第7話 返しに行けばいいじゃない

 今、沙綾の目の前には、土下座している魔王と一振りの剣があった。

 あの後、彼女が更に問い詰めたら、魔王は大人しく剣を差しだし、土下座したのであった。それでいいのか魔王様。

 沙綾は黒塗りの鞘に収められた剣を手に取り、繁々と眺める。長さは丁度、聖剣と同じ八十センチ程。一般的な片手剣サイズだ。


「ふぅ~ん、魔剣レヴィアンテルねぇ……」

「分かるのか……」


 土下座したまま見上げる魔王に、沙綾は自然な感じで答える。


「まぁ~ねぇ~。一応、この手の知識はこっちに来た時に頭に入ってるしぃ」

「そうか……そういう事も分かるのだな……」


 魔王は既に沙綾が転生して聖剣になったことを知っているので、彼女もそれを隠そうともしない。妖精さんは言わずもがなだ。


「あぁ、もう、普通に座っていいわよ。別にそんなに怒ってないし」

「そ、そうなのか?」

「うん、そうそう」


 さっきまで沙綾に、あれ程の迫力で迫られていたので、俄かには信じがたい。少し不安な魔王は妖精さんを見やるが、彼女も頷いているので、一応安心して執務椅子に座り直すのだった。


「で、怒ってないけど、この魔剣どうするの?」

「どうするとは?」

「さっきも言ったでしょうが。私がいるのに、この魔剣があるのが気にくわないっていうのよ!」

「む、ではついに余の物に――

「それと、これとは話が別よ」


 ぴしゃりと言い切る。そう、現状魔王の物になる気は更々ない沙綾だったが、それでも彼の横に魔剣があることがどうしても気にくわなかった。


「しかし、では余にどうしろというのか」

「この魔剣、魔国領西端にある常闇の沼の蛇龍から授けてもらった奴でしょう?」

「うむ、伝承ではそう伝えられているが……」

「なら、そこに返しに行けばいいじゃない。もう必要ありません、ありがとうございましたって」

「なっ!?」


 流石の魔王もその言葉に驚き席を立つ。沙綾が言うように簡単に授かったり、返したり出来る代物ではないのだ。故に魔剣なのだ。


「何? 出来ないの? じゃやぁ~、私を抜くなんて一生無理かもねぇ~」

「…………」


 沈黙する魔王に、沙綾は何処か勝ち誇ったような澄ました顔を向ける。妖精さんは何故か感心した様子でそれを眺めていた。

 暫く、黙ったままの魔王だったが、やがて意を決したように沙綾を見つめる。


「分かった。返そう」

「うん、無理よね、いいわよ。ただ何処か別の場所に保管って、え?」

「返還する、とそう言っている。確かに余が愚かであった。そなたという剣がありながら……」

「いや、ちょっと待ちなさいよ、魔王!?」

「いいや、止めるな、聖剣。余はこれより剣の類は一切持たぬ。それがそなたに対する礼儀であろう」

「えぇ!? いや、ちょっとおぉぉぉ!?」


 そう言った魔王は沙綾が止めるのも聞かず、魔剣を掴むと執務室を出ていくのだった。

 取り残された沙綾は入口の方を呆然と見つめることしか出来なかった。

 そんな沙綾に妖精さんが嬉しそうに話しかけてくる。


「やった! やったのですよ! 聖剣様!!」

「な、どうしたのよ、妖精さん!?」

「図らずも魔王の戦力を削ぐことに成功したのです!! 流石なのです!!」

「え、いや、確かに……なんかそうなったけども!!」

「これで、仮に魔王と戦う選択をしても、随分楽が出来るのです!! あの魔剣の存在は邪魔だったのです!!」

「いや、うん、そうだけど。そうなんだけど、何だろうこの釈然としない思いは!!」


 嬉しそうに飛び回る妖精さんを余所に、沙綾は一人頭を抱えた。

 確かに、今後どうなるか分からない現状で、敵対する可能性の少しでもある魔王の戦力を削げたことは、大いに意味のある事だった。

 けれど、すんなりとそれで納得できなかった。沙綾はただ単純に、魔王の傍に魔剣があるのが、嫌だっただけなのだ。それで少し意地悪な提案をしただけのつもりだった。勿論、魔王が断ると、確信して。

 そう、断ると思っていたのだ。それ位に魔剣などの高位の武具との契約というのは重いものなのだ。特に魔剣の類は一方が何のリスクもなしに、契約や解約ができるような作りにはなっていない。

