王子の最初の爆発
クラス・レガリアの中で…
カイルとゼインは、他の生徒たちから少し離れた教室の一番後ろの席を選んで座っていた。
しかし、それでもクラス中のほとんどの生徒が、カイルの方をちらちらと見ていた。
カイルは落ち着かない様子で体を少し前に乗り出し、ゼインに小声で囁いた。
「え…みんな、なんで俺の方ばっかり見てるんだ? なんか変か?」
ゼインは周りを見回してから、ニヤリと笑ってカイルに答えた。
「変っていうよりさ、お前の見た目が目立ちすぎるんだよ。気づいてないのか? お前、他の奴らと全然違うぞ。」
カイルは片眉を上げて、首をかしげた。
「本当に? そんなことないと思うけど。」
ゼインはため息をつき、真面目な顔でカイルを見つめた。
「ところでさ…お前、今いくつなんだ?」
「十五。なんで?」
カイルが気軽に答えると、ゼインの目が大きく見開かれた。
「はぁ!? じゅ、十五歳!? マジかよ!」
その声があまりにも大きかったせいで、近くの生徒たちが思わず振り向いた。
カイルは苦笑しながら後頭部をかいた。
「うん、そうだけど? 別に普通だろ?」
ゼインはカイルを上から下まで見て、信じられないというように呟いた。
「普通って…お前、先生より背高いぞ! どう見ても十五歳じゃねぇ!」
カイルは小さく笑いながら、本当の理由を隠した。
「はは…まぁ、ちょっと成長が早いだけさ。」
だが、心の中では別のことを考えていた。
(もし本当のことを言ったら…きっと誰も信じないだろうな。)
(俺は転生者だ。きっとこの成長の速さも、神の干渉のせいなんだろう。)
そう思いながら、カイルは無表情で窓の外を見つめた。
その時、教室の扉が開いた。
白銀の髪を持つエリナと、青く輝く髪のセルヴィアが堂々と入ってくる。
二人の登場だけで、教室の空気が一気に変わった。周囲の生徒たちはざわめき、息をのむ。
カイルはちらりと視線を向けただけで、興味なさそうに目をそらした。
一方、隣のゼインは目を輝かせてカイルの肩を叩いた。
「なぁ、見ろよ! エリナとセルヴィアだぜ! やっべぇ…二人ともマジで天使じゃねぇか! ここが天国かよ!」
カイルはうんざりしたようにため息をつく。
「ったく…いちいち騒ぐなよ。」
ゼインは気にも留めず、嬉しそうにニヤニヤしていた。
しかし、その時。
教室に入ったエリナとセルヴィアの視線が、自然とカイルの席に向かう。
エリナは興味深そうに、セルヴィアは探るような目でカイルを見つめた。
カイルも一瞬だけ二人の視線を受け止めるが、すぐにそっぽを向いた。
ただ、心の中では静かに呟いた。
(……妙な気配だな。あの二人、ただの生徒じゃないかもな。)
エリナとセルヴィアは優雅に歩き、カイルとゼインの隣の席に座る。
教室の空気はさらにざわつき、男子生徒たちの視線が集中した。
ゼインはまるで興奮を抑えられないような顔で、カイルの肘を突く。
カイルは無視して椅子に深く腰を下ろし、顎に手を添えたまま静かに目を閉じる。
数秒後、教室の扉が再び開いた。
長いローブをまとった中年の男性教師が、分厚い魔導書を抱えて入ってくる。
その威厳ある雰囲気に、教室は一瞬で静まり返った。
「先生が来た!」と、誰かが小声で言う。
全員が立ち上がり、声を揃えて挨拶した。
「おはようございます、先生!」
教師は前へ進み、本を机の上にドンッと置いた。重い音が教室に響く。
「さて…今日から授業を始める。最も基本的でありながら最も重要な――魔力の制御についてだ。」
生徒たちの目が一斉に輝く。
