第6話 最初のミーティング
「とにかく今はミーティングをしないと、これが終わったら社長に相談する。さっきも言ったけど恋愛禁止ってわけじゃないから、別れなくても大丈夫だよ」
リアはスマホをギュッと抱きしめて「良かった!」と笑顔を浮かべた。
虹川さんはホッと胸に手を当てる。
硝子堂さんは小さく唸り、眉をひそめている。
頼むからこれ以上のトラブルは招かないでくれよ……。
一呼吸おいて、ミーティングを始める。
「よしじゃあ本題に入ろう。まずはこの一ヵ月、アイドルとして必要なダンス、ボーカル、ビジュアルを鍛えて行こう。それから次は一番重要なこと――ファンを増やすことだ」
推してくれるファンがいなければ意味がない。
虹川さんは同意するように力強い頷きを見せてくれる。
「SNSを通してですか?」
硝子堂さんは細くも鋭い声色で的確な質問をくれた。
「そう、まずは『Shiny Prism』の名前を知ってもらう。専用のアカウントを作って宣伝していく。あと動画投稿もするぞ。これは週に2日か3日ぐらいのペースで投稿する予定だ」
スマホは事務所支給で、最初はこの手厚さに正直驚いてしまった。
これも、大門寺社長が築き上げた人脈のおかげなんだろう。
「めちゃくちゃ面白そうじゃん! いっぱい上げたーい」
目をキラキラと輝かせて食いつくリアだが、正直不安しかない。
彼氏持ちを匂わす投稿なんてされたら――想像しただけで冷や汗が……。
「ゴホン、SNSに投稿する前に俺が一度確認することになっているからな。これはリスクヘッジのためだ」
「えぇーなにそれー」
「まさかとは思うが、個人のやつで彼氏とツーショットとか投稿してないよな?」
リアにジト目で睨まれてしまう。
「そんなのしたことないよ。ちょっと失礼じゃない?」
「う……すまない。ちょっとでも不安要素を減らしたかったんだ。あぁ、リアが適切にできると知って安心したよ、ありがとう」
「はい、プロデューサー!」
今度は、虹川さんが元気よく手を挙げる。
「どうぞ、虹川さん」
「わたし、SNSで投稿? とかよく分かりません!」
ハッキリと自信満々に言うので、俺は思わず苦笑した。
隣で硝子堂さんが我が身を抱いて顎を引く。
「使ったことないのか? 気になる芸能人の投稿とか、好きなアイドルの宣伝とか」
「ありません! なんでか両親や友達から『みらいは使わない方が良い』って言われます!」
まぁ……なんとなく分かる。
とりあえず、虹川さんは動画や配信で活躍してもらった方がいい、かな。
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