 絶大な力と引き換えに、何か大きな代償を払っているはずだ。それなのに……魔王はあの魔剣を返すと言った、そして、今後剣の類は持たないと。


「どうしたのです? 聖剣様、元気が無いのです!!」

「うん、ちょっと静かにして妖精さん、お願いだから……」

「……?」


 自分のちょっとした冗談から、あの人のいい魔王が、何か決定的な打撃を受けてしまうかもしれない、そう考えると沙綾は胸を締め付けられる思いがした。


(何よ、何だっていうのよ……今までこの手の悪戯は沢山してきた、なのに何で今回だけ……)


 それが分からなかった。今まで自由気ままに散々色々やってきたのに、どうして今回だけこうも自分の言動を悔やんでしまうのか。

 

「あ~もうっ!! 何だって言うのよ!!」


 両手で髪をワシャワシャと振り乱しながら、大声を上げる沙綾。

 あまりに唐突な事に、妖精さんはビクッとその身を竦ませる。


「ほ、本当にどうしたのです聖剣様?」

「知らないわよ、そんなこと!!」

「えぇえぇぇ!?」

「あー、もう、本当にムカツク……何だっていうのよ、あの魔王……」


 沙綾はそのままソファーに横たわりクッションに顔を埋めて、一人悶々とする。妖精さんは彼女に何があったのか分からずに、アワアワしっぱなしである。


(ムカツク、ムカツク、ムカツク……あの変態魔王が来てから、色々振り回されっぱなしだわ!! 本当に何だっていうのよ!!)


 心中で毒づくが、一向に心が晴れる感じはしなかった。寧ろ、あの魔王の顔が記憶の端にチラつく度に、余計にイライラが増す沙綾だった。

 

「……あの、聖剣様……?」

「妖精さん……」


 唐突にムクリと起き上がり、妖精さんを見つめる沙綾。その目は若干据わっていた。そのちょっと今まで見たことない様子に妖精さんは戦々恐々としてしまう。


「は、はいなのです?」

「寝るわ。おやすみ……」

「え、いや、何故!?」

「不貞寝よ!!」


 心配しっぱなしの妖精さんに一方的に告げると、沙綾は再びソファーに横になると、うつ伏せの状態で寝始めてしまう。


(うん、こういう時は寝るに限るわ……一旦頭を空っぽにして、心を落ち着けましょう……)


 きっと目が覚めた時には、何か良い案が浮かんでいる、そう信じて沙綾は深い眠りに落ちていくのだった。

 


 

 魔王は執務室を出た後、まっすぐある場所を目指していた。

 それは、神殿を居城に改築した折、各将軍用に割り当てた個室だった。魔王はその中の、ある部屋の前で足を止めた。

 部屋の扉を軽くノックし、声を掛ける。


「将軍、余だが、今は大丈夫か?」


 それに部屋の中から、高く澄んだ声で返事がある。


「陛下? えぇ、大丈夫ですよ。丁度、荷物の整理が終わり、休んでいた所ですので」

 

 許可を得て、中に入る魔王。

 目当ての人物、黒いドレスに身を包んだ女性は、窓辺の椅子に腰かけてお茶を嗜んでいるようだった。腰まで伸ばした銀色の髪が、日の光を受け輝き、そこだけ切り抜けば、その様子は一枚の絵画のように優雅であった。ただしその両目が、顔の半分を覆い隠すような大きな眼帯に覆われていなければだが。

 彼女の名前はサリエルナ・エクリノ。魔王軍第二軍をまとめる将軍である。宰相のミス(?)により、到着が遅れていた彼女が、この城へ来たのはつい二日ほど前の事だった。


「ようこそ、陛下。しかし、未だ正式に挨拶に伺いもせず、申し訳ありません」

「よいよい。かなり急いで来てくれたのであろう? 無理をさせてすまぬな」


 手をひらひらとさせながら、適当な椅子に腰かける魔王。いつもと変わらない気安さだが、どこか彼女に対する絶対の信頼感がある様に窺えた。


「勿体無いお言葉です。ですのが、あまりに急だったもので、部下も未だ大多数が南に駐留しております。宰相殿もどうしてもっと早くに知らせを寄越して下さらないのか……」


 言いながら深い溜め息をつくその姿は、何処となく憂いがあり、彼女の雰囲気も相まって不思議な魅力があった。


「聞けば、あの木偶の棒は早々に呼ばれたというではありませんか……。解せません……宰相殿はワタクシを嫌っておいでなのでしょうか? まぁ、ワタクシもあまりあの方は好きではありませんが……」


 何処まで本気か分からないその言葉に、魔王は苦笑するしかない。

 実際、エリル宰相がサリエルナを苦手としていることは事実だった。先にバルトール将軍を呼んだのには、彼女と比べれば格段に御しやすい彼を使って、共に魔王へ苦言を呈すためだった。


