救世主になんてなれないくせに
謙虚は罪だ
林檎を薔薇の棘で刺す快感を孕んでいるから
見え透いた激情は無意味だと悟っているから
最終電車を泣きながら見送らないから
空いた溝を気泡を残さずに埋められないから
高慢も傲慢も味方につけられない屑野郎だから
高らかに羞悪を叫んで赦しを請え
「罪状」
ルパンが来てくれない現実をどう受け止めようか。クッキーと牛乳をベランダで咀嚼して、正義の呪文を口ずさもう。恋人はいらないから
「盗んでください」
花一匁は殺人鬼
あの子は愛し、あの子は食す
山田は笑い、吉田は絞る
相談なんかしなくても、ヒエラルキーは一から三までしかない
そうしなくても、砂は垂直にしか落ちない
「階級社会」
一億カラットのダイヤを頂戴。物欲は人間に寄生するバイ菌なんだから、さっさとワクチンを打たないと、もう手遅れ。世界を崩壊寸前にまで追いやるバクテリアなんて、食後のプリンには敵わないけれど。
「ラスボス」
覚悟と悟りの相違を他人にぶつけることなく僕らは生きられない。ジャムを塗りすぎた朝は浮き沈みが激しいから、だれも構わないでほしい。たとえベトベトの手のひらをポケットの中に隠して平気で談話をするスキルを身につけていても、みんなは透視能力を持ってる。それでもだれも、ジャムだらけの手の心情は理解できない。
十年、二十年、百年。琥珀色の墓標の前でやっと心を打ち明けられたら、僕らは本当の友達になれるのだろうか?天使の梯子はすでに錆びれて神様は見えないけれど、君はいつだって僕の正解でいなくちゃいけないから、なりふり構わず僕を殺して欲しい。やがて赤いジャムと赤い血は混ざり合って、僕の罪はなかったことになるだろうか?そうなったら、君にとっておきの称号を上げよう。今度は両手で握手をして。
「親友」
脚色の少ない人生だから、僕は墓には入れないと思う。愛想笑いは味方を減らしたからそれは確かな事実だ。横並びをするドミノを倒したら億万長者になれるんだから、彼女は神を愛してやまないのだろう。ペンで涙を描ける彼女は何にだってなれるはず。
「共犯者」
愛し合える人の数と愛し合える方法の数が一致しないのはおかしいね。器用に生き抜いた先輩も、ブーツはドロドロだったから、曖昧な殺意は相殺されたんだ。あいつも、そいつも、あのこもどのこも虚しく笑い続けてて、でもそれがどうしても心地いいんだ
「矛盾」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます