第7話 高嶺の花
ある日の放課後。
校門の外で美人がいると噂を聞きつけた男子高校生たちが数人、噂の子と思われる少女に声をかけていた。
長身で気品にあふれ、仕草ひとつにまで隙がない――
「ねぇねぇ、LINE交換しない?」
「カラオケ行こうよ!」
普通なら困った顔をするはずだが、瑠璃は微動だにしなかった。
「わたくしに声をかけるなんて、身の程をわきまえなさい」
凛とした声に、男子たちが一瞬たじろぐ。
そこへ通りかかった
「おっと、ナンパじゃん!?」
「あれ御影さんじゃない?ほら新入生代表だった」
「放っておけないよ!」
光が先陣を切って駆け寄る。
「君たち、彼女を困らせないで!」
「……何?」男子たちは冷ややかに一言。
「ええっ!?『何?』ってなに!?」光がズッコケる。
「よかよか、こういう時は任せときんしゃい!」
「なーにやっとーとー?大勢の男が一人の女の子泣かせるとかダサすぎやろ」
「誰が泣いてますの?」瑠璃が即座に突っ込んだ。
最後に
「あーせからしい!根性が足りん!グランド100周!」
勢いに押され、男子たちは「なんなんこいつら…」とぼやきながら退散していった。
「……ありがとうございます、助かりましたわ。それでは」瑠璃が髪を整えながら立ち去る。
「アイドルやろう!」光がすぐさま勧誘。
「アイドル……?なんとなくしか存じませんが、わたくしには務まりませんのでお断りいたします」
瑠璃はきっぱりと言い放つ。
「でもさ〜」莉愛がにやりと笑う。
「さっきウチら、男子どもから助けたよね?その貸し、返してくれんのかな〜?笑」
「……脅迫ではなくて?」瑠璃が眉をひそめる。
その横で、
「ナンパより悪質ね」
瑠璃はしばし考え、深いため息をついた。
「……仕方ありませんわ。一度だけ。一度だけ参加して差し上げます」
「やったー!」光が飛び上がり、煉佳が「根性の勝利だー!」と叫び、莉愛は「バリやばw瑠璃ち最高w」と爆笑。
こうして御影瑠璃も一度きりの約束で加入。
その気品と存在感は、間違いなく異彩を放っていた。
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