003 陰陽学校
さて、僕のことを話し始めてから10分くらいがたった。
異世界から来たこと、この世界で普通に生活してみたいこと、腐った国会に腹が立ってちょっとやりすぎたこと。全てを洗いざらい話した。
その結果――どうやらこの場所に日本過激派というか外人排斥主義というか...そんな人が多かったようで笑顔でこの国で生きることを承認してもらえた。
そして、今。
ノリノリで僕がこの世界で生活するための準備をしてもらっていたわけだけど、僕の見た目じゃあ学校に行かないといけないことが判明し、なんとか高校に僕を押し込めないかと試行錯誤してもらっている最中である。
「ねえねえ、普通に僕受験勉強するからさ?家だけ用意してくれない??この世界のことだったら僕何でも知れるし」
この人たちは僕がこの世界に来たばかりということがあってか、僕があまりこの世界の知識を持っていないかのように勘違いしている。
普通にもってるからね?てかそこらの学者よりかは賢い...いや知識ある自信はあるからね?
【
「それに、僕がこの日本語を習得した【貪欲】の魔術を使えば知識を吸収して理解、応用するくらいまでは簡単だからね?」
「えー...そうなんですかね?」
信用されてないわけではないけれど。悲しきかな、どこか疑問を抱えていそうな様子。
いい加減魔術を信じろと言いたいものの、あまり自分で体験したことがないのなら信じれないのも道理。
...いやちがうやん。この人たちすでに僕の魔術体験してますやん。
隣で頭弾けた馬鹿議員たち視てますやん。
えぇ...それで何を信じれないんだか。
「それとも何か問題があるの?僕が学校に行って」
「いや、まぁ...」
僕でもわかるごまかし方。
なーにを懸念してるんだか。異世界にゃ僕ほどの
この世界の学校に通ったって主席まっしぐらだよ?
「もう、さっさと話してよ。何がそこまで君たちを悩ませているんだい」
腰に手を当て怒りをアピール。
日本の漫画とやらでよく使われているポーズをやってみた結果、一人の男性議員が出てきた。
「それでは、私が代表して言わせていただくと...あなたを学校に行かせた結果、喧嘩ふったバカ者が消滅察せられないか、という問題に直撃していまして」
「そこまで僕蛮族じゃないよ?!」
腹が立ったら相手を殴り返すことはあれど、そこまで僕は暴力的ではないと自負している。ん?国会議事堂の件?
あれはこの国を守るため、ひいては僕のストレスを発散するためだからノーカウントである。仕方ないんだ、あのままじゃたぶん今年中にこの国は乗っ取られてたし。
「やり返したとしても相手を気絶させるくらいだよ...殺しはしない」
「だからそれがアウトなんですよ...」
「えぇ...」
しかし、悲しいかな。
この世界ではそもそも殺し以前に暴力がダメなようで。
僕のアイデンティティは行かされないようだ。
でもなぁ...それじゃあなぁ...僕のストレスが消えないしなぁ...
いやまぁ、発散しようとするなら異世界に戻ればいいだけなんだけど。
さすがに世界を渡る魔術というだけあって消費魔力が半端ないからなぁ...
「あ、じゃあさ」
「なんですか?」
「そこの白髪っぽい人さ、陰陽師の家系でしょ?」
「なんでそれを?!」
君の実家、知ってるんだよね。って今言ったらこの日と驚くかな。
驚くだろうな、言ってみよう。
「君の実家、知ってるんだよね」
「え?あの糞雑魚ゴリラの実家をあなたが?」
「え、ゴリラなの?」
え?陰陽師ってゴリラだったの?
さすがにそれは知らなかった。もっとこう、まじないとか式神とか。
そんなのでハッピーしてるのが陰陽師だって僕は認識してたんだけど...
