6:ワルコフ追跡その3
「あれ? ワルさん、どこ行ったーぁ!?」空を見渡す
「なんか、妙に加速してましたよ、……あれ、あそこの電波塔のちょっと右辺り」
「結局、あの、
「そうだな、まだ俺らは、詳しい話を、聞いてねえぜ」
カラダを細くして、
「一言で言うとー、
そう言って、
「
「……一応、合ってる……か?」難しい顔でコミューターへ向かう
「小鳥? 神? 聞けば聞くほど分からなくなるわね」
と
「さっぱり分からんが、俺たちはそのワルコフを、止めりゃあイイってのは分かったぜ」
「なによ、アンタ、さっき姉さんと乗ったじゃない」
「俺と
「おまえまた見せてんのか?」
「見せてないわよっ!」とアクセル全開にする。
急発進することはなく、とてもスムーズに加速していくコミューター。
リュルルルウーーーー。唸る超伝導モーター。
放課直後のこの時間帯では、緩衝エリアに人はおらず、まっすぐ横断出来るので、すぐ
さて運ぶぞと、肩を回す、
真ん中を掴んで陣取る、
チッ!
午後3時17分の表示。
”自動屋台”出現予定地点変更あり、というアプリの表示。
”自動屋台”出現予定時刻変更あり、というアプリの表示。
次々に表示されていく。
「これワルコフが、なんかやったんじゃ!?」
緊張した声で
「はぁ!?
「ええ!? 笹ちゃん、まさか、
「……ワルさん、妙に好戦的な感じするのよねぇ。こう、常にバズーカ持参って言うかぁ……」
筋骨隆々と童顔ロングは、
「もう、”自動屋台”が、設営場所、つまり俺の下宿近くに、着いてても良い頃だ」
小さい表示面の中の、
ビュカン! キラメくような
ARメガネに表示されている、行き先案内機能によると、”自動屋台”は、ここから7メートルの地点に居る事になる。
指し示されている地点は―――
「あー、ワルコフー! おーい!」
何!? と
ずっと先に行ってしまったはずの宇宙服は、高度を地上1メートルに下げ、なぜかUターンして、こちらへ戻って来ていた。
ワルコフはもう既に、目と鼻の先にいて、今にも緩衝エリアの外から中へ突入しようとしている。
「ひょっとして、さすがの、ワルコフでも、”自動機械”を相手にするのは、
二人の腕時計から伸びていた光線は、上空を指し示し、弧を描いて、ワルコフのすぐそばの、モールドへ垂直に突き刺さっている。
ワルコフが、構えのポーズを取る。
ナックルガード風の手甲が飛び出す。
又もや何も無い空間を突き破ろうというのか、ワルコフは速度はそのままに、拳を突き出し―――
ピンポォン!
ゴォォ!
ドガッガガガッ!
ガキュン!
ワルコフが突き破ろうとした、何もない空間を守るかのように、地面から巨大な爪のような柱が何本も生えた。
ノイズが無く、現実に存在しているようにしか見えない
「ワルコフー! ギャーッ!」
一同は言葉を失い、コウベは悲痛な声を上げている。
爪のような柱は、柱ではなく爪だった。
モールドに空いた穴から、せり上がり姿を現していく。
爪は、平べったい長方形から伸びた3本の腕に繋がっていた。
樽のような物を、十数個程も背中にくっつけて、あちこちから湯気を立てている。
「子持ちの平蟹みたい」
緊張感に耐えられなくなったのか、
やがてソレは全身を露わにし、
ピーカンの青空のような、アジュール・ブルーに彩色されたその、細長い側面には、
『D
「これ自動屋台!? 強えぇなっ! 自動屋台!!」
その場にいた全員が叫んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます