1-2

白と黒の閃光がぶつかり合い、夜の街を切り裂く。

ハクは必死に影と渡り合いながら、私を振り返った。


「真矢! ——絶対に来るな!」


言い終えると同時に、ハクは自ら影へと飛び込み、そのまま大通りの奥へと駆けていった。

白い光と黒い叫び声が、遠ざかっていく。


取り残された私は、ただ立ち尽くしていた。

胸の奥が締めつけられるように痛い。

(ハク……あんな顔、初めて見た……)


何が起きたのか理解が追い付かない。だが、すでにこの場にハクはおらず、状況を把握することは不可能だった。


「ケータイもつながらないよね…」


私は覚悟を決めるとハクと謎の影が向かった方角へ歩き出した。


――


「見つからない…」


どれくらいの時間が経っただろうか、ハクが消えていった方向へ歩いているものの物音も聞こえず、痕跡らしきものも見当たらない。


方向を間違えたか?と一度、元来た道を戻ろうと振り返った時、


——ズルッ。


耳に届いたのは、濡れた布を引きずるような音。

心臓が跳ね、視線を向ける。


路地の奥、街灯に照らされた影が一つ。

倒れ込むように壁に凭れかかり、よろめきながらこちらへ歩み出てくる。


「……だれ……?」


声をかけた瞬間、私は息を呑んだ。

それは人間だった。いや、人間“だった”もの。


マントのような布は血に濡れ、体にはひび割れた黒い紋様が走っている。

目は焦点を失い、口元はだらりと開き——。


「△……※……◆◆」


意味を成さない声。

記号の羅列のような音が、空気を震わせる。


(まさか……さっきの……!?)


怪我をしているのか、足取りはおぼつかない。

だが、次の瞬間。


その虚ろな瞳が、確かに私を捕らえた。


「——ッ!」


背筋を凍らせる殺意。

重傷を負っているはずなのに、異様な速さで飛びかかってくる。


「きゃっ!」


咄嗟に後ずさるが、アスファルトに足を取られ、尻もちをついてしまった。


振り下ろされる黒い腕。

その影が、私を覆い尽くす——。

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