第15話 因果応報
「村長、そいつを背負って帰ってくれ。アロン、サムソンにハノン、お前たちは村長の護衛だ」
四人全員から抗議が来る。
「心配するな。お前たちは誰にも追わせないし、我らも必ず村へ戻る。約束しよう」
「アリス様の言うことは絶対です。わたくしからも命令しましょうか? はい、分かりましたね。心配しなくても悪いことにはなりませんよ」
魅了を受けている戦士二人はモリーの言うことを逆らうことは出来ない。逆らうことができるはずのハノンは素直に言うことに従っている。
なおも抗議はするが死んだ若者をしっかり背負う村長。
戦士二人に説得されるように連れて行かれる。
ハノンはまかせろという目でこちらを見た。
「ひゅ~、かっこいいね~、お姉さん。自己犠牲精神素晴らしいねぇ」
取り囲んでいたモヒカンどもが無警戒に近寄ってくる。オーガどもは遠いしジャイアントはここからでは見えない。
「ヒャッハー、じゃー俺、この変なかっこうのお姉さん!」
「仕方なしだぞ。仕方なしでこっちのちっさい方を」
はーぁ。こいつら本当に自然発生じゃないのか。人間の雑魚とはここまでなのか。
我の顎をつかんできたモヒカンは、すぐに叫び声を上げた。ほぼ同時にモリーに手を出そうとしたモヒカンはその出した腕を切り飛ばされた。
我に触れたモヒカンは我のバックパックに潜んでおったゾンビスネークに噛まれた。
もちろん魔毒を注入させた。
そのモヒカンはしばらくのたうち回って動かなくなった。毒の泡が口元から溢れ、地面を汚す。
「お前ら! 何しやがった!」
囲んでいたモヒカンたちが叫ぶ。
「見てなかったのか? 返り討ちにしただけだ」
とはいえ、多勢に無勢。この今の弱い体では攻撃を受けると動けなくなるだろう。先制せんとな。
ちらと見ると、いつの間にかモリーが村においてきたはずの駱駝に乗っておる。召喚したのか?
よく分からんがあれなら少なくともモヒカンにやられることはないだろう。
次は我じゃな。
先程からウルフゾンビを呼んでおるが、あれは別に召喚獣でもないただのゾンビであるから到着に時間がかかるようだ。
「〈サンダーウォール〉」
モヒカンリーダーを巻き込むように雷の壁を立てる。雷の閃光がモヒカンを照らし、焦げた臭いが広がる。
取り巻きの数人は巻き込んだが、リーダーは逃れたようだ。雑魚とはいえ、リーダーか。
〈サンダーウォール〉は地面から空に向かって放電しているかのような線をある程度任意で敷く魔法だ。
それをモリーがいる方とは逆に半円状に敷いた。
どこに敷いたかは相手には見えないから、すぐに何人も突っ込んでこようとして雷に撃たれた。
「ぎゃー!」「魔法なのかこれ?」「何だこの生き物」
オーガが駆けつけてきた。
さすがに〈サンダーウォール」には乗らないか。
駱駝に乗っているモリーは手を出されてはいないが取り囲まれている。
『あまり殺すな』
『殺さないのですか?』
『贄より生贄の方がいいだろう?』
『ああ、そういうことですか。分かりましたわ』
「〈パラライズストーム〉」
我の殺すな、という方針を聞いて、逆に攻撃的になるモリー。我との相性も良いようだ。選んだ魔法も申し分がない。
「〈パラライズストーム〉」
我も〈サンダーウォール〉の向こうにいるモヒカン共にモリーと同じ魔法を放つ。比較的対策されやすい魔法であるが、このような雑魚ならば問題あるまい。
この魔法の恐ろしいところは食らってしまうと体が麻痺して動けなくなるが、意識はしっかりと残っているところよ。また目ならば若干動かすことができるし、即死することもない。
なにより恐怖を与えられるのが良い。
「お前たち、なぶったのだろう? ならなぶられても仕方ないなぁ」
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