1:ダイブオン!?
理論上最硬を誇る、初期フロアの床をすり抜けた、
瞬時に、少年は、初期フロアの遥か下に広がる、”地表”に出現する。
以前、NPCコウベに、頭をひっつかまれた状態で見た景色と、だいたい同じだった。大小さまざまな、”エリンギみたいな固まり”が生えてて、ちょっと遠くの方には、ソレを切り刻んで回収している”ふくよかな人の形をしたモノ、数体。
『
グウォウォウォウォ!
隆起する脈動に飲み込まれていく。
どこかで、何かが大爆発している。
ドドン! ドドドン!
今度は、ちょっと近いところで、土砂が空高く舞い上がる。
作りモノっぽい簡素なデザインの木。
まだ生えたばかりの小さなエリンギの列が作る、デコボコした階段。
転がる、現代彫刻のようにウネる形状の棒。コレは枝か。
転がる、
そして、地下から湧き出る噴水のように、ボコボコと飛び跳ねる土。
”土”と言っても、一粒一粒の粒子サイズが、大きめの肉じゃがのジャガイモから、大きめのグレープフルーツくらいまで、まちまちだ。
ゴッ、ゴッゴッ、ゴッゴッ、ゴッゴッ、ゴッゴッ、ゴンッ!
不規則な、打突音は、少年の足下へ到達。
「痛い! 痛い! こんなんばっかだな!」
ソレが作り物の感覚だって事はハッキリと解る。
解ってはいるが、この作り物の体にぶち当たる、運動エネルギーは、現実の感覚を伴っている。
グワラグワラガラガラガラと、宙に浮かび上がる物体。
改めてよく見ると、簡素化されたような、手抜きにも思える、その造形物達は、空中に螺旋を描き上っていく。
やがて、そのウネリは、四方から押し寄せ、
落としたり、放り上げたり、急がし一っつの!
少年は眼をつむる。ゲームが疑似的に再構成している作り物の感覚だと解る。解るが―――
「雑っ! 雑だなー―――!」
未来感あふれるパッケージ。不敵に笑う
少年が初めて手に取ったその日から、早数ヶ月。スターバラッド・オンライン・ユニバーズへの、
◇◇◇
「なんだぜこりゃ!?」
”初期フロア”の”
「忘れてたぁ!
スタイル抜群の容姿にソグわない、舌っ足らずな子供みたいな声が響きわたる。
「そらぁ、大丈夫なんか?」
大気に霞む地表には、何かが、
「野良NPCとかぁ、廃棄された
専門家は、講座で一言ですませた部分を、掘り下げて解説する。
「一回ぃ、
※※
「もしー、
美人特別講師の
「爆盛りで、大ピンチじゃねーか! 鋤灼ぃー!」
床の
「……そないな事が。……確かに、運営に……
あーそう言う事かと、
「そら、悪い……事したわねー。でも、
女子生徒は、オロオロしながら、イケメンの男子生徒に、同意を求めた。
男子生徒は、大きく
一瞬、視線が交差した男子生徒と特別講師は、”
恐らく、非常に、説明が複雑になってしまうため、面倒くさくなったと思われる。
大穴を囲んだ3人は、大きく何度も
本人の居ないところで、”
「コレ、……このままで、……大~丈夫かな?」
立ち上がる、成人女子生徒。真っ白いブレザーに、紺色のセーラー襟が
気づく者は居ないが、
そして、その顔は、若干、何かを
「システム上ぉ、物理的な
足を動かさずに、女子生徒へ向き直る、
「NPCコウベちゃんわぁ、どうしてぇ、……ザザッ……
VR専門家にして、特別講座”VRエンジン
「何だぜ? 笹ちゃん、その
「あら?
ウフフフッ。まるで、たった今世界を救ってきたような、
フルダイブすると、まず”初期フロア”へ出現する。
その時の
発声なども、
「いくら、内部構造を……変えても、……全く、
「自分の、初期ボディー、を直接NPCの外装に使ったのね?」
「こんな、個人データ満載のモン、使っちまって、大丈夫なんか?」
「それはもう、……あてぇは……じゃなくて、あたしは、……3人並くらいには……見方によっては……物好きぃな男ん人が見たら……ほんのちょっとだけ……カワイイかもしれないんで……、てへへっ……もう、ソレ込みで、……売ってこうかなって」
真っ白い全身が、紅潮し
「はははっ! 確かに、アンタ、10人居たら、10人が”美少女”にチェックするぜ!」
やや軽薄だが、
「な、何を、……言ってはる……のどすか」
ますます、茹で蛸になっていく
「
部員生徒への
「え? あ、……
「気にしてもしょうがねえぜ。オレと
※※
「い、いけず……意地悪やなあ」
急造ながら、
◇◇◇
ピッ。
ロモーーーーーーォン。
リ。リリ。リィリリリ。
さっきまでの爆発音が、消えて、何とも言えない、電子音や、シンセサイザーで合成されたような、とても静かな
上空へ投げ出されたはずの体は、地面に足を着けていた。地面がボコボコしているため、足を取られて、よろめく。手を突き、地面のボコボコさを確かめた。
そして顔を上げる。
「―――なんだこりゃ!?」
ダイブオン後、目の前に、広がっていた世界は、形容しがたいモノだった。
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