第六話……どうにでもなる!
「な……何ですの、そのスキルは⁉️ あ、あり得ませんわ……!」
文字通り、元の場所に舞い戻ってきた私達に、戸惑いの表情で話しかける化物。
「たすくお姉ちゃん、すごいね!」
「あなたは一体……」
ラピスと剣士も殺陣を中断し、二人で並んだ上、こちらを見ていた。
化物達も今まで戦っていた二人の現在の様子に、さぞ驚くだろうと思ったら、それどころではないようだ。
「姫……ここは退却した方が……」
「何を言っているの! 当てればいいでしょう、当てれば! 近づけば当たるでしょう! 早くしなさい!」
「し、しかし、青い虎の実力も計り知れず、組合の人間と少なくとも互角以上であるなら、分が悪いかと……」
「命令よ! 次に私に同じ言葉を言わせたら、一族郎党皆殺し!」
「は、はっ!」
何となくだが、化物達の今のやり取りは、たすくの癪に障りそうだと思ったら、案の定、たすくが一歩前に出た。
「待てよ! 部下がせっかく冷静に戦力を分析して進言してるのに、感情だけでそれを否定するのはおかしいだろ!
それに、そんな下らない理由で死刑にするなんて愚の骨頂だ! 権威ある王族だとしたら尚更! もっとよく考えて、責任ある発言をしろよ!」
「はっ、余計なお世話ですし、何を今更! これまであなたからそんなことを言われた覚えは、一度たりともありませんが。同じような処罰を『何度も』、『目の前で』見過ごしてきたのに、よく言えますわね!
そして、あなた自身も部下の言うことなど、聞く耳を持たなかった。それがまさに無責任と言うんじゃなくて?」
この姫、化物だけど口は達者なんだよなぁ。たすくの体の人の過去の言動が分からない以上、たすくが論戦で不利になることは仕方がないことではあるが。
「全くその通りだ。だから、これまでのことは謝る。申し訳なかった。これからは自分を省みて、改めて生きて行くと約束する。
忘れていることもあるかもしれないから、その都度指摘してくれ。だから、そちらの発言も改めてほしい」
私はたすくの発言に驚きつつも、改めてたすくらしいなと思った。
自分は全く悪くないのに、まるで自分のことのように謝る。中々できることじゃないのに、平然とそれをやってのけたからだ。
「本当にあなたはバカでマヌケですね……。謝って済むなら、法律や刑など存在しないのです」
「それとこれとは話が別だろう。そもそも、冤罪なんだし」
「仮に冤罪だとして、それを認めたらどうなりますか? 陛下が誤ったご判断を下したことになり、それこそ権威が失墜するでしょう? 元王族なのにそんなことも分からないとは……。
あなたを処分する機会を陛下から与えられたことに、本当にいくら感謝しても足りないぐらいです」
「実の子を喜んで殺す父親がどこにいるんだよ! そういうのは裏の意図を読むんだよ! もし、そのまま実行したら、とんでもないことになるかもしれないぞ!」
「呆れた……。まさか、相手の意図を全く読めないあなたからそんな言葉が出てくるなんて、頭がおかしくなりそうですわ」
「分かった。話がとっ散らかって混乱するのも無理はない。まずは発言の見直しに立ち戻ろう」
「だ、か、ら! 余計なお世話だって言ってるでしょう! あーもうっ! 早くこのバカどもを殺しなさい!」
「やめろ、お前達! 俺が必ず説得するから! って、おい! 撃つな!」
たすくの発言が終わるよりも先に、部下二人がこちらに向かって走りながら魔法を放った。
「こうなったら……」
私達に目がけて飛んでくる爆裂魔法を避けようともせず、たすくは両手を前に出した。
当然、私にも危機が迫っているわけだが、それを冷静に見ている自分がいた。
今のたすくなら、どうとでも対処できるという確信があったからだ。ラピスや剣士も同じことを思っているだろう。
「何とか直撃は避けてくれよ……!」
たすくはそう言うと、爆裂魔法をそのままはね返した。
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