第十二章 偶然の再会

半年後のある日、美咲は書店で経済書を探していた。新しいプロジェクトのための勉強だった。


「あの...美咲さん?」


振り返ると、翔太が立っていた。以前より落ち着いた雰囲気で、手には哲学書を持っていた。


「翔太さん」美咲が驚いた。


「偶然ですね。お元気でしたか?」


「はい。翔太さんも」


二人は気まずくならずに、自然に会話を始めた。


「哲学書ですか?意外です」美咲が翔太の本を見て言った。


「美咲さんと別れてから、いろいろ考えることが多くなって」翔太が苦笑いした。


「私も、新しいプロジェクトで勉強中です」


「相変わらず仕事熱心ですね」


「でも、最近はチームワークの大切さも学んでます。翔太さんから教わったこともありますし」


翔太は驚いた。


「僕から?」


「コミュニケーションの大切さとか。人との関わり方とか」


「そんな偉そうなこと教えた覚えはないですけど...」


「直接じゃないですよ」美咲が笑った。「翔太さんとの関係を通して学んだんです」


二人は書店の中を一緒に歩きながら話した。


「美咲さん、少し変わりましたね」翔太が言った。


「そうですか?」


「前より...柔らかくなったというか。でも、芯は変わってない」


美咲は嬉しそうに微笑んだ。


「翔太さんこそ、落ち着きましたね。前よりも話しやすいです」


「ありがとうございます。美咲さんのおかげです」

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