悟らずにいられない
柚子胡椒子
氷が溶けない虚しさを抱く
油断は作物となり愛を蓄えて、透き通る青は一人で凍る。深雪に埋もれた忘れ花は結晶を残して天国に召されたまま、バカンスは遠い彼方で一人旅。相合傘は豊穣の悲しみを生むけれど、雨はきっと止んでくれない。だから金庫に孤独と無常を残せば、永遠はいつか桜の木に実るだろう。
「開花」
落雷が怖いなら格子を破れ
恋がしたいなら友達と甘美に溺れて死ね
明日が見たければカーテンに
お母さんが
お前は地平線で桜前線を追いなさい
「みちびき」
一秒より短い命を、僕らは生きている。蚊を潰す情けも持ち合わせてないせいか、腹はいつでも満たされている。甘さ、辛さ、酸っぱさ、苦さ、青さ、赤さ、明るさ暗さを忘れないようにかき抱く。雪には
「春」
パリパリパリ。セミの抜け殻を踏む音は心が割れる音に少し似ていて何故か虚しくなる。マウンテンバイクを山自転車となぜ呼んではいけないの?ママチャリを跨ぐ娘は自責を飲み込んで新しいペダルを探しに出た。
エルサレムへはあと何個坂を越えればいいのかわからない僕たちは枕を高くして寝るしかないんだ。脳を沸騰させる合言葉を忘れずに安らかに眠るしかないんだ。いつか迎えはくるはずだから、傍らにベビースターを置いて信号を鳴らすんだ。パリパリパリ。
「待ちわびる」
空気を乱す洋楽が天地を揺らし、心臓発作を起こしてしまう。救いを求める動物たちは始まりの地へとリープして一番乗りで眠る権利を得る。「どうしてあなたはこの飛行機雲が掴めないの?」
一歩進んで百万歩下がる。お母さんの指令は絶対だから、大洪水が僕らを飲み込む前に憧れを探しに出よう。戻り道に本が記すように無駄しかないのなら愛を植えよう。ブランコに乗って届ければ乙姫は天の川を死なずに越えられるだろうか?
「遠い国の目覚め」
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