4:決戦! MΘNΘCERΘS 中盤戦その2
『MΘNΘCERΘSとは』
一角獣。伝説上の生き物で、気高く何者にも怯まず、
「へー」と、観客達から感想が沸き上がる。
「あと、若い女の子好きだってさ」
スターバラッド攻略サイトを、フレーム縦断検索”モノケロス”で調べた、
『ちなみに、伝説通りに
眉間に
なぁーにー?
確かにメカっぽい猫耳が付いてはいるが、顔立ちはとても整った推定年齢17歳と言った所のヒューマノイドだ。だがソレは
細身の巨漢で
これは、目の前を横切るオモチャに飛びつく猫の本能の様な物か。……違うか。
どないジはっ……ダんどすガぁ? ……あデぇは、……ザザザッ……同学年や無いの……ザッ……妹ヂゃんはいけずやな―――
異様に語尾が延びる意外は見た目通りの年齢の可憐な声と、無骨で泡立つような
※
もはや、本人のキャラクタとは、かけ離れた様相を呈している。これもスターバラッドの醍醐味ではあるが、急に変えられると、正直、引くレベルだ。
SF美少女コウベが、地面に置かれた”特選おやつ”を
グリップの底をしっかりとホールドして、中々
なんせ、
少年が発射した弾丸は、何故か、
その動きはとてもスローモーで、重力が1/6しか無いかのようだった。
コウベの発動スキル、”重力補正”の比では無い対空能力だが、背中のバックパックに付いているスラスターが、幾ばくかの説得力を裏付けてはいる。まだまだ謎が多く、正直なところ、モノケロスよりあらゆる意味でレアな、宇宙服は
「フザけてる余裕無えぞ! 逃げんな、まず、オマエが一発食らわせなかったら、始まらねえんだよ」
宇宙服はバーニアスラスターを、数回吹かし、空中で180度ターンした。
両手には、いつもの
2本の棒をカチリと、繋ぎ合わせ、ストンと着地する。
コウベが合図もなしに低い姿勢で突進する、顔は地面に付きそうなほどだ。
想定外の事態に、慌てた
ボウガンに矢を
コウベは、一角獣の首の上下の動きに、対応した切り返しをみせ、大きく回り込む軌道をとる。
ぽそぽそっぽそっぽそっ。高機動の割に頼りない足音。
足元を見れば、裸足だった。砂利もなければ、木の枝一つ落ちてないのなら、その方がよいのだろう。
ぱしんっ。ピッ♪
彼女の空いた手に装填されるナックルガード。火薬搭載型のブービートラップみたいな赤いランプが
いつの間に回収したのか、その
「まあ、ありゃ旨かったからなー。判らねえでも無えぜ」
映像空間の中、戦局がようやく動く。部員一同、観客一同が、感嘆の声を上げる。
超レア伝説級小型ボスへ、超高速で接近していく美少女。口にぶら下がる特選おやつが風に超
電磁槍を投擲するサイボーグ。弾道を描かず一直線に一角獣の頭を狙う軌道。
五寸釘のような
自由度のない
電磁槍の末尾、
シュドドドドッドドドォン!
五寸釘は背後へ向かって
巨大なツノが青白く光り、
◇◇◇
以下は
ーーー ーーー ーーー
議題:『一角獣を倒そう』
<発案>
コンボ数86で、有効攻撃力6450407になるので、640万HPを誇るボスをも撃破できる寸法。
<懸念>
コンボ数85だと有効攻撃力5375339で届かない。
<実際の手順>
このレベル差では、当たったとしても、有効攻撃力は、良くて”1ダメージ”になるという■■による試算に因るもの。
これにひたすら、×1.2倍のコンボボーナスを重ねていく。
投擲を連続で当てても、コンボにはならず、1+1になるだけ。
コンボを成立させる為には、行動キャンセル受付時間中に行える、別の武器または別の攻撃方法、または別の人物による攻撃でなければならない。
連続投擲というコンボ対応スキルが発現していれば、それも可能だが、限界までスキルポイントをつぎ込んでも、連続で86回も当てられるほどの性能にはならない。
<別の人物を考える>
プレイヤー総数3名。それに通常ボス戦は総勢32名までの制限がある。
※通常でないイベントボスの場合には、人員制限がない場合もある。
<別の武器を考える>
もし仮に、■が投擲武器を、たくさん……640万種類持っていたとしても、2投目で、攻撃判定のある、投擲武器を避けられないはずはない。
武器が違えど、投擲という同じ攻撃手段が続けば、防御力や、回避力に、どんどん補正されていき、とても640万回当て続けることは無理。■■の試算だと3発目で、■の投擲補正を上回る。LV52差は大きい。
<結論>
1:必ず当てられるのは、■のスキル補正<必中>による”超投擲”だけ。
2:最大有効攻撃は■■■■渾身の、電磁槍のみ。ソレによって得られるのは、試算によると
3:虎の子の”1ダメ”に、別武器による攻撃を、
ーーー ーーー ーーー
ここまでが
公開するに当たって個人名に墨を入れてある。
超レアボスの一角獣様に、因縁を付けられる直前。
『チャットで対戦! キャラメイカーズ!』という、アバターキャラのトレーディングパーツのミニゲームで、行動の詰め込み勝負をしていなかったら。
コウベにスキルポイントの無茶振りをされて、
そもそも、こんな得体の知れない地下で、伝説級のレアキャラに遭遇してなかったら、この”LV差52を覆す攻略法”は、模索すらされなかったと推測される。
もし、別の状況で、”VRE研”メンバー勢ぞろいの上、決戦に挑むことになっていたとしたら、ココまでの議論はされずに、ただただ惨敗して、今頃、何度目かの撃破によって、パーティメンバー全員の心が折れていた事だろう。
”86個もの
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