4:決戦! MΘNΘCERΘS 中盤戦その3
―――答えは単純。”その場で新しい武器を
―――それを、86
武器作成スキルは、魔法系スキルに似たような物があるが、そもそも、そんな真っ当な状況ではないのだ。彼らは3人ともステータス表示すら全部出そろってない、チュートリアル以前の状態という、有様なのだ。出来ることを、やってみるしかないのだ。
ワルコフの電磁槍が飛んできた、つまり作戦開始してしまったので、高速機動のまま、木星でスイングバイする探査船のごとく、一角獣を周回して、そのまま戻ってきたコウベ。
映像空間(ミラー)にコウベが大写しになった。
湧く、観客たち。確かに、見た目は超カワイイ。ピタピタのコスチュームだし。
ピタピタさんは、上体を起こすまま軽く飛び上がる。半回転し、高速
うおおおおおお!? カッケーッ!
切れのあるダンスのような、1回転半の華麗なターンは、観客を魅了した。
そして、ピタリと静止した彼女の、視線の先には、爆発炎上する、獣。
即座に青白い亀裂が大気を焦がし、噴煙が四散した。
ジ、ジ、ジ、と、藍色の体表面を走る放電に、陰りは無い。
想定通りとはいえ、全く効いていない様子に、
見る限り、毛の先ほども効いてはいないのだが、青白く光る獣の頭上に―――ソレは現れた。
『1 DAMAGE HIT!』。
モーションに入る、
少年はフリック入力のショートカットを設定し直していた。
『コマンド入力』『彫金』『プレイヤー名』『タイムスタンプ』『Enter』『Enter』と。
これで手に掴んだ物に、一瞬で”ダブらない銘”を刻むことが出来る。
一度彫金されたアイテムは、LV1の”分解”では解体できなくなる。
そのため、武器には皆、武器の名前や、プレイヤーの名前を彫り込むことで、簡易的なプロテクト代わりにしている。
プレイヤーの名前は本人にしか
実際、有名プレイヤーの愛用品だった物が、高値で取り引きされることも有る。
「総数86丁でぇ総装弾数86発ぅ。全部コンボで当てたらぁ、最高位クラスのボスが倒せるー……作為的というかぁ……”ガトリング・マシーナリー”のー、裏のー仕様なのかもぉしれないわねぇー」
「ふつう、超小型の銃をその小さい分だけ大量に詰め込むってんなら全86丁、総弾4発で、えっと? 344発になんのか?」
「それなら、弾丸のロード順をエディットできる”改造ヘヴィー・ライフル”一丁で
「……
一角獣撃破のための、”行動の詰め込み議論”が再燃し、
映像空間(ミラー)の中では、サイボーグが、小さい棒を投げている。そして投げた後もう一度投げ、さらに投げ、追加で投げ、投げ、投げ、投げ、……投げていた。
小さい棒は、小惑星採取の為に設計された
この部分の設計は
結局と言うか、やはりというか、”バレル内部に弾丸と打突針を入れておくだけ”というシンプルな構造になった。
打突針には
そして、テストしている時間はなかった。
実地テスト兼、決戦。そもそも、ついさっき粉砕された”音響レンズ”も、ろくなテストなどしていない。
もっともテストなどしていたら、モノケロスの
ワルコフの電磁槍を
ここで歓声を上げたのは、
見た目のインパクトは、
このわずか”1”が、スターバラッドのシーンを塗り代えていくとは、誰も思わない。
謎の宇宙服のバックパック側面に、セットされている標準兵装、電磁槍。加速用の噴射ノズルへの点火は、
雷撃系耐性が超あるはずの、一角獣に、
そして、コンボを重ねていく
その背後、不吉な
観客は、
現在7。『3 DAMAGE! 7 HIT COMBO!』だ。
イヤァッフー♪ ボルテージは無駄にヒートアップしていく。
コウベから受け取った、金属の
そして、ワルコフが並べてくれていた、弾丸を足で踏んで回収。
自動的にロードされ、完成する『
正確に言えば、『SIGN†ORGE 2016/06/18 15:06:01』だ。
わざわざ射撃して、弾倉を空にしてから、分解するのは、
空の拳銃を分解して棒状にして、投げつけられても、攻撃力は下がる。少なくとも上がりようがない。
一度”殺傷能力”の
完全にガードされた場合、当たったとしても、その攻撃力は半減してしまい、攻撃判定から漏れてしまう場合がある。
そのために、自ら小型拳銃を撃ち尽くし、無力化して見せてから、新品の小さい棒として作り上げているのだ。
装填すると新しい攻撃判定が付いてしもて、”殺意”を再検出されまへんか? と
モノケロッスゥッ♪ って、グネッたのも伊達では無い。
このサイボーグに注目していて貰わないと、装弾数1/1を次々に撃ち尽くすが、有効攻撃力は無いと、驚異たり得ないと、こんな奴が何を投げてこようが、さしたる問題では無いと、思っていて貰わないといけないのだ。
”
最初に最大まで詰め込んだ超小型銃を、取り出した分の
ワルコフが1発ずつ、地面に並べたものを、足の裏から回収し、”自動リロード”で
涙ぐましくも、しみったれた作戦だが、
観客は、
現在20。『38 DAMAGE! 20 HIT COMBO!』だ。
ヒャッハァー♪ テンションは止まるところを知らず、着実にゆっくりとエスカレートしていく。
コンボ成立のための、小賢しい仕掛けは、もう一つの幸運も引き寄せていた。
攻撃が外れた場合でも、コンボが持続して成立する場合がある。
使用した武器に関する、後処理の順番だ。
武器切り替えで、コンボに繋げたりする場合に、使用後の武器の格納処理などが終わるまでは、コンボの有効期間が延びるのだ。
つまり空撃ちしても、その武器に関する操作をしている限り、僅かながらも、コンボ持続の有効フレームが伸びて、コンボが続けやすくなるのだ。
武器に関する操作とは、コウベによる”分解”と、
しかも投擲<必中>スキルの強制効果により、有効時間内に
”必ず当たる”というのは、ゲームシステム上、やっかいな物なのかもしれず、もしここに、ゲーム運営サイドの人間が
盛り上がる宇宙開拓時代の公園とは裏腹に、藍色の獣は、静かに身じろぎするだけで、目立った行動はしてこない。
ソレはソウかもしれない。何せ、―――
『MΘNΘCERΘS__/LV52』
『HP_6399962/6400000』
トゲ付きの藍色毛皮の、HPバーは、まだ1ドットすら赤くなっていないのだ。
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