報連相

『な、何でいきなり襲撃するって話になっているのよーっ!』


 相手に何かをさせるような隙を与えない。

 そう決断し、相手の組織への襲撃を企てた僕たちに対し、自分らの上司である土御門さんが絶叫する。

 もう既に移動を開始している僕たちの報告を聞いて一番の言葉だった。


『報告がようやく来た!と思ったらもうなんか勝手に現場が動いているわ!もうほんと、ほんと好き放題動いているわ!何でもう敵サイドの襲撃を仕掛ける、って話になっているのよ!なんで一番の上司である私が何も知らないのよ!まったく!報連相くらいしっかりしてほしいものだわ!』


『すみません……土御門さん。でも、そっちの方が手っ取り早いかな、って。それで、土御門さんの力も借りたいと……』


 この現代日本で事を起こすとなれば、土御門さんの魔法は欠かせない。

 土御門さんの魔法さえあれば、カメラに怯えることもなく好き放題暴れることが出来る。


『……はぁー、素直にこちらの力を借りようとしてくれるだけで満足するべきなのかもねぇ。癖の強いメンバーを集めた私の身から出た錆とも言えるわよねぇ』


『あの、すみません……』


 癖の強いメンバー……うーむ。僕は使いやすい人材を自負していたのに。


『蓮夜くんが謝らなくていいのよ?全部、真紀が悪いわ』


『うぉい!?何でそうなるっ!ぶちのめすぞ!』


『事実よ、消えて。切実に』


『んだとぉ!?』


『ちょっとこんな時まで喧嘩しないで頂戴。どうせ三人で行動しているのでしょ?これ以上喧嘩するなら二人まとめてこの回線から蹴るわよ』


『『それはちょっと……』』


 今、僕たちが会話しているのは土御門さんの魔法で誰にも盗聴されないようガチガチにセキュリティーで守られたグループ通話内でのこと。

 この通話に入れたり蹴ったりは土御門さんの匙加減だ。

 

『喧嘩しないようにお願いしますね?』


 僕だけが土御門さんの指示聞いて、それを他の二人に伝えて、なんていう非効率的なことはできる限りしたくない。


『……場所は把握したわ。ちょうど、一条大臣が所有されている敷地内ね。こっちのほうでどんな問題が起きようとも内々に処理できる場ね。こっちでいい感じに回しておくわ。一条くんの名前、少し借りるかもしれないけど、いいかしら?』


 わぁ、うちのお父さんの敷地内何だ。

 ずいぶんと命知らずなことをしているんだね。


『どうぞー。お好きにお使いください』


 何処まで有用なのかはわからないけど。


『襲撃はもう好きなようにしなさい。私からはあまりどうこう言わないわ。好きに暴れて頂戴』


『ふふっ、最高の命令ですよ』


 異世界でもそうだったが、結局好きにやれと言われているときこそ、最も楽で力を発揮しやすいのだ。


「よし、行きましょうか」


 相手が根城としているらしい地下拠点の上空。

 そこに立った僕は手元を魔力で覆う。


「ハハッ」


 そして、そのまま地上に向かってただ膨大な魔力を叩きつけるのだった。



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