7:祝勝会 その2と、そのころのMΘNΘCERΘS
「ずるずるるっ! ……戦闘管せ、い? ……戦うための指示を出す人? ……セコンドとか、トレーナーみたいなも―――んっつーっ!」
ワサビの入れすぎで、
大柄な少年が、少女の手元を覗き込み、顔をしかめた。
「強いて言うなら、全自動型の
ずるずるずるるっ!
「ス、スポッタぁー? ……姉さんが、よくアタシの部屋の
余計なことを言うんじゃありませんよぉと、
「……
”死守”と聞いた一同が、抹茶色の和菓子のようなフォルムを見てから、首を横に振った。
「”
話を続けた、
「ずぞぞぞっ! ……もぐもぐ……そ、そうですねぇー。FCS……戦闘管制と言うことは、おそらく、”
VR専門家にして、特別講座『VRエンジン概論』講師が、テーブル上の”
ピッチューイ♪
そして、
「ふぅー。行動決定の権限が、……自分以外の所にある……状態というのは、……人格を構成する上で、……あんまりよろしい……
うなだれる美少女VR設計師の、細い
「ぱくぱくぱくっ! おい、こりゃ、なんだぜ? ……もっぎゅもっぎゅ……
「ずるずるずるっ! ……もぐもぐ……わかんねーっ……けど……ほんと
男子生徒組が、様子をうかがいながらも、箸を進めていく。
VR専門家、
どん!
忍者のような受け身を取る、小さな女子生徒。
ばさっ!
自由になった
よく見れば、それは4つに折り畳まれたメモ書きだった。
「あらあ、ソレ、前にもぉ見た気がぁー」
「ありゃ、たしか、バトルレ……むぐっ、っと、危ねー。
「おう、何が、特区外秘の機密事項に抵触するかわからねえし、”バトレン”
小鳥が
『小鳥へ。君がピンチの時はぁ、
負けじと、小さい女子生徒も、制服のポケットから、同じようなメモを取り出して広げる。
『何か困った時には、設計師の意向で押し通しなさい』
自分たちの”
”筆舌に尽くしがたい”程度には、逆効果かつ、意味が無かったが、
「君達ー、聞こえてますよー。心配しなくても、”バトルレンダ”
「でもぉー、私もぉー、VR専門家としてもぉー、プレイヤーとしてもぉー、
「VR空間構築及びNPC設計に従事しただけでは、ふつう”バトルレンダ”という、キーワードには届かないのは確かですよ。あと先生、
「……もぐもぐっ……”
大きな海老天に
「なんかややこしいわね……もっぎゅり」
「まあ、
ヒューン、シッ、ヒュゥン、シシッ。
「”
「あら、
―――巻き毛の目尻と
「け、けけけけ、……契約違反は、開発者ライセンスID、……
昨日、完成作品である、”試作コード65と68”がそろって、念願のスターバラッド公式NPCへ登用され、順風満帆のサクセスロードを歩む……事なく―――。
「―――基本的には、
オレンジジュースの瓶の
「
おずおずと、進言するVR専門家兼、生徒を預かる身の担当講師。
「要は、”バトルレンダ”という”余剰リソース”の運用法方を、所持するに足りうる実力や、資質をお持ちであるかどうかの証明を、していただければ事はすみます」
「どういうこったぜ!?」
「わからんがー、なんか、手は有るみたいだな」
男子生徒達も箸を置いて注目する中、小柄な女子生徒が、大きな海老天を
現状:なにやら、申請漏れをしたらしいが、運営の
「じゃあ、こうしましょうか」
やや涙目の、
ジジジーッジジッ!
「
自分が座っている、”
小さい
そして、
その頭の上に、並んで表示される
『たこ焼き大介作成:
『たこ焼き大介作成:
その数字は、細やかなマイナーバージョンアップが、自動的に行われている事を示している。
”
『中ボス求む。応相談。
―――
◇◇◇
ジジジジジッ!
電送されてくる、草食動物の
ヨロヨロした足取りで、結構な時間を掛け、外周近くの巨木へ歩いていく。
巨木のごつごつした根元に、頭がぶつからないように、大げさな首の動きを見せて、座り込む。
その頭の上に存在していたはずの、巨大な一本
平らになってしまった頭で、巨木の根元をグリグリ
無くなってしまった
その背後、縦横無尽に
そのうちの2つが、チョロチョロと、明るい空間に飛び出す。
顔長猫は、まとわりつくように、青鹿の周りを徘徊する。
ゴガアアアァァァ!
発せられる
飛ぶように逃げていく、顔の長い猫。
しかし、顔の長い猫は、再び、
自分よりも小さな、顔の長い猫に、無造作に接近され、首を
そして、
その背後、巨木の
―――猫手から極太の爪が生え、
―――体を小刻みに
―――ひと回り大きくなった、頭や首の頭頂部。猫の額を突き破る、青白く輝く突起。
生えたばかりの、10センチ程度の小さな
鹿の1メートル先の2メートルくらい上空。
丸く湾曲したジャングル。
その中にちいさな青白い光が宿る。
真っ白い人型の模型の様でもあり、
その丸顔に映り込んだ蒼光は―――鋭く
―――鹿は
◇◇◇
「あ、いけね! 帰りにもう一回学校に寄って、ワルコフの野郎を、拾ってくるつもりだったんだけど、思ったより遅くなっちまったし、どうすっかな!?」
「いいんじゃね? どうせ、明日も第珊VR教室に行くんだぜ?」
「そうね、お腹空かせて、何か食い散らかしたりしてなきゃいいけどー」
脅かすなよ。と身構える
先頭は、首根っこを捕まれた猫のように、歩かされている、美少女成人VR設計師、
続く2番手は、猫の首根っこを掴んでいる飼い主のような、システム管理者にして、スターバラッド運営サイドの、
3番手が振り返り、号令。
「みんなぁー、置いてくわよーぉ」
へーいと小走りになる生徒一同。
目的地は、当然、ふた駅隣の、VR拡張遊技試験開発特区直営アミューズメントパーク。カラーバーの
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