4:ウェイト・ア・モーメントその2
■t コッ
■タノsh_ コココッ
■楽シソウデスネ_ コカコカカコカカカ、タン
「ん? なんだこの音?」音に気づいた
”
「処理が終了したみたい」状況が進んだ事で、安堵の表情を浮かべる
「よーし、まだ時間は大丈夫ね。屋台行くわよー!」
懸念が晴れたからだろう、実によい笑顔である。
ブウゥゥゥゥゥンと音を立て、鏡面化した球が、形を変えていく。とてもなめらかな変形だったので、二人が見とれてしまっていると、それは高さ2メートル、幅1.5メートル、奥行き1メートル程度の直方体の鏡となった。
踊り続けていた
「ワ・ル・コ・フ!」ギャー! ドカドカドドドンカカカ!
「ワ・ル・コ・フ!」ギニャー! ドンドカドドンカドッカッカ!
五月蠅かったのだろう、
鏡の中の
鏡の中の
「わ、俺が変わったっ!? 気持ち悪っ!」
「……宇宙飛行士かしら?」
宇宙飛行士は、
宇宙飛行士は、
バッリリリリリリリリリリィィィィィィィン!
ガシャンガラガララパリィン!
鏡でできた直方体の箱は壊れ、破片は光となって消える。
ソコに残されたのは、白地にオレンジ色のラインや金色のパーツをくっつけた
「コレがワルコフゥ!?」
ヘルメットに付いた丸いバイザーはミラーグラスのように二人を写し込んでいて、中は見えない。
「ワルコフー! ギャー! イェーイ!」ドンカッカッドドドドン!
コウベはまさに最高潮を迎えている。
ワルコフから再びキーを叩く音が聞こえてくる。
■h コ
■ハイ、ソウデs コカカ
■ハイ、ソウデス。私ガワルコフデs コカコカカコカカカカ
「はい、そうです。私がワルコフです」
笹木講師が、突然、話し出す。
「わ、一瞬、先生が操られてるのかと思った。これ現実じゃないんだっけ! いや現実でも、そんなの有るわけ無いけど!」
フルダイブではない、従来の技術を駆使した疑似VRでも、必要十分な水準で仮想現実感を味わう事はできる。
「
笹木講師は、自分の腕に沿って、指を沿わせる。
文字の前には、四角いアイコンの中に宇宙飛行士のヘルメットが描かれている。
制服の袖には、表示機能が付いている。普段はデータ・ウォッチで事足りるので使用することはないが、フルダイブ・疑似ダイブ両対応なので、VR空間内部でも利用することができる。
「アナタ。 制服の袖は、腕章とか表示するためのモノで
笹木講師は、専門的なことを誉め出す。
「ぷっ」笹木講師は吹く。
「っやだ、
「だってこれ止めたら、接続切れそうで……」と言い訳をし、
「なんだよオマエ、フザケてんのか?」とワルコフへ遺憾の意を表明する
「……いいえ、我が宇宙軍の……正式な、最敬礼には……最敬礼で返さねばと……」と
「思う次第であります。……だって」プフーッ。
「
「は、早く言ってくださいよ」
「ポリシーかと思って……」
「そんなポリシー無いですよ!」
ワルコフからキータッチ音。
「ポリシーは……大事だぜぇ。……へっへっへっ」と
■ポリシーハ大事ダゼェ。ヘッヘッヘッ_
声と同じ文面が袖を流れていく。
ワルコフへ首だけ向けて怒鳴る
「うるせえよ! だからポリシーじゃねえ! あとなんでキャラ変わってんだよ!」
ワルコフは凄まじい機敏な動きで、バカにしたようなポーズの最敬礼? を返す。
「あ、先生に言ったんじゃないですからね、ワルコフのやろうに言ったんですからね
「大丈夫、判る」と
「ポイントしても、プレイヤー名も、NPC名も、表示されないから、
「ワルコフー、アレくれー! アレくれよー!」
コウベは、たかるように、何かを要求している。
ワルコフは、最敬礼を止め、コウベへ向き直る。
聞こえてくるタイプ音。
「おう! 又、アレくれよ」ギザ歯を見せるこうべ。
「えっと、君は……この間……お会いし……ましたね」
「この間よりも……小さくなりましたね……コレではモノを……持つのも大変でしょう」
ワルコフは、少し屈み、映像でしかないコウベを、
「「んなっ!?」」
便宜上、コウベの姿は表示されているだけで、本来の接続とは無関係な状態である。現に、ついさっき、笹木講師は捕まえることが出来なかったはずである。
驚く二人を
グワッっと、実物大のサイズになったコウベは、地面に降り立ち、そのまま床を踏みしめ体の具合を確かめている。ついでに足元の何もない空中も、けっ飛ばす。
さっきの変な舞踏が作用しっぱなしなのか、ドドドンと太鼓の音が響く。
破れていた制服はキレイに元通りになっている。ベリーショートなので、活発な優等生といった感じの美少女がそこにいる。
■コレデ、イインジャネー_
キャラ違いの台詞が、
「どうやって、実世界の
フロアへ再接続するだけでも結構な手順が必要なのに……ブツブツブツあと、コウベちゃんカワイイカワイイとつぶやきながら、考え込んでしまう笹木講師。
■ソレト、アレヲ、ゴ所望デシタワネ_
次いで流れた台詞もキャラが違っていたが、誰も見ていなかった。
ワルコフは、何もない空中から、木槌と木の杭を
特別講座で、
「先生!? コウベとか、床とかどうなってるんですか!?」
振り向いた
「音声入力」「ボイスメモ」「VRカテゴリ」「リアルタイム通信介入」「分子構造改変」「一攫千金」「悠々自適」
■ドウゾ、ゴ査収下サイ_
顔を上げた
コウベはその上に、ぺたりと座り、早速千切って、かじり付いていた。
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