第6話 ギルド副リーダー閣下登場
そういって優男に言われるがままに部屋の中央部に連れて行かれると、正面の上座から先の少女が俺を呼んだ。
「アタシは当ギルド『聖赤騎士軍』副リーダーのスズカ。情報は全て承知しているわ。アンタが規律違反を犯して、稀少レア
突然に指差してそう叫ばれた俺は、驚きの余り声を裏返しながら言う。
「ひえっ!? お、俺がなにか?」
「何が、じゃないわ。『五大ギルド合意協定』における保護
「は、はあ」
ええ、と。整理しておこう。
つまり、彼女曰く、俺が連れてこられたこの場所は、ギルドの建物であり、そして、目の前にいる少女が副リーダーだというわけだ。
そして、俺が連れてこられた理由は、倒してはいけないレアな「キバシシ」――あのザコシシのことね――を倒してしまったから、ということらしい。
なに、保護
まあ、なにはともあれ、相手方はご立腹の様。はて、どうしたものであろうか。
だってさあ、俺、そんなこと知らなかったんだよ。全く。
俺がどうしたものかとため息をついていると、一方の副リーダー閣下はそんなことには目もくれず、粛々と尋問らしきものを開始する。
「アンタ、どうして規律を犯したりしたの? 答えなさい」
俺を指差しながらそう尋問する。
なに、この上から目線。嫌になっちゃう。
まるで、上司に嫌な仕事を散々押し付けられるような不憫な会社員の気分。
ああ、働きたくないな。いっそのこと、起業しちゃおうかな。そうしたら、上司いないし。はじめから、俺が上司! 社長!
でも、社長って責任取らなきゃいけないんだよね。じゃあ、やめた。
やっぱり、働かないぞ。
って言っても、ここでは会社なんてないんだけどな。
「……アンタ、さっきから何ブツブツ呟いてるの。言いたいことがあるならはっきり言いなさい!」
しびれを切らしたかのように、足を鳴らしながら叫ぶ。
ああ、事情を取り敢えず話さねばならんな。刑に服したくないし。
俺は取り敢えず、事態を説明することにした。
「あ、あの、ですね。俺はただ単に、お腹が空いていただけでありまして、その……あのですねぇ――」
駄目だ。言葉が見つからない。だって、人に説明とかできないし。
俺、そういうの苦手だから。
「……っ!」
しかし、副リーダー閣下は業を煮やしてしまった。
「はやく言いなさいよ! こっちもアンタにそんなに時間を割くほど暇じゃないんだからね」
「す、すみません! は、話します!」
その後、俺はなんとか自慢のコミュ力を発揮し、事態の収集を図ったのだった。
そんで、たった今、解ったこと。
――あの人、恐い。
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