4:ウェイト・ア・モーメント
4:ウェイト・ア・モーメントその1
足元に開いたトランクケースのフットペダルを踏む。内部のジェネレーターから飛び上がった
「
「いえ、ボタン押しっぱなしにしてたら、コウベが付いて来ちゃって」
後ろ髪のさっぱりしてる
「あら、大丈夫!? 調子悪いんじゃ―――」
顔を
虚を突かれ、不意に力が入ったのか、かなりの速度で飛んでいく。
”
バチバチと放たれる、凄まじい放電を見もせずに、
「よーい……」
と軽く手足をブラブラさせた後、
「どん!」
と自分で言ってスタートし、猛然とダッシュ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
と
「―――っぶなっ!」
当然、
「
なんか声に凄みというか、映画のクライマックスで、姿を現した真犯人みたいな猫なで声。もはや
「シルシ、アレは、何なのかしら?」ガチガチガチ!
なんか、シンパシーでも感じてるのか、はたまた普通に警戒してるのか、コウベの目がつり上がり、ギザ歯を噛んでいる。
「そういや、教壇にネコミミフィギュア飾ってたな。 こういうの好きなのかな?」
と気もそぞろな、
ズサァァァ! ガッシ!
一瞬の隙を突き近づいた、
「えーへーへーへー。怖く無いでちゅからねぇぇぇぇぇ」
妙齢の女性の、
するり。少し引きつった顔のコウベが、苦もなく
ほっと息を付く
ジリリリリリリ! ジリリリリリリ!
教室の座席にある、ダイアルスイッチがゼロを指した。
「はっ!? 私はなにを!?」
我に返ったのか、ビクリとする笹木講師。正気に戻ったらしく、時刻を確認したりしている。
「あっ! 10分過ぎてるじゃない!
キラキラと輝く瞳には、左右それぞれに『
バリバリ!
「はい。コウベは救出、出来ましたし、ソレはいいんですが……アレは放っといていいんですか?」
バリバリバリバリ!
「え!?」
顔を上げた、笹木講師の眼前に、放電の度合いを激烈に増した、”
バリバリバリバリバリバリバリバリ!
「ぎゃっ! 何なの?
「俺は何もしてませんよ。さっき先生が凄まじい勢いで、ECをブン投げてクリーンヒットさせたんじゃないですか」
”
「えーやだ怖ーい。覚えてなーい」
親指以外の指先を全部口につっこんで、取り乱している。
さっきまでの、格好良い姿は微塵も残っていなかった。
「ど、どうすんですか? なんか怒ってる? っぽいですよ!?」
丸い球体自体が、ブワン、ブワン、ブワン、と脈動しながら、少しずつ大きくなっている
「もー、とっととダイブアウトしとけば良かったわ」
笹木講師は、崩れるように倒れ込む。
「
「いえ、別にやらなくて良かったんだけど、あんなでっかい”
「……あのまま、放っとくわけにはいかないんすか?」
「あんな風に、突き刺さったりしてなかったら、平気だったんだけど。ECはデバッグ装備だから
「……なんか、面倒ですね」
「せめて、あの中身が稀少なモノとか、
「
「何言ってるの? コウベちゃんも、
「コウベが高価!? ばかな!?」
驚愕の表情で、再び首(と両手)だけをそっちへ向ける。
悩む二人を
「ワルコフー! ハッ! ドンドコドコドコ!」
と空中を叩き、陽気な太鼓の音を出し、変な演舞を、踊りながら呼びかけをしている。
「ちょっと待て、変な踊り踊ってないで、いい加減教えろ。ワルコフって何だ!? NPCか!?」
「ワルコフは神じゃん! 何言ってんの!?」
バカなの!? シルシはバカなの!? と言わんばかりの
「このやろ」
シルシは腹をぷるぷるぷるっと大きく凄いスピードで回転させる。
ポジショニングの基点は腹部にあるようだ。
「やーめーろー」ギャッギャッハハ!
シルシの腹の、右斜め後ろの床から1メートルの高さに、ポジショニングされたコウベの主観視覚は、トルネード系のエグいジェットコースターのような有様だと、推測できる。
「仲良いわねー」
「シルシ、いいぞ、もっとやれ! 面白い!」
「くっ、3D酔いにでもさせてやろうかと思ったのに」
キーボードを叩くような音が、”
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