12:キャラメイク
0・5:ダイブオン!?
「彼の地に万有が降り立ち―――」
サービス開始前のCMで、よく見た文字が、急に立体になって、飛びかかってきやがる。
文字は、水、炎、崩れ飛ぶ岩、散る草花なんかに変わった。
そして、俺に届く前に、散り散りになって消えた。
ここまでが、フルダイブVRの
んで、”
そんで、その
なんて考えてたら、その
「―――お? 早ぇー。もう初期フロアだ。あの、気色の悪い
俺が初期フロアの、風景に立った途端に、足下から感じた違和感。ぶにょぶにょして床が平面じゃ無え。
木の板っぺらにしか見え無えけど、理論上最硬の
見下ろすと、俺が落とす影の、ボヤケた輪郭の
俺は叫ぶヒマもなく、影のフリした緑色に
初期フロアに開いた
あちこち、ぶち当たりながら、穴を抜けた先には、
―――初期フロアと同じ床が有った。
ドガン! ドシン!
「
俺は勢い付いた落下の衝撃を、足で受けきれず、尻餅を付いた。
「なによ、
「それはぁ
「キルイメージ? って何だぜ? 笹ちゃん?」
目の前に立つ、桃色の事務服の美人、小柄な女子生徒、大柄な男子生徒、つまり見慣れてきた
ここはV
高い塔の上に作られた、板張りのかなり大きな平面。
「キルイメージっていうのはぁ、君たちの脳がぁ本来感じるはずの五感をー、仮想空間由来のぉモノにー切り替えるときに見るぅー、……なんて言ったらぁよいのかしらぁ?」
頬に手を当てる、VR専門家にして特別講師の、
「おい、お前、……
「なによ、貴様、……
あいつ等は、何か、
「―――強いて言うなら、……五感を
専門家の言葉を補足する、VR設計師にして
「言い得て妙ねぇ! さぁすが、VR設計師わぁ
さっき、
今、先生が手にしてる名刺は、昨日の夜、俺が貰って制服のポケットに、入れっぱだったやつだ。
さっき初顔合わせした時、先生に「リアルコウベちゃんだぁ! がわいーっ」て、散々抱きつかれてた
「いえそんな、笹木さんの、……初期フロア同期プロセスの……鮮やかさって、まるで、……魔法みたいで、か、感動しました!」
なんか、
おやあ? 大人しいと言えば大人しいけど、
さっき、
つい、NPCのコウベと間違えそうだから、これはこれで区別が付いていいけどな。
「
俺は、借りてきた猫のようになってる成人女性に、耳打ちしてやった。
「ごあいさつやなあ……あてぇは……まだ
声を潜めて、妙に、しおらしい感じで、太股の内側あたりを、撫で回して
「300万宇宙ドル分の、……キャラメイクをみせて……差し上げたるさかいに……
俺は袖を引っ張られ、からかい気味に
「ア、ウン、ソゥーデスネ」
俺は、ついさっき
「それで、こっからどうすれば、ゲームに入れるんすかね?」
「そうねぇ、
「そうだぜ。俺がいくら誘っても、”講座で最初から設定してけはー、
「そうね、
「悪かったよ、でも今日から、参戦するよ!」
拳を握りしめ、颯爽と振り返ったのに、そこには誰も居ねえ。
「そうよねぇ。早く公式NPCになった、コウベちゃんの事ぉ、迎えに行ってあげなきゃねー。うーふーふーふーふーっ」
む。特別講師にまで、からかわれている気がするが、そこには誰も居ねえ。
「何言ってんすか! 俺は別にコウベの事なんか……あ、ナンカって言っても
「こっちだぜ」
声のする方を見上げた。
床から2メートルちょっと位。半透明のギザギザした歯車みたいなのに、乗って浮かんでる。全員が一人用の歯車に乗ってた。つまり、歯車×4な。
「何ソレかっけー! 俺も俺も! やりたーい!」
子供のように、手を振って飛び跳ねる、
「
足下の歯車が高速回転する。歯車は、半透明の角張った突起を、ゆっくりと真下に伸ばしてきた。
「あぶねっ」
俺は突起をよける。
直後、
俺は無言で飛び退く! あっぶね! 死ぬっっつの!
バリバリバリバリッ!
眩しい光に、溶けるように
消える瞬間、凄い勢いで、上空へすっ飛んで見えた。
歯車から飛び出す突起は、推進装置なのかもしれねえな。
「ソレぇ、当たっても平気だけどぉ、いろんな意味でぇ、真下には居ない方がぁ良いわよーう?」
床に
……なんか、
「VRメニュー? そんなの有ったっけ?」
俺は腕に巻いた、データウォッチを
小さな画面の中の、『機能』アイコンが、スクロールタイプのメニュー選択画面に、切り替わる。手の甲を指先で
すると、見慣れた画面の中に、見慣れない『VRメニュー』の文字。
「どうだ? 有ったか?」
「おう。コレを押しゃあ、良いんだな?」
『VRメニュー』を指で押した。
「まず、スターバラッドの……スペイスギルド本局の中の、……キャラクタ設定ルームに出るから、……そこで待ってて下さい。……合流次第、キャラメイク……開始しましょ」
よそ行き声の
そりゃあ、成人女性が、学校に
俺はポップアップした積層表示の中から、『V.R.ID』>『SIGN-IN』と選択していく。
俺の足下に半透明の歯車が出た。確かに床から浮いている。
「やったぞ、
と言って膝を抱えてしゃがむ、イケメンを
あれ? なんで俺だけ、床上5センチ?
あれ? なんで俺の頭の上にも歯車が出来てんの?
俺は、明らかに
『DIV(id)EーON!』ピロン♪
あ、なんか押せた。
バリッ! 轟く雷音。
なんかちょっと、違うけど、ちゃんとスターバラッドの世界に飛べるっぽい。
引きつりながらも、
―――あれ? イケメンの眼が、俺じゃなくて、
俺は、横へ乗り出して、上を見た。
俺の頭の上の歯車は、角張った突起を、
―――あれ? あれ? アレって推進装置じゃ無かったっけ?
―――なんで?
バリバリバリバリッ!
眩しい光に、溶けるように、俺は歯車ごと消えた。
飛び上がる感じをイメージしてたんだけど、逆だった!
理論上最高の硬度を誇るはずの、初期フロアの床をす―――――――――
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