2日目 side:???
今、私は誰もいない中学校の裏門に1人佇んでいる。
数年前に卒業したこの学校は相変わらず古びたままだ。
外ならそのまま歩いて帰れたのだが、残念ながら立っているのは門の中である。門には南京錠がかかっており、また、よじ登れるような形状でもない。
どうしようもなくなったので私は、あの頃の懐古でもしようかと校内を探索してみることにした。
2年生の頃だったか、よく使っていた玄関口の扉だけが今、開かれている。
少し悪いことをしている気分であったが、それよりも好奇心が勝ち、中に入った。
誰もいないであろう真っ暗な校内は記憶にある姿とは一風変わったもののように思えた。全ての窓が閉まりきっているせいか音がよく響き、私の階段を登る足音がランウェイを歩くモデルのように強調されている。
4階に到達すると右へ曲がる、そこから数えて2番目の教室が私のいた3年1組の教室だった。
ドアに手をかけるが、やはり鍵がかかってるようでガタガタと音を鳴らすだけだった。
肩を落とし、そのまま奥の教室へと歩みを進める。
学校の様子はあの時、といっても数年前だが、変わっている様子はなかった。
違いがあるとしたらずっと修理中と書かれていたトイレの張り紙がなくなっているくらいだろうか。
中に入って確認するとトイレ全体が新しく、綺麗になっている。
ずるい。
「誰かいませんかー」
そんなことを考えていると、廊下からどこで聞いたのだろうか聞き覚えのある声が聞こえた。
廊下へと歩きあたりを見渡す。
しかし、一直線に見通しの良い廊下上には何も見えない。
体のどこからか恐怖心が湧き上がって来て、思わず私は原則走るの禁止の廊下をかけた。
そこで、急に月光が差し込む。まるで私を導くかのように。
それに従い、私が身体を階段へと向けると、そこには1人の好青年が、その眩しすぎる灯りを遮るように手の甲を額へ向け、こちらを望んでいた。
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