「まぁ、そう言ってやるなサリエルナ。アレも余や魔国領の事を誰よりも考えておるのだ」

「それは理解しておりますけれど……」

「さて、ところでサリエルナよ、着任早々で申し訳ないが一つ頼まれてはくれぬか?」

「この身に出来ることなれば、何なりとお申し付けください」


 そう言ってすぐさま椅子から下り、片膝を立てを頭を垂れるサリエルナに、魔王は再び苦笑する。こういった、魔王絶対主義的な辺りが、宰相に苦手とされているのだが、彼女はそれに気が付いているのかどうか。


「うむ、これを持ち主に返還したいのだが、頼めるだろうか」


 魔王が何気ない感じで手渡してきた物を受け取り、彼女は眼帯の奥に隠された目を大きく見開く。


「へ、陛下……これはかの魔剣では……!?」

「うむ。頼めるだろうか?」


 流石にこれにはサリエルナも焦った。


「へ、陛下!! お言葉を返すようですが、これは……。この魔剣は代々王家がその証として、受け継いで来たものと聞き及んでおります!! それを何故、今手放されるのかその理由をお聞かせくださいませ!!」

「理由を問うか……そうよな……余には必要なくなったから、とでも言おうか」

「なっ!?」


 サリエルナはその答えに愕然とする。要らなくなったから、ただそれだけの理由で手放していいほど、この魔剣は軽い物ではない。初代魔王が授かり、その後何代にもわたって魔国領を代々の魔王と共に護ってきた、いわば護国の剣である。

 それを何故、今になって返すのか。


「承服しかねます陛下!! この魔剣は今後も魔国領に必要なものです。なにとぞお考え直しくださいませ。必要なくなったなどと、そのようなことは決してないとワタクシは思います!!」

「サリエルナよ……余は既に新しい剣を持っておる。かの剣を持っておきながら、この魔剣を手放さないのは、あまりに不義理が過ぎる」


 動揺するサリエルナとは対照的に、何処までも落ち着いた様子で話す魔王に、彼女は震えながら問い掛ける。


「その剣とは……かの聖剣の事でございますか?」

「あぁ、そなたも知っておったか。その聖剣である。あの剣がある故に、余は他の剣はいらぬのだ」

「しかしっ!!」


 なおも食い下がろうとする彼女の頭に、魔王はポンッと手を載せて、まるで幼い子に言い聞かせる様に話す。


「分かってくれ、サリエルナ。そなたしか、そなたしか頼めるのがおらぬのだ。余がこのような事を頼めるのは。頼む、サリエルナ……」

「…………」


 そして、暫くの沈黙の後、サリエルナはゆっくりと頷いた。


「わかり、ました……」

「すまぬな、サリエルナ。嫌な役をさせる。そなたへの風当たりが、また強くなろうな……」

「いえ。しかし、陛下……暫く、時間を頂きたく存じます。何分急いで来たため、準備もすぐには整いません」

「あぁ、それは構わぬ。万全の態勢で向かってくれ。魔剣に何かがあればそれこそ大事だ」


 サリエルナに微笑みながら頷く魔王。もとよりすぐに返せるとは思っていない。返還先である常闇の沼にしても、ここからではただ行くだけで、一月は掛かるのだ。

 魔剣の返還ともなれば、それ相応の準備がいることも承知していた。どんなに早くても、四ヵ月は掛かると魔王は考えていた。


「では、ワタクシは早速準備に取り掛かろうと存じます」

「あぁ、くれぐれも頼んだぞ、サリエルナ将軍」

「はっ!!」


 そう言って去っていく魔王を、頭を下げたまま見送ったサリエルナ。

 暫くして、もう魔王が大分離れただろうことを確認してから、彼女は床を力の限り殴り付けた。その力に負けて、あろうことか大理石の床に、クモの巣の様な亀裂が無数に入る。


(あの……聖剣め……陛下を誑かしおって……)


