第36話 進軍

さて、ガラテアも落としたし、メインかつ最後は領都プロテウスだな。プロテウスはブヴァード領主エドモンドの本拠地であり、そやつがいるためか、守備が非常に高い。


第一と第四の督戦隊が常駐しておるらしいし、それに従う懲罰部隊も複数あるようだしな。さらに地形が天然の要害であると聞く。そして今回は内部に我の味方になりそうなものがおらぬ故、力攻めしかない。


まあそのために戦力を温存し、溜め込んできたのだがな。



ガラテアではクエストから開放してやった懲罰部隊と鉱夫の一部を吸収した。


鉱夫には自ら望んで鉱夫になったものも多いのでな。

そやつらはたいがい腕の良い職人みたいなもので、今後の鉱山に欠かせない人材であるから、つまらぬ戦闘で消耗するのはもったいないわ。


あと栄養状態が優れなく、すぐに完調にはなりそうにない半病人も置いていく。

食料は運び込む算段はつけておるから、食って寝ておればいずれ回復するであろう。


本当にバカでもったいない使い方しておるわ。こやつらの食事を削っていかほど節約できるというのだ。また買い直す方が金銭的にも経験的にも手間的にも、そして忠誠度的にもずっと損をするだろうに。

目先のことしか見えない愚なのであろう。そんな状況でもこの鉱山はかなり儲けを出しておったようだしな。



まあ良い。今のところこの町ガラテアへはモリーの【魅了】だけだが、【熱狂】しておる我が軍勢が勝手に【熱狂】を拡散しておるから、ほぼ手中に収めたといっていいだろう。



まあガラテアは荒くれにしか見えん元鉱夫のウォレントに任せよう。

カーンとウェルナーをつけておけばなんとかなるであろう。通信係として人間に化けたグレーターデビルを一人召喚しウォレントにつけておく。


ガラテアの治安維持および自衛には、教育の行き届いたヘオヅォル配下の兵士数名とレッサーデビル兵数名をおいておく。



数日ガラテアに駐屯し、タラッサからの補給を受けたり、ガラテアの方向性を筋道つけていた。


その数日中にマルコから念話があった。ちゃんと第三督戦隊の隊長を暗殺し、その部隊は多くを【支配】したらしい。

そしてその第三督戦隊はそのままプロテウスへ帰還するようにしているらしい。



すなわちその部隊は第三督戦隊のまま、我らの思うまま動くようになったということよな。このままマルコが動かしておれば、面白い動きが出来るかもな。


マルコにはそのままプロテウスを目指す、しかし進軍速度は落として我らに合わせられるようにするように言った。



数日後、プロテウス目指し、我ら本隊は進軍を開始した。


……


道中の付近にゴブリン部族がいるという話を聞きつけたので、マリウスと第二督戦隊付きのビーストテイマーであったニコラを連れて、捕まえに行った。


するとちょうどゴブリンどもがグリフォンどもに襲われておったので、ついでにグリフォン三頭と共にシャーマン率いるゴブリン部族一つをまるまるテイムしてきた。ニコラは有能だと思っておったが、我の魔力支援だけでここまでのテイム力があるとまでは思わんかったわ。


ゴブリンどもやグリフォンたちの食料も調達しながら戻ったので、少々時間がかかったが、面白かったわ。昔は指一つでこの目で見たこともないゴブリン部族など操っていたものだが、この目で見るとなかなか愛嬌のある奴らではないか。いくらテイムされた状態だと言ってもな。


本隊とは進んだ先で合流した。遊びみたいなもので進軍をそこまで遅らせるわけにもいかんしな。それに別働隊を増やすことができたしな。ゴブリン部族はまあ大した戦力にはならんだろうが、グリフォン三頭は大きいだろう。



なにやらニコラを大切にしておった気がするのでヘオヅォルをニコラの別働隊に数名の部下とオーガと共に合流させた。残りの第二督戦隊はハノンに任すことにした。

何度もヘオヅォルに付き従っておったから第二督戦隊の者どもに邪見にされることもないだろう。

むしろヘオヅォルをニコラの元に送るのに賛成のやつばっかだったしな。



さて、プロテウスだが、第一と第四督戦隊がいるのは確実。規模は第一も第四も第二よりは小さいらしいが第一には精鋭が揃えられているらしい。第四は遊撃が得意らしいから、まずは第四を懲罰部隊とともにプロテウスからおびき出して叩くのがいいだろうが、さて。


懲罰部隊はどれほどいるのか、予測もつかんからのう。

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