「いやいやハッピーも何も今俺らができることといえば軽い相手の鑑定と身体強化くらいしかできませんよ。なんか最近立ったとかいう自称陰陽師育成学校は式神とかの使い方を教えるってほざいてましたけど。無理なんじゃないですかね?」
うん、多分無理だろうね。
だってこの世界から神秘はほとんど失われてるって【虚空記録層】ででてきたもん。
ただ疑問なのは「完璧に失われている」ではなくて「ほとんど失われている」ということなんだよねぇ。どうなんだろ、まだ術が本格的に使える人とかいるのかなぁ。
...ん?そうじゃん。
「ねえねえ、もしその学校でマジの陰陽師が生産されていったらこの国としては困るよね?」
「え?あぁ、そうですね。せっかく銃刀法を定めてるのに誰もが殺傷能力のある術が使えるようになってしまったら困りますもの」
「じゃあさ――僕がその学校に潜入したらダメかな」
陰陽師の技術とか、僕知らないんだよね。
魔術なら使えるけど、たぶんそれとは違う体系の術だろうし。
興味あるもん。楽しそう。
もしちゃんと教えず詐欺学校なだけだったら――
「――まぁ、詐欺だったら潰してくるよ」
「それくらいならまぁ...」
「いいですかね」
「あ、それじゃああなたの戸籍俺の養子ってことにしときますね」
「え、待って。僕の年齢何歳くらいに見えてる?」
「え、15歳くらい?」
「うそん」
我普通に億は超えてるぞ?
そこまで成長していなかったと...悲しすぎるだろ。
――――――――――――
「へっくしゅ」
「どうしたんですか校長、風邪でもひきましたか?」
「ど、どうなんだろうねぇ。最近寒くなってきたし、もしかしたら風邪ひいたかも?」
「案外、あんたのうわさがされているとかかもよ?」
「陰陽師系の家系には大体俺らの学校の案内送ったし、うわさはありえるかもな」
森の中にある、大きな学校――私立陰陽学園。
人工衛星からは見えないように巧妙に隠され、研究所からくすねた魔導技術を使用し人が寄り付かないようにしたこの校舎に、数名の大人が集まっていた。
「あ、私風邪薬持ってるじゃん。飲んどこ」
「え、私もうつされたくなーい。ちょうだい☆」
「いやあんた、こんな薬飲まなくても術使えば風邪なんてかからないでしょうに」
「術使うのだって疲れるんですー」
先ほどから連呼される、”術”という単語。
その言葉が示す通り――
――この学校は実際に”術”を教える。
「しかし、研究所から脱出してからノリでこの学校を開いたものの」
「おもしろいよねぇ、単に魔法学校と称しても人は来ようとしないのに」
「陰陽師の学校と称した瞬間いきなり入学希望者が増えるんだからなぁ」
ただ、術といってもそれは”陰陽術”ではない。
それはすでに廃れ、意味をなさなくなった過去の遺物なのだから。
彼らが扱うのは、陰陽術と、魔法。
魔術ではなく魔法と陰陽術を合わせた、彼ら自身の――いや、彼らを造った研究所の技術である。
「といっても、本当に騙せるのか?」
この中で一番大きい男が訪ねる。
「大丈夫なんじゃない?所詮今の陰陽師なんて占いも満足にできない無能集団なんだから」
「でも、私たちに使えない”相手の強さを見極める術”とやらはまだ続いているのよね?」
「研究所じゃあ、瞳に魔力を集めればそれでできるはずだといわれていたはずなんだけどなぁ...」
「まぁ――このステータスを数値化する魔導具さえあれば大丈夫だろ」
若干適当そうな雰囲気の漂うもやしのように細い少年が、虚空に手を突き刺しどこからか腕時計のようなものを取り出す。
「それは...あぁ、中に爆弾の仕込まれたステータス確認用の道具ですか」
「すべての情報が俺らに集まるようになってるって言ってたよな?」
しかし、ここにいるものはそれには反応しない。
道具について反応するのみ。
――そう、彼らはその状況に違和感を持っていないのだ。
どうしてか?答えは簡単。
彼らもその力を使えるからに他ならない。
「まぁ...これからはどうだってなるだろ」
その言葉に、彼ら全員がうなずく。
「それじゃあ、計画を始めるとするか」
「そのために俺らは研究所を脱出したんだ」
「さぁ――」
「「「――異世界とこの世界の融合、我らの悲願のために」」」
あとがき――――
これをカクコンに出そうかなと思ってる。
あと一個新作出す予定。
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