6:ワルコフ追跡その2
ジオフロント敷地の都市設計は、中央に基幹施設。その周囲が研究棟や実験設備で埋め尽くされ、外周に公園や学園や各種管理窓口などが点在している。更に外周に、若干の緩衝エリアをはさんで、住宅街、イベント会場や常設のVR施設などが有る。
高さ30センチほどの、”鋼鉄製の柱と油圧システムのような横円筒で埋め尽くされた謎の文様を描いているようにも見える段差”。それがギザギザと不規則につながり、3メートル幅くらいの太さの線で、直径2・5キロの巨大な円を描いている。
正式名称は公表されていないが、土地の者は、『モールド』つまり鋳型などと呼んでいる。緩衝アリア終端の
「緩衝エリアは、ルート外になるから、マニュアル運転しないといけないんだけど、
「アタシ、先週取った!」はいはーいと
「俺も、先月取りました!」我に返る
「また、ゲーム始めんなら、
「わっ、おまえ、それ、200キロ以上あるだろっ」
シート下の細かい実測値などが書かれている所に、約230キロとある。
「腰の重心で掴んで、自分ごと持ち上げる。楽勝だ」
多少プルプルしているが、確かに大丈夫そうに見える。
「じゃ、じゃあ、『モールド』越えられる?」
「お安いご用でさぁ!」ふんぬ。
おぉーー! 感嘆する一同。
「えっと、ヨージー? はシルシと違って、
使い捨てのARメガネのスピーカーから、コウベの声が漏れている。
さすがに、”500円ショップ”で売られてそうな、使い捨て前提の安物では、隠密性重視の指向性・骨伝導タイプのスピーカーを望むのは酷と言うものだ。
「おうよ、俺と違って、
勝ち誇ったように言う
「それほめ言葉じゃねえし、何で
「じゃあ、こっちは3人で持ち上げるわよぉ」
せーの、ぎゅむ。せーの、ぎゅむむ。
ヨタヨタと3人が『モールド』に乗り上げたところで、真っ赤な顔をした
ふー。息を付く3人。
「なによー。筋力はともかく根性無いわねー」腰に手を当て、あきれ顔の妹様。
「そうっ! シルシは根性ーが足りない、ギャワー」とスピーカーから漏れてくるが、
「違う、先生の……」
ハンドルを掴んだままの先生を見やる
「このっ! 代われっ! アンタだけに良い思いなんてさせないわよ!」
と鼻息荒く、
「それ、何か違う気がするが、俺が凶弾されないなら、……いいか」
と
ヨタヨタと、へっぴり腰で、
「
3人が運んだコミューターを、
そして、既に、緩衝エリアに止めてある、もう一台の横に並べる。
「笹ちゃん、大丈夫でしたか、こんな重いもの」
と、
平静を装い、にこやかな表情の
ぜーはー。汗だくで、コミューターに、しなだれかかる
「大丈夫か? 無理すんなよ」
「う、うるさ、いわね」
息も絶え絶えに言葉を吐き出す女子高生は、両足を地面へ投げ出している。上着を脱いで、シートへ架けるが、落としてしまう。
緩衝エリアは見た目、従来のアスファルト製道路が一面続いていて、一見広大な駐車場だ。もしくは見方によっては、300メートル幅の巨大な一本の周回路ととらえることも出来る。
素材は
特に入場制限はされておらず、自由に利用できるが、『モールド』を越えなければならないので、大型車両は入ってこない。
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