第6話

雨の日、屋内でゆっくり過ごしていた5人。


「…よし!これであと1枚で上がりだ!」「はーい美苑UNOって言ってませーん!」「3秒以内ならいいもんね〜!UNO!」「そんなルール知らないんだが!?」

「こういうUNOって言うの忘れたときとか、何かハンデとかあったっけ?」「私の知ってるやつだと、山札から4枚取らなきゃだったかな…?」「あ、それ夢子のところも同じだった!」「UNOのローカルルールって割とバラエティあるんだね…」


「…あ、晴れてきたぞ!」とギギが言った。

「まじで!?」「ほんとだ、雨音がやんできたね!」桃子と夢子も嬉しそうに窓の外を眺める。

「窓も開けて換気しようか…あ、虹が出てる」「ほんと!?」窓を開けた紡衣と美苑が笑顔で言った。晴れた空には大きな虹が浮かんでいる。

「しかもあの虹二重っぽくないか!?」ギギが言うと、みんなが騒ぎ出す。「まじか珍しっ!」「誰か!?誰かiPhoneの人いない!?」「僕iPhoneだから撮るよ!後でグループラインに送るねっ」「ありがと〜!」


「…あれ?運動場にあるあのテント、何?」「あれは体育祭のテントじゃないかな?」「もう出してるんだ!?」桃子が驚くと、紡衣がくすっと笑う。「私達が学年演技の練習してる間、男子が立ててくれてたみたいだね」「そうか…って、なんで今年は男子の学年演技ないんだよ!」桃子が激昂する。


学年演技とは、1、2、3年生が学年別に分かれて踊る種目のこと。例えば3年生なら自分達で振り付けを考えて踊る創作ダンス。

屋上観測部の5人は2年生なのでソーラン節を踊るのだが、今年は女子のみ。1、2年生の男子は踊らないらしい。


「でも男子は男子で去年やってたのは変な踊りだったもんね。男子の身になってみると、なくなってよかった〜って感じじゃないかな?」「それでもじゃないかな?女子はソーラン節辛いのにさ〜」「それもそうなんだよね〜」夢子が男子を擁護するが、美苑が愚痴る。

「おれはまだソーラン節でよかったと思ってるぞ」「なんで?」ギギが言うと、紡衣が不思議そうに問う。「おれは運動神経悪いからな、3年生になったときに創作ダンス踊れる自信がないんだ。ソーラン節なら小学生のころからまだ踊り慣れてるからよし」「ギギ運動神経悪いの!?意外…」夢子が驚くと、桃子が笑いながら言う。「ギギは運動できない人間だよ、抑えててもらわないと腹筋1回もできない」「その通りだ」「肯定していいんだ…」紡衣が呆れると、美苑が得意げに言った。「僕はダンス得意だから、逆に3年生になるのが楽しみだな!」「そうなんだ〜」「ダンスの習い事もしてたからね!」「そうなんだ!?」意外な特技と経歴に驚く4人。「今は好きなアイドルの振り付けを覚えてるよ〜」「へぇ〜、踊ってみてよ!」「いいよ!音楽鳴らすね〜!」


教室内は音楽と美苑のダンスを楽しむ声で溢れた。

体育祭までもう少し。

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屋上観測部と、その日常。 深みのあるプリン @HUKAMI-PURIN

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