???日目 side:???

夢を見た。

私はいつものように制服を着た後、少し寒いのでブレザーを羽織る。

そしていつものように学校へとドアを開いた。

そこには1人の男の子が体を起き上がらせていた。

私は彼を知っていた。そしておそらく彼も同じように私を知っていた。だが間違いなく私たちは現実では会ったことはなかった。

私たちは会話をしながら学校までの道のりを歩いていく。裏門をくぐった頃、彼は少し後退り、私の後ろを歩き始めた。私たちはそのまま部室へと進む。部室へ入ると私は彼の方へと振り向き彼の名前を呼んだ。それは私の記憶にない言葉だった。

「今日は何して遊ぶ?」

そう、発するのは私なのに私ではない気がした。元々この部活は私1人で活動している。誰か、その知らない人でなくとも、ここに私以外がいるのはおかしいことであった。

だけど彼と会話しながら進めるボードゲームはいつものようにそう、常にそうであったかのように進んだ。

夕陽が沈みかける頃、私たちは帰る準備を始めた。

準備も終わり彼は一度扉に手をかけた。しかし、少し開くともう一度扉を閉めてしまい、その様子がおかしく思わず笑ってしまう。それが彼も同じだったのか、彼も笑顔を見せた。

そこで夢は覚めた。

「なんで…」

私がそう呟くのは目覚めた目元が濡れているから。

濡れた原因はどこの誰とも知らない彼であろう。でも、なぜ彼なのかはわからない。

その疑問を頭の片隅に抱えたままリビングへと歩き出す。

「おはよう、あのさ…」

母に彼を知っていないか問いかけようとした声が続くことはなかった。

それからいつもの道を歩き、学校で1日を過ごした。

だけど、頭を支配するのは今朝の夢。いつもならすぐに曖昧になるはずの夢が今日は反対にどんどんはっきりと脳裏に焼きついていった。

家に帰ると、今日は部活もないので、着ていた制服を脱ぎ捨て、部屋着に着替える。

そのままフラフラとした足取りでベットへ飛び込むと、仰向けのままひたいに拳を当て、今朝の夢について考える。

そうしてどれくらいの時間が経った頃だろうか、私の瞼は次第に落ちていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る