⑨あの人なら
頑固で欲張りで、自分勝手にこの国のために命を賭して、大切なことは基本的には自分の口から話さない、運動能力が変に高い正義感の強い我が友人。
どう見ても鈍感で正直者で、それでも本来の実力はきっと高いはずで、真面目で後ろを絶対に振り返らないであろう、光の住人である警察官。
「不出来でも一生懸命進むんだねえ、君達は」
目の前で真剣に僕を見る男二人を見て苦笑いを浮かべる。
あの人達はだからこそ、後に託したのだろうね。きっと分かっていたのだろうね。何かあったときにいつかこうなるということも全て。
きっといつか、自分達が消えた後に自分達より相応しい此の世界の何処かの誰かが自分達の後を継いで真実を見つけてくれると。
仕方がない。どうしようもない。言うしかない。
「あの人達の頼みなら、あの人達が後に託したのなら僕はその後を継いだ者にこう言おう」
本当は成功率なんて限りなく零に等しくて、出来が悪い者達がやるのなら尚更、上手くいくことはない。
でも、それが負けず嫌いで頑固で欲張りで前を見て後ろを振り返らない者達だったら?
そんなの・・・・・・
「〇・一パーセント以下の発生率で成功率の生きて帰れる事象に決まってるだろう、大馬鹿者が」
『確率が零に等しかったとしても、私達はそんなものはぶん投げて生きて帰るに決まってるだろう、大馬鹿者が。そんなことも分からんのか、清原海里』
あの人なら、きっとこう言うと思うんだ。
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