004 試験勉強?

「ねえ、もう終わったらダメ?」




「だめです。それじゃあ二次試験ので落ちてしまいますよ?」




 僕が行く学校が決まってから早2ヶ月。


 戸籍上、あの陰陽師の議員さん――土御門元春つちみかどもとはるさんの養子になった僕は、土御門家本家で専属家庭教師をつけられ面接のための対策をさせられていた。




 というのも、現代人たちに言わせて見れば僕の考えはあまりにも野蛮人過ぎるとのことで。筆記試験は余裕で主席合格できても二次試験――面接で即落とされるとのこと。




 かなしきかな。どうやら確かめてみると本当に二次試験では対象者の人格を見るようで。


 腹が立ったら殴る長いもの巻かれる事なかれ主義の僕は一言目から落とすどころか入学拒否される可能性があるとのこと。


 でもなぁ...僕思うんだよなぁ。




 だってあれでしょ?その陰陽師学校って法律とか無視して...いやそもそも法律にないから?まぁそんな穴をついて武力を持たせようとするやばい学校なんでしょ?


 だったらそれくらいの心意気で挑まないとすぐもまれて消えちゃうと思うんだ。


 それになぁ...




「僕、性格がいいから嘘なんて付けないんだよ」




「うそこけ。性格がいい人は侮辱されたら痛めつけて見せ示しながら嬲りごろすなんて回答しませんよ...」




「僕の世界じゃそれが普通だったよ?一回それで王族殺して問題になったの懐かしいなぁ...」




「そっちでも問題起こしちゃってるじゃないですか...さすがに賢者さんとはいえ王族殺しはアウトですか」




 そうそう、この家庭教師さんにも僕が異世界からきた賢者ということは伝えている。一応、もう滅びたとはいえ仲の良かった帝国の皇帝にもらった賢者という称号、割と便利でね。


 この世界じゃどうやら僕の名前を聞き取れないようで呼称として賢者を使ってもらっている。


 正直言ってちょっと恥ずかしい。その称号酔ってるときにノリで受け取っちゃったからね...現在進行形の黒歴史なんだ。




「いや?別に王族...まぁその時やらかしてた王子だね。そいつを殺すのは問題なかったんだけど...てか一部じゃ懸賞金かけられてたし全然大丈夫なんだけど...」




「えぇ...どんなことやらかしたら王族に懸賞金がかけられるんですか。この世界で言うなら天皇家に懸賞金がかかるような事態ですよね...?えぇ...なにやらかしたの」




「やらかしたことといえば簡単だよ?それまでは僕、その国の王都で宮廷魔導士やってたんだけど。邪魔に思った第三王子が僕を僻地に追放しちゃって」




「自業自得じゃないんですの?」




 あれを教訓に王位継承権者どおしの争いには首を突っ込まない方がいいってこと学んだよね。まぁそのあともちょくちょくちょっかいはかけてたけど。




「とりあえず、追放してきた後も何度も何度も塵みたいな強さしかしてない暗殺者よこしてきたからめんどくさくなって殺しちゃって...」




「安く済ませたかったんですかね?」




「あとから王に教えてもらって知ったけどアレどうやら王家直属の暗殺部隊だったらしい」




 弱かったなぁ...よこしてきたやつ全員の魔力量合わせても僕の魔力量の1000分の1にも満たないんだもの。


 神龍喰った僕の魔力がバカげてるってこともあるかもしれないけど、それでももう少しは粘ってほしかった。


 ちょっと魔力開放したらすぐみんなちびって命乞いしてきたもん。




「それでねぇ...命知らずの第三王子の婚約者――公爵家の御令嬢が僕を断罪するとか言っててね?」




「あぁ、それが終わりの始まりですか...気に入らないだけで議員の頭爆発させたり洗脳したりするような人に良くそんなこと言えましたね...」




「あのころじゃどうやら不老の魔術がちょっとできる人みたいな認識だったらしいよ?」




 一応、その頃も亡国の皇帝から賢者の称号をもらってるってことは知らしてたはずなんだけどね。


 無知は罪だよ、そのせいで一家もろとも死んだんだから。無知は詰みっつってね。罪だけに。




「それでその一家もろとも粛清したらちょっと貴族間で問題になったらしくて...」




「自業自得というかなんというか」




「今度その王様連れてこようか?もう王位は譲ってるけど元気に最難関ダンジョンとかでバカンス満喫してると思うよ」




 あの王様が王位退いてから僕は異世界渡りのための魔術開発を始めたからね。一応、【疑似領域】の魔術で法則いじって外の世界と疑似世界の時間の流れの差を生ませていたはずだからまだ生きてるはず。


