第2話 合評会(がっぴょうかい)
次の週の土曜日。
合評会(がっぴょうかい)は午后(ごご)二時からだった。 集合場所に行ってみると、すでに皆様はそこに集まっていらっしゃった。 勿論、聖美(きよみ)も居た。 老若男女、さまざな方たちがそこにはお集まりになっていた。 定時になって合評会(がっぴょうかい)が始まった。 まず始め、1号室に作品のある、五十代男性が作品の解説をしていた。 彼の言うことを要約すると彼の作品は、働きながら夫と共に家庭を支える現代の女性をテーマに抽象表現(ちゅうしょうひょうげん)を試みた、との内容だった。 私から見ても、作品が十分その様に見えたのでとても難しいテーマをその男性は簡単にやっていらっしゃっていて凄いとただ感心し、作品に見入ってしまった。 部屋番号が変わって行き、一人ずつまたひとりと喋る順番が廻って行き、遂に私の番になった。 私は元々『上がり症』なので、がちがちになっている自分を落ち着かせながら、ゆっくりと喋った。 最後まで喋り終えると質疑応答に応じたりして無事に自分の発表を終わらせた。 私はほっと胸を撫で下ろす。
「終わった……」
安心をしていると右肩に優しくポンと手を置く者が居る。 先程の五十代男性の(仮名)髙橋・健一(たかはし・けんいち)さんだった。
「お疲れ様!」
「今回の君の絵は雅(みやび)な作品群だったね」
私は作品を気に入っていただいたことを嬉しく思い、その方に御礼を申し上げた。 その何人か後に聖美(きよみ)の発表もあり彼女も無事に自分の『仕事』を終わらせた。 先程の髙橋さんは聖美(きよみ)にも近寄り彼女の耳元で何事かを囁いた。 気のせいだろうか聖美(きよみ)が少し顔を赤らめた様にも見えたが、まさかとも思い私はその行為を気にも止めなかった……。
合評会(がっぴょうかい)は漸く終わった。司会の(仮名)五百戸・利柾(いおこ・としまさ)先生が、
「この後、作家同士の交流も兼ねて呑み会を開きたいと思います」
「場所は『テング酒場』です」
「参加を希望する方は夕方五時までに、会場入口にお集まりください!」
と、合評会(がっぴょうかい)参加者に声を掛けていらした。 私は元より酒好きであるから、付き合うことにした。
「聖美(きよみ)さん、どうします!?」
聖美(きよみ)は、私が参加するなら『自分も』と、一緒になって夕方五時に待ち合わせ場所へ向かった。
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