が続けて飛んでくる。ずっと走っていないとかわすことはできない。魔法を撃ちたいところだが杖を構えている暇もなく。




もう…………そろそろ…………限界だぞ…………つかれた…………ん?小魚が二階に向かって走って行ってるぞ。階段で体力を消耗するだけなのに…………。


 


       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「まちがいないむし!あっちむし!」


ムッシーはこっちに強い魔力を感じるって言ってるけど…………ほんとにあってるのかな?ムッシーのことだからあんま信用できないけど…とにかく言われるがままに走っている。階段でいっきに体力持ってかれた…………


「ムッシー。魔力強い?」


「まちがいなく強くなってるむし。」


わからない。走ってよけていることに集中していて体がうまく魔力を感じられていないのだろう。だがムッシーはずっと僕の肩に乗っているからね。ずるいけど…………たよりにならなくもない。


そういえば物が飛んでくる数が増えているような感じがするな…………。近づいてきて警戒しているのだろうか?こいつはさっさと仕留めてしまおうと思っているのだろうか?そうはいかない、学校七不思議を解明するんだ!


二階の一階全体を見渡せる広場のようなところに来た。


「このへんにいるむし!」


フッっとかすかに魔力を感じたような気がした。


「………………………そこむし!アンフェルフラム!」


アンフェルフラムが向かった先の横にディングの姿が見えた。


「!?………………………」


場所が分かってかなり驚いているようだ。


「透明基礎魔法むしか。こんな長時間透明になれるとは…たいしたもんむし。


けど、ぼくの魔力探知にはかなわなかったようむしね!あははははは!」


「ふっ。なかなかおもしろいことを言ってくれるじゃない…か!」


ドッ!っと音がした。背中に激痛が走る。後ろを見ると…………本棚。あたったな。間違いない。もちろん吹っ飛ばされた。そこまでは予想できた。だが今いる広場のようなところは手すりのみ。吹っ飛ばされてそのまま一階におちたことは予想できなかった。


「うわぁー!!」


一瞬で落ちる感覚が消えたと思えば全身に激痛が走る。だめだ…ここで僕が気絶したら…………。ん?雷魚兄ちゃんと晴魚が近づいてきたぞ…………


「小魚!大丈夫か?」


「小魚君!なにがあったの!?」


「二階に………………………ディングが…………」


よし………………………言いたいことは言えた。でも…………意識が…………。


三人ダウン。




       ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




二階にディングが…………ありがとう。小魚。


「いこう!晴魚!」


「うん」


二階の開けた場所に炎が見える。ムッシーだ。また学校七不思議とタイマンしているのだろう。ムッシーに頼ってばかりじゃいられない!ってまて、小魚は吹っ飛ばされたのになんでムッシーは残ってるんだ?小魚が吹っ飛ばされた瞬間肩から飛び降りた?え?肩にいなくて自分で走ってたという考え方はないのかって?ムッシーのことだ。そんなわけない。


かなり近くにいる。やはりムッシーがタイマンしている。ムッシーは椅子、机、本、本棚を燃やしながら距離をつめようとしている。俺たちもやれるんだぞ!くらえ!


「ドゥフル!」


「シュヴァハ!」


外した。晴魚の弱体化魔法は喰らったようだ。若干動きが遅くなった感じがした。それだけだった。小魚のときはかなりの疲労状態だったからものすごく苦しんでいたのだろう。だがムッシーはそれがかなりの救いになってくれたようで初めてアンフェルフラムがあたった。ディングは一歩下がった。だが、すぐに体制を立て直して反撃した。今回はかなりの強敵だ。そのとき俺に椅子が直撃した。


「ぐわっ」


吹っ飛ばされたがすぐに体制を立て直す。広範囲の攻撃を撃ったほうがいい。なら…


「ドゥフル ジェアンテ!」


これを撃つには少し時間がかかる。ムッシーが相手になってくれている隙に…………。ゴオオオオオオオオ!とものすごい雷鳴がなっていかずちがディングに当たった。


「ぐ…………」


動きが止まった。そこをムッシーは見逃さなかった


「アンフェルフラム ラージ!!!」


巨大な炎に囲まれたディングは…………たっている。それどころか反撃してきた。


「『ゼプラデ!!』」


勝ち誇って油断していたムッシーに本棚が直撃した。あの小さな体で大きな本棚があたって気を失わずにはいられないだろう。吹っ飛ばされたムッシーは砕けた本棚の破片にぶつかって気を失った。


これはまずい。強いムッシーが戦闘不能になって戦力が大幅ダウンした。


だが、その心配は消え去った。なんと宝魚とノエルがこっちに走てきている。気が付いたのだろう。


「おーい!」


よし、これならいけるかもしれない。


「二人とも!あいつがディングだ!倒すぞ!」


「「うん!」」


「晴魚も頼りにしてるよ!」


「まかせて!」


この四人なら希望はある。いくぞ!

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