第4話 感情豊かなお馬たち
馬と聞いてどんな姿を思い浮かべるでしょう。絵本なら白馬に乗った王子様、もしくは勇猛果敢に戦へ駈ける姿でしょうか。絵本や映画に出てくるお馬さんたちはとってもかっこいいですよね。
もちろん、かっこいいですよ。凛とした表情をして佇んでいる時もあります。あります、、、が、彼らは正直者です。好きなものは好き、嫌なものは嫌、暑くて運動するのだるーい、雨で濡れるの嫌なんですけど、、、等。出勤拒否されることもしょっちゅうです。人と同様で10頭いれば10頭ごと考えてることも性格も異なるのです。
ある豪雨の日、お馬さんたちにはお仕事がありました。バケツをひっくり返したような雨です。馬場は、だんだんと陸地が少なくなり、蹄跡においてはほぼ湖でした。まるでクロスカントリーの会場のような状態の中、かかる速歩の号令に反応した馬たち。私はある一頭の馬の表情が忘れられません。「え、まじで?まじで走んの?雨よ?下ぐちゃぐちゃだし、、、走んのかよ。」目からはハイライトが消え、死んだ魚のような目をしていました。馬たちとともに濡れ鼠になっていた私、思わず笑ってしまいました。馬語は分かりませんが、あの表情から心の声は伝わりましたね。「しっかたねぇなぁ、走るよ。全くもう。」とあきらめ顔で走ってました。レッスン後、洗い場にて「大雨なのに頑張ったねぇ」と声をかけると顔をブンブン振ってました。まるで「いや、ほんとそれ、びっしょりなんだけど、お手入れよろしく」とでも言っているようでした。
いくら人が指示を出しても馬のやる気が起きなければ馬は動きません。正直者の馬も働き者ですね。
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