1:ワルコフ爆誕! その2
「さっきー、
先行する生徒の、面白
皿に乗ったパスタがフォークで巻き上げられている。
「ええ。先生に驚いて、奥に逃げていきましたが……」
担当講師にシャツの
首から上を、不格好な黒い
「もぉー! ワルさんはぁ当分おやつ無しー!
廊下だって”画素
”
「
「ソレはソウなんですがぁ、……ところでワルさぁん、妙に小さくなかったぁ?」
「俺がパーティー金庫開けたとたんに、作業台の上から”
返事をしながら、開いたドアから部屋の中を覗き込む。
「”
少年の背後から、部屋の中をうかがうVR専門家。
”
具体的には、『箱の中に入れた物は、使用せず、触れない、持ち出さない事』。
これを守らないと、ワルコフは”バトルレンダ使用の起動承認”と”オヤツ”を貰えない事になっている。
「どうだったかな? いきなりバーニア
いぶかしむ
「そうよねぇー、でもそうしたらぁ、何回か見たことある、
「確かに、……慌てたのか、んじゃなけりゃ、小さい方が、隠れやすいと思ったのかも」
「あぁー! なるほどぉー。ソレはぁあるかもぉしれませんねぇー」
どちらかと言えば、のんびり屋、似たようなペースの2人。美女の腕に付けられた開発者用デバイスは、刻々と
『22:45:18SBT』『07:35:06UTC+9』
少年は開いたドアをのぞき込み、部屋の壁に手を伸ばして、明かりを点けた。
部屋の中の大きな姿見に写った出で立ちは、ココが、ゲーマー特区でなかったら、通報物の怪しさだ。
前衛:
フルフェイスのヘルメットにゴテゴテした機械をくっつけたようなのを、頭に装着しているため、顔はほとんど見えない。重ったるい印象だが、よく見れば、口元と
両耳で金色に光るリング部分の下から、細いケーブルと太いケーブルが垂れ下がっている。後部からはボサボサの長髪が垂れ下がっている。
しまりのない
パスタの絵の付いた面白長袖Tシャツに、学校指定の白線がデザインされたカーゴパンツ。真っ黒なグローブに怪獣の足のスリッパ。
シワの入った服装から受ける、だらしない印象以外、特に評する所はない。
後衛:
オレンジと赤でデザインされた派手な魔女みたいな帽子。廊下を見張っているため帽子の後頭部に金色に光るリング見えている。その下のあたりから、無骨で黒い衛星アンテナが短く伸びている。
縁無し眼鏡のフレームには、小さなLEDが前方に向けてふたつ、不規則に明滅している。
髪型はおしゃれなナチュラルボブ。絶えずにこやかな口元。やや細身ながら健康的な体つき。
「……それにしても、
「えっ!? そっすか? 結構、高かったんですよー」
きゃっきゃ!
盛り上がる、薄暗い廊下に、部屋の明かりが漏れている。
フッ!
姿見の中、背後、足下を、横切る
「うわっ」「きゃっ」
振り向いた
パーティー金庫を表示している側とは逆の方。
突き当たりの閉じたドアの方から、何か長い物が少年の顔めがけて飛んでくる。
その何かの先端が、青白くスパークした。
ぱりぱりぱりッ!
「うぉおおっ!?」
少年は叫び、すんでのところで、
放物線を描き、白い棒が、
ゲーマー特区全域、つまり
最大スペックを発揮すれば”白昼堂々、影さえ投影可能”な完全ホログラフィー技術。
そして、その
学園
出来ないのだが、VR
簡単に言うと、”
一昨日の夜、
『
”画素演算”という、ホログラフィー規格を総動員し、大規模演算を行うと発生する、各種表示の鏡面化と同じことが起きた。
屈み込んだ
なにか、モコモコした物が凄まじい勢いで飛び上がってきた。
フゥォォン!
写実的な光沢をたたえる、丸いヘルメット、丸いバイザー。少年の顔面へ、飛びかかる宇宙服。大きさは、確かに小さい。全長30センチもないだろう。
それでも少年は、ひっ! と小さい悲鳴を上げて、
少年は知っている。
あの、
・
・たこ焼き大介謹製のNPC、試作コード1から64まで。
・
たたた、とたたた、どたたたた。板張りの廊下を駆け寄る新しい足音。
それは、少年
閉まったドアをすり抜けてきた1体。
ついさっき何もないことを確認した、姿見のある部屋から1体。
そして、
……が廊下上空で、バックパックに残るもう一本の電磁槍をつかみ、スラスター
カニのような姿勢の少年の視界の
「うわわっ! 勝手に増えるな! 出来の良い
「音声入力」「パーティーメンバー検出」「ボイスメモ」「ホラー映画」「アトラクション」「実用新案」「一攫千金」
ビビッビビッ!
「オマエかあ!」
少年は、上体を伸ばしながら、シオマネキのように、腕を突き上げるが、宇宙服には届かない。
ワルコフの槍の末尾に、
シュドドドドドッドドドドドッ!
廊下を照らす爆発。
2階の窓という窓が怪発光し、『
少年は、伸ばしたままの手で、高速で落ちてきた電磁槍を粉砕した。
少年が手にはめているデータグローブは、
「痛ってぇー!」少年は情けない声を上げ、手を押さえてうずくまる。
まだ、少年の上空に滞空している、宇宙服が、チュイーンンガチャリッ!
使い切った電磁槍を、
廊下の柱を蹴る来客用スリッパ。しなやかな
こぼれ球を両手でキャッチする。宙を舞うバスケットプレイヤーのようだ。
子供声や、普段の落ち着かない
スッタァーーーーン!
両足で着地し、ふしゅるるうぅぅぅっっと、息を吐く特別講師。
落ちる来客用スリッパの片方。
はためき、ひるがえる、笹木
―――本日は、外見も
「それ……見、……
残り3体も、光の粒子を残して、掻き消えた。
『並列させた、”
「よぉーーーーっし! つっかまえたわぁよぉうぅーーーっ!」
「ナイス! 先生!」
―――各種のショックから立ち直った
ととととっ。
彼は、『
少年は、
「もう大丈夫。ちゃんと捕まえたから―――」
大丈夫ではなかった。
特別講師がドヤ顔で、突き出す、宇宙服。
その側面から
ばしゅっ! すっぽーーーーーん!
宇宙服が、ツタンカーメンの棺のように、パカリと開き、中から何か飛び出してきた。
それは、驚いて両手をつきだした
それは、型遅れで、どこか丸っこい
抜け殻を、どうしたものかと、
「やっぱり、オマエ、小さすぎだっ!
30センチ大の物から、飛び出してきたのだ。
急にじたばたと暴れ出す全長25センチ程度の宇宙服。
その側面から
ばしゅっ! すっぽーーーーーん!
宇宙服が、ツタンカーメンの棺のように、パカリと開き、
「ニャオーーーーーーーーーーン!」
再び薄暗くなった廊下に、
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