 一年くらいは進んでるかもしれないけど、それだけだろうね。




「それはまた...私たちの当主に言ってくだされば」




「あぁ、そういえば君家庭教師だったね」




 分家から連れてきたんだっけな。話し相手として有能だしぜひとも僕がもらいたい。


 給料は弾むよ?この世界の通貨は持ってないけどいくらでも金とかダイヤは生成できるし。




「あぁ、話がそれましたね。それで、そんな危険思考を持ってる人が人格審査のための面接で受かるとでも?」




「案外行けたりしない?試験管脅したりして」




「権力で無理やり入れる方が簡単な気がしてきましたよ...」




 ていってもなぁ...僕はこの性格だし。


 嘘つくのはなぁ...問題はないけどなんか気に入らん。


 そんな嘘つかなきゃならん状況になるくらいなら相手を脅したり支配下に置いた方が楽だと思うんだよなぁ...




「よし、いいこと思いついた」




「なんですか?ろくでもないことを提案される気しかしないんですが」




「台本頂戴、質問内容は今からくすねてくるから」




「...は?」




 台本さえあれば、僕もそれにのっとって演技をすることはできる。


 いいじゃん、いい考えじゃん。


 考えたら即行動。ということで僕は窓を突き破り外に飛び出るのだった。




 ――あぁ、久しぶり1ヶ月ぶりの外だぁ。






――――――――――――






 さて、そうしてやってきた異空間。


 こちらなんと、異界転移の魔術を応用し、疑似領域と組み合わせた結果できた並行世界君でございます。




 異界転移の魔術はランダムな異世界に飛ぶ魔術だったんだけど、世界を飛ぶ間の法則の流れというか世界の移り変わりというか。


 そこら辺を記録していたおかげで世界の座標的なものがわかれば自由に飛べるようになったんだよね。




 【虚空記録層】と【貪欲】を合わせて世界の座標の法則を理解、そして自由に編集できるようになった今。


 地球の並行世界、建造物もしっかり存在する。


 だけどに転移することくらい造作もないのだよ。




 これぞ、世界に...神に認められた賢者パワーというものである。




「さて、学校の場所は何処なんだっけな?」




 記憶を探る。どこって言ってたっけな。




「...うん、思い出せん。森の方って言ってたしそれっぽいとこ探すか」




 この世界に何日滞在しようと、それこそ何億年とたたないとあちらの世界――現実世界じゃ数秒しかたたないように、そう設定している。


 故に、僕はいくらでも探せるのだ。


 ...まぁ、そんなことをするよりもサッサと魔術で調べた方が速いんだけど。




 気分転換にはもってこいだろう。


 そんなことを考え、僕は学校を探し始めるのだった。








「見つからん!」




 え、なんで?学校ってもう存在するんだよね?


 探し始めてかれこれ何十時間語ったのに...日本中の森という森を探したのに、それらしき校舎は見つからない?




「えぇ...バグ?僕の座標指定が間違ってたのかなぁ...」




 計算はなんどもしたし、確認もした。


 だから問題ないとは思うんだけど...




「...もしかして、地中にあるとか?」




 ふと思いついた可能性。


 それは――校舎を地中に創ったということ。




 これまで僕が探していたのは、あくまで地上だけ。


 だってねぇ?学校って普通地上にあるでしょ?




 ...でも、なぁ。


 可能性としては、あり得るのかもしれない。




「魔術で、調べるかぁ」




 せっかくなら自力で見つけたかったけど、ここまで来たらしょうがない。


 普通に時間使うのもめんどくさいし、魔術頼るのが速いだろう。


 ...気に入らないけど。




 しょうがないんだ、と。無理やり頭を振りながら納得される。


 これ以上、探すことに時間をかけることはできない。




 ――これ以上おなかがすいたら、僕がいつ暴走するかわからない。




 そこまで考えた僕は、この世界...いや並行世界だし違うかな?


 とにかく、【虚空記録層】で場所を調べるのだった。




 ...昔はご飯なんて必要なかったのに。


 この世界に来てからというものの食がなければ生きていけなくなってしまった僕が恨めしいと、そう思いながら。



あとがき――――

なーんか無理やり感が否めないねぇ...

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