中には、すぐに自分の力を試したそうな者もいた。
後ろの席で、ゼインが拳を握りしめる。
「やっときたか! これを待ってたんだ!」
彼の声には興奮がこもっていた。
エリナとセルヴィアも真剣な表情を浮かべる。
一方カイルは、静かに微笑んでいた。焦りも、緊張もない。
(ふふ…この世界の魔法ってやつ、どの程度なんだろうな。見物だ。)
そう呟きながら、彼は前の生徒たちを観察した。
「まぁ…誰が天才って呼ばれるのか、見てみるか。」
生徒たちは次々と前に出て、自分の魔法を披露していく。
小さな火花を出す者、風を起こす者、手のひらに光を灯す者――。
教室は歓声に包まれたが、カイルは椅子に寄りかかったまま静かに見ていた。
そして残ったのは、ゼイン、カイル、セルヴィア、エリナの四人だけになった。
エリナが最初に前へ進む。
彼女は目を閉じ、静かに息を吸い、手を上げる。
瞬間、空気が凍りつき、美しい氷の結晶が舞い始めた。
その光景に、教室中が息をのむ。
カイルは心の中で目を輝かせた。
(うわぁ…氷の魔法か。かっこいいな、俺も覚えたい。)
次に、セルヴィアが前に出る。
優しい声で詠唱を唱えると、手のひらから淡い緑色の光があふれ、
小さな傷を負った生徒の手を癒していく。
「すげぇ…回復魔法だ…」と、生徒たちは感嘆の声を上げた。
だがカイルは小さく息を吐き、無関心そうに呟く。
(ふーん…癒し系は俺には合わないな。)
次はゼインの番だった。
彼は胸を叩き、大声で叫ぶ。
「見てろよ! 俺の力をな! 世界を支配する男、ゼイン様の魔法だ!」
彼の手から赤い炎が立ち上がる――だが次の瞬間、
ドガァァン!!
炎は彼自身の顔の前で爆発した。
黒い煙が立ちこめ、髪はボサボサ、顔は真っ黒。
教室中が爆笑に包まれた。
「はははははは!」
「かっこいいどころか、焦げてんじゃん!」
「危ねぇ! 教室燃えるかと思った!」
カイルも思わず肩を震わせて笑った。
「はは…ほんと、面白いやつだ。」
ゼインはむせながら叫ぶ。
「くそっ…次は絶対成功させてやる!」
そして、いよいよカイルの番が来た。
彼はゆっくりと前に歩き出す。
生徒たちの視線が一斉に彼へと注がれる。
その表情は、期待と不安が入り混じっていた。
カイルは手のひらを見つめ、小さく呟く。
(目立ちすぎないように、これくらいにしておくか。)
その瞬間、手のひらの上に小さな黒い球体が現れた。
静かに回転し、冷たい闇の気配を放つ。
だが次の瞬間――
ドオオオオオオオオン!!
凄まじい爆音とともに、教室が揺れた。
黒煙が立ちこめ、窓ガラスが震える。
「な、なんだよこれ!」
「やばっ! 魔物でも召喚したのか!?」
「う、嘘だろ…!」
遠く離れた寮にいたアイリスもその音を聞きつけ、顔色を変えた。
「この爆発音…まさかカイルじゃ…!?」
一方、カイルの鞄に潜んでいたネロも慌てふためく。
(お、おい! あのガキ、なんであの魔法をこんなとこで使うんだよ!?)
カイルは頭をかきながら、へらっと笑う。
「へへっ…やば、ちょっと強すぎたかも。」
そして、焦ったふりをして先生の方を向いた。
「す、すみません先生! わざとじゃないです!」
教室中の生徒が一斉に叫んだ。
「わざとじゃない!?」
教師のこめかみに青筋が浮かび、怒鳴り声が響き渡る。
「わざとじゃないだと!? バカも休み休み言えぇぇぇ!!」
教室は悲鳴と笑いと驚きで大混乱に包まれた――。
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