成果
「大丈夫だったかしら!?ニュースで見たわ!」
「ニュースで見たのなら大丈夫なのわかるでしょう?」
石のゴーレムを無事に撃破した後、僕とは別行動していた早見さんと合流していた。
「真紀の奴、足を引っ張ってばかりだったわね。私は元々反対だったのよ。真紀と蓮夜くんが一緒だなんて。何時ものように私と一緒に……」
「おい。急に私をディスるなよ。あの場に居たらお前も同じだろ。私たちはほとんど力を開示できないんだから」
「再生しかできない奴が……」
「奥の手があるわ!奥の手がァ!私を雑魚扱いするな!」
あっ、雑魚じゃなかったんだ。
勝手に再生できるだけだと思っていた。再生能力による生存能力の高さを買われて潜入任務をメインでこなしている人だと思っていた。
「だとしても、私なら」
「早見さん早見さん」
早見さんと真紀さんの言い合いがヒートアップする気配を敏感に感じ取った僕は強引に早見さんの名前を呼んで話題を変えさせる。
「んっ?何かしら?」
「早見さんの方はお仕事完璧ですか?中々面倒なお仕事を頼まれていた様子でしたけど」
「えっ?あぁ、完璧よ。心配ないわ」
僕の疑問の言葉に早見さんは頷く。
「あぁ、こっちは完全に当たりだったわ」
「おっ」
「敵組織にしっかりとぶち当たったわ。半年前ほどから慎重に動いていたみたいだけど、所詮ただの魔法少女の集まりね。結構ざるだったわ。これまでまともに活動していなかったから私たちに気づかれていなかった組織ね」
「どんな組織構成していたんですか?」
「構成員は十名弱。全員が魔法少女。中心メンバーは遠崎伊織。良家のお嬢様みたいね」
「ん?遠崎伊織……あの、彼女?」
「……知っている、女なの?」
「知っている、とまでではないかな。昔、コネクションを広げる為にお父さんの名前を勝手に使って押し入ったパーティー会場で会ったことがあるんだよ……なるほど。あの人は自由人だったから、ただ力を持っているという理由だけで魔法少女という立場に閉じ込められているのが嫌だったのかな?」
とはいえ、だからと言って人を殺そうとするような危険思想は持っていなかったと思うんだけど……。
「うーん……それにしても、ただの魔法少女立ちの集まりだとするならガンギマリ過ぎじゃないですか?一度、こちらで捕まえた彼女。未だに何も吐いていないんですよね?」
何というか色々と違和感が多いな。
やっていることの規模と、構成員の様相が合っていない。確実に大人が関わっていると思っていたのだけど……早見さんの調べが足りていないだけなのかな?うーん、でも、なぁ?こういう時の早見さんを信じている僕もいるんだ。
「そうね。とはいっても、あの女は何時の間にか何かしらの魔法でずっと意識を閉ざしていて何も聞けない状態に変わっていて何も出来ていないだけなのだけど」
「廃人状態になることを了承しているのが怖いですけどね」
無許可だとしても……あの遠崎さんがそんなことをねぇ?正義感が強い人だった記憶があるのだけど。
「でも、今ここで悩むことでもないですね。会ったのだって数年は前のこと。気にすることでもないですね」
「それもそうね」
会ってみれば、わかることだ。
「もう既に拠点の場所とかは割ったんですか?」
「えぇ、もちろん」
「おー!なら今からもう早速襲撃仕掛けようぜ。こっちは一個敵の地雷を踏んじまったんだ。相手に何か動きを許すよりも前に私たちから動こう。うだうだやっていても仕方ねぇ」
「えっ?もう行くの?」
「良いじゃないですか。折角なんだし、行ってみましょうよ」
僕は意気揚々と今から突っ込もうと言い出した真紀さんの言葉に頷く。
善は急げ。
相手に何かをさせる余地も与えず、一網打尽にしてしまうのが早いと思う。
「えぇ……?」
「僕なら負けないですよ」
「まっ、それもそうね。じゃあ、行きましょうか」
「はい」
「おう!ド派手にぶっ潰してやろうぜ!」
対魔法少女の為に設立された公安魔法少女第三課の本領を発揮するときだ。
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