第14話 モヒカンリーダー
顔が完全に割れておるのは村長だろうから、村長の後を皆でついていく。
我らが入ってきた方向とは逆の村への出入り口と言える場所に使いという者が立っていた。
なんじゃあやつ。
赤く染めたモヒカンに肩パッドがついた全身レザーアーマーで、肩パッドには意味の分からん棘が生えておるぞ。
そして持っている武器は斧か。
「やっと来やがったか! お頭がお待ちだ。とっととついてきな!」
『こういう世界では珍しいやつが出てきましたね』
モリーから念話だ。
モリー=ゴモリーは根源世界の魔王であるし、我ら魔王も根源世界や
あのようなやからはよく
『そうだな。さすがに自然発生ではないと思うが、そういうセンスの持ち主が上におるんじゃろうて。程度がしれるのう』
村の出入り口からすぐのところに馬車が何台も留めてあった。
そこには大型のテントもあるようだ。
村のすぐ近くに駐屯しているようだ。
騎兵らしいものも見える。
モヒカンを使いに出す割にはかなりのまともな戦力のように見える。
そして壁代わりに並べておるであろう場所越しにも見えるやつがおるのう。
あれはオーガか。
オーガが二体と、その奥にもっと大きいものもおるな。
ジャイアントに見えるな。
『ジャイアントがいるように見えるんじゃが、モリーはどうみる?』
『はい、オーガにジャイアントですね。ジャイアントは特殊能力のないヒルジャイアントだと思われます。その分膂力はもっとも優れているとされていますが』
『少なくとも我の前の姿の時はオーガもジャイアントも我ら魔属側だったはずなんだが、何故こいつらは人間に従っておるのだ?』
『いくつか考えられますが、一番可能性が高そうなのは、こちらの戦士たちと同じ要因ですね』
『テイマーの類か、魅了か』
「ワジャよ。オーガやジャイアントの存在は知っておったか?」
こそっと村長ワジャに問いかける。
「オーガは知っておりましたが、ジャイアントまでは」
ふむう、オーガだけで屈していたのか。魔力はあっても戦闘の役には立たなそうだな。村人も村長も。
まあそんなものか。
『こちらの戦士にも荷が重そうです。オーガごときですら。こやつらはわたくしたちが受け持ったほうがいいですね』
『もう戦う気でいるのだな。まあ我もだが』
「来たか、村長。それとお嬢様方、運がなかったな。あんたらは完全に巻き込まれだ。恨むなら村を恨みな」
そんな事を言ってきたのは豪華なモヒカンといった風なやつだった。モヒカンリーダーとでもしておこう。
「村長、今日呼んだのはこいつをひきとってもらいたくてな」
数人のモヒカンに連れられていった先に誰か倒れていた。
そこにもモヒカンが居て完全に我らは囲まれた。
倒れている者に村長が駆け寄る。
「バーモン! なぜお前が……」
バーモンと呼ばれたものはすでに死んでおるな。
傷跡から察するになぶられたな。
浅い傷が多い上に、止めは心臓への一撃だ。
「なぜ、こんなむごいことを……」
「はっ、村から逃がすわけないだろうが」
「逃げたわけでは! 領主様に連絡に……」
「そんなの俺らが許すわけがないだろぉ~がよぉ~」
モヒカンリーダーは今にも持っているナイフを舐めだしそうな雰囲気でそんなことを巻き舌で言う。
「そいつの体は返してやるって言ってんだ。これはすげぇ温情だぜぇ~? あ、お嬢ちゃんたちはここに残ってな。村長らも帰っていいぜ?」
舐めきった態度で我らを異様な目で見る。
「村長、そいつを背負って帰ってくれ。アロン、サムソンにハノン、お前たちは村長の護衛だ」
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