1-3
振り下ろされる黒い腕。
私は目を固く閉じ、迫りくる死を受け止めるしかなかった——。
「——ッ!」
轟音とともに、閃光が走った。
熱風が頬をかすめ、何かが弾け飛ぶ音が響く。
恐る恐る目を開けると、そこには。
「◆△……ァ……」
呻き声を上げて崩れ落ちる、黒い人影。
胸元には穿たれた穴が残り、そこから黒い靄が噴き出す。
やがてその肉体は崩れ、砂のように散っていった。
「……っ、ハク……!」
私のすぐ目の前に立つのは白髪の少女。
その手からは、黒い何かが滴り落ちていた。
あまりに現実離れした光景に、言葉が出ない。
ただひとつ確かに分かるのは——ハクが、その命を奪ったという事実。
「は、ハク……今の……」
震える声で問いかける。
だがハクは私を見ようとしない。
硬く結ばれた唇、影を背負った横顔。
「……ごめんね、真矢」
低く、押し殺した声。
あの穏やかで優しいハクのものとは思えなかった。
「待って! 違うの、私は……っ」
必死に言葉を紡ごうとするが、喉が詰まる。
ハクは振り返らず、私に背を向けた。
「忘れて。今夜見たことも、私のことも」
「そんなの——できるわけない!」
叫びは夜に吸い込まれる。
けれどハクは足を止めない。
白い髪が闇に溶けていく。
追いかけようと手を伸ばしたが、指先は虚空を掴むだけだった。
——残されたのは、私と冷たい夜風だけ。
膝が震え、アスファルトに手をつく。
胸の奥が痛い。
ハクが何と戦っていたのか、なぜあんな表情を見せたのか。
そして——どうして、私から離れてしまったのか。
答えは何ひとつ分からないまま、呆然と私は立ち尽くす。
その時、
"真実を知りたいのかァ?"
その背筋の凍るような不気味な声が自身の足元から聞こえてきたことに気づいた。
そこには、黒い影がつけていた仮面がニヤリと笑みを浮かべていた。
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