2.「悪戯のお詫びに」【心音・ハグ】

//環境音:静かな雨音(屋内)

//SE:お茶を注ぐ音


(微笑みかけるように)

「お待たせしました、クマザサのお茶です」


「熱いので気を付けてください。少し苦いかもしれませんが、体にとても良いんですよ」


//主人公がお茶を飲む


//SE:皿の置かれる音

「こちらの羊羹も、併せて召し上がりください」


//ヒロインが小さく分けた羊羹を差し出す

(優しくにこやかに)

「はい、あーん」


//戸惑う主人公


「これもおもてなしですよ、気を取り直してあーん」


//羊羹を味わう主人公


「いかがですか?お口にあいますか?」


(嬉しそうに)

「そうですか、それは良かった」


「おかわりもありますから、遠慮せず申しつけてくださいね」


(静かに微笑みかけるように)

「自分の家だと思ってくつろいでください、あなたさえよければ、ずっとここにいてもいいんですから…」


//申し訳なさそうな様子の主人公に気が付くヒロイン

「おや?」


(困ったように笑いながら)

「もしかして見返りも無しに、もてなされるのは戸惑ってしまいますか?」


//間を開けて

(観念したように)

「…正直に申しますと、下心はあります」


「もちろん困っている方を見過ごせないというのもありますが」


(恥ずかしがりながら言いよどむ)

「ですが、雨の中一人でたたずむあなたを見て…」


(もじもじと絞り出すように)

「その…目を奪われてしまって…」


(決心して微笑みながら)

「ええ…恋してしまいました」


(苦笑しながら)

「これ以上は聞かないでください、流石に恥ずかしいです」


(赤面しながら焦るように)

「もう…そんなにじっとお顔見ないでください、今は駄目です」


//主人公に今までからかってきたことを追及される

(慌てたように)

「わ…私はいいんです!あなたの恥ずかしがるお顔を見ても…」


(むくれたように)

「もう…意地悪するなら…」


//ヒロインが手で主人公にそっと目隠し


「目を塞いでしまいます」


(悪戯っぽく楽しそうに)

「ふふっ…これで何も見えませんね、目の前は真っ暗」


「私に何をされてしまうのかも分かりません」


(悪だくみするように)

「さてさて、どうしてくれましょう」


「意地悪な人はこらしめませんと」


「こちょこちょと、くすぐってしまいましょうか」


(くすぐるように囁き)

「それとも、こうしてお耳をいじめてしまうのもいいかもしれませんね」


(くすぐるように息を吹きかけながら)

「ふぅ~…っとふふっ…」


(思い出したように)

「ああ、ひとつ思い出しましたことがありました」


「あなたにお聞きしたいことがありまして…」


(悪そうに囁き)

「『よもつへぐい』という言葉はご存じですか?」


「簡単に説明しますと、黄泉の国の物を食べてしまうと二度と現世に戻れなくなる…というお話です」


「先ほどは美味しそうにお茶菓子を召し上がってましたね」


//悪そうに笑う

「フフフ…」


(甘く吐息たっぷりに囁き)

「あーあ…もう手遅れですね…」


「ここで私と二人きり…ずーっと一緒ですよ」


「ずっと…ずっと…待っていました、あなたのような素敵な方を…」


//ヒロインが主人公に抱きつく


(嬉しそうに)

「ようやく…捕まえた…」


(甘い声で吐息たっぷりに囁き)

「これであなたは、私のつがい」


「大丈夫…黄泉の国も二人ならば極楽ですよ」


「末永くよろしくお願いしますね、あ・な・た」


(淡々と冷たい声で脅すように)

「逃げようなんてしたら、絶対に許さないから」


(ぱっと優しい口調に戻る)

「なんてびっくりしましたか?」


//怯える主人公   


(申し訳なさそうに)

「えっと…流石に悪ふざけが過ぎましたね」


(少しだけ慌てたように)

「怖がらないでください、私はちゃんと生きてますよ、本当です」


(しゅんとしたように)

「うう…自業自得とはいえ、悲しいです…」


(思いついたように優しい口調で)

「そうだ…証拠に…ほら」


//主人公の頭を抱きしめるヒロイン


【ここから優しく囁き】

「ぎゅっと…頭を抱きしめて…ほら感じますか…?」


//SE:心音 ここから


「私の心臓の音…ちゃんと動いているでしょう?」


「耳をすまして、よく聞いて…」


//数十秒ほど心音と息づかいのみ


「とくん…とくん…と動いているのが分かるでしょう」


「暖かい体温も感じてくれていますよね?」


「生きているって、信じてくれました?」


//頷く主人公

(静かにほっとしたように)

「よかった…」


(優しく語りかけるように)

「このまま優しくぎゅっと抱きしめていますから、安心してください」


「あなたも、私の体に身を任せてください」


「力を抜いて…全部私に委ねて…」


「そう、その調子…」


「頭も撫でてしまいます」


「いい子…いい子…素直で本当に可愛い…」


「さっきは怖がらせしまってごめんなさい、もう心配ありませんよ」


「ここにはあなたを傷つけるものはありません」


「しがらみも悩みも、全部忘れていいんです…」


「大丈夫です…大丈夫…大丈夫…もう怖くありませんよ…」


「あなたのことは、私が絶対に守ります」


「大丈夫…大丈夫…怖くない…怖くありません」


「怖くない…何も心配ないよ」


「怖くない…怖くない…大丈夫…大丈夫だよ…」


「私がここでぎゅっとしてるから、大丈夫…」


「ほら、手もぎゅっと握りましょう」


「体も手も、心だって…全部私が抱きしめちゃいます」


「このまま私の鼓動の音を聴きながら、ゆっくりと深呼吸しましょう」


 【ここから】

(ゆっくりと)

「吸って…」


//間を空けて

「吐いて…」

 【ここまで3回ほど繰り返し】


(静かに優しい口調で)

「気持ち、落ち着いてきたようですね」


「もちろん、まだまだこうしていていいんですよ」


「私も暖かい気持ちでいっぱいになってしまったので、止めるつもりはありませんから」


「両手いっぱいに、あなたの体を抱きしめる感覚と、温もりで…」


「大好きな気持ちが溢れて止まらないんです」


「ですから、もっとぎゅ~っ…と抱きしめさせてくださいね」


「こんな風にぎゅー…ぎゅー…っと…」


(深呼吸するように)

「すぅ~…ふぅ~…」


「本当に…いい心地…」


「ずっとこうしていたいです…」


(苦笑しながら)

「あなたへのお詫びのつもりだったのに、私ばかり得をしていますね」


(甘えるように)

「どうか、許していただけますか?」


(静かに微笑むように)

「ありがとうございます」


(優しく語りかけるように)

「時間はたくさんあります、あなたもどうぞ、この時を楽しんでください」


「静かな雨の中…私に包まれながら…」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る