 ギリギリと歯を食いしばるサリエルナ。眼帯の奥に隠れたその両目には怒りの炎が渦巻いていた……。




 魔王の執務室のソファーで、不貞寝していた沙綾は、誰かが自分の頭を優しく撫でている感触で、目を覚ました。

 視線を向けると魔王がソファーに座り、愛おしそうに彼女を見つめていた。


「……何してんのよ、アンタ……」


 寝起きの不機嫌さも合わさって、それを半眼で睨みつける沙綾。

 しかし、魔王は微笑んだまま、彼女の頭を撫でるのを止めようとしない。

 その態度にイラッとしながらも、ある事に気が付く。


「……アンタ、魔剣は……?」

「信頼できる者に、返還するよう託した。数カ月もすれば、契約は終わるだろう」


 ぶっきらぼうに問い掛ける沙綾に、何でもない事のように魔王は返す。

 それを聞いて沙綾は目を見開いて、飛び起きた。


「アンタはっ! なんでっ!! なんで、そう勝手なことばかり!!」


 叫びながら詰め寄るが、魔王は微笑んだまま、彼女を見つめていた。

 それに毒気を抜かれた、沙綾はストンッとソファーに腰を下ろす。どうもいけなかった、一人取り乱す自分が、まるで道化師か何かの様に思えてくる。

 そんな沙綾の肩を、魔王は自身に引き寄せる様に抱く。


「!? ちょっ、いきなり何を!?」


 慌てふためく彼女を余所に、引き寄せた肩へ魔王は自身の頭を預け、目を瞑り始めてしまう。


「何なのよ!! 本当!?」

「五月蠅い。暫しこうしていろ、余は少し疲れた」

「何様よ、アンタ!?」

「魔王だが?」

「聞き飽きたってえぇのよ、その台詞は!!」


 ムキャーと身を捩り、逃げ出そうとする沙綾に、魔王はクスクスと笑う。


「いや、やはり良いな。そなたをからかうのは実に楽しい」

「私は玩具じゃないってのよ!?」


 尚も逃げ出そうとする沙綾を、しかし、魔王は笑って離そうとしなかった。

 そこに、少し違和感があった。何時もなら、もう離してくれていてもいいのだ。そして、騒ぐ沙綾に、自分の物に早くなれと迫ったり、それを断ったり、妖精さんが呆れたようにしていたりと、そうなるはずなのに……。

 だから、沙綾は溜め息を吐くと、もう暴れるのを止めた。そして、問うのだった。


「どうしたってのよ、一体……」


 何処か諦めたように呟かれたそれに、魔王は力なく答える。


「いやなに、今更ながら臣下の忠言には耳を傾けるべきだったかなとな……」


 言いながら空いている手を、自身の腰に当てる魔王。そこは先程まで魔剣があった場所だった。それを見て、沙綾は呆れたように返す。


「本当、今更ね。そして、今からでも遅くはないわ。私を諦めてお帰りなさいな」

「それは、出来ぬな」

「あら、臣下の忠言を聞くべきだったと、悔いているのに?」

「悔いているが、こればかりは譲れぬ」

「何でよ……って私が、す、す、好きだからとかは、なしだかんね!?」

「はははっ。顔が赤いぞ、聖剣」

「っ!?」


 先手を打ったつもりが、盛大に自爆する沙綾を、おかしそうに魔王は笑う。


「確かに、そなたの事もあるがな。それ以上に、余にはやらねばならぬ事がある。故に、忠言を無視しようと進まねばならぬ」

「それは、世界統一……の事じゃないわね、何よ一体……」

「ふふっ。そなたはやはり賢いな。しかし、今は言えぬ。どうしても、知りたいというのなら、余の剣となれ聖剣よ。余と共に、この道を切り開いてくれるというのなら、全て話そう」

「うん、無理♪」


 にこやかに即答で断る沙綾を、だろうな、と笑う魔王。

 その笑いには、先ほどまでと違い少し元気が戻っているように、沙綾は感じられた。

 そして、魔王は沙綾を離すと立ち上がり、ドアの方へと歩いて行く。


「あら、今度は何処に行くのよ?」

「余は、数日ほど城を空ける」

「……えらく唐突に宣言するわね、アンタ……」


 何の脈絡もなく飛び出した台詞に、呆れたように返す沙綾。


「なに、少々人を探しに行くだけだ。すぐに戻る」

「はいはい、ごゆっくり~。何ならそのまま、魔国領へお帰り下さい」

「寂しがるなよ、聖剣」

「いや、人の話聞きなさいよ……、全然寂しくないってのよ」


 ふふっと笑う魔王に、ウンザリした様な顔で応じる沙綾。まったく、どうしてこの変態はこうも打たれ強いのか、あ、変態だからか。

 そうこうしていると、魔王は執務室を出ていってしまう。

 沙綾は、それを面白くなさそうに見送り、


(寂しくなんかないし、誰が寂しがるってのよ、本当……)


 心中でそう愚痴りながら、再びソファーへうつ伏せに横になる。

 妖精さんも今は何処かへ出かけていて、沙綾は一人きりだ。


(……意外、ここってこんなに広かったのね……)


 普段意識していなかったが、執務机と椅子、ソファーと祭壇があるだけで、余計なものはなにもない。物が無いだけに余計に広く感じられる。そんな簡素な状態に魔王の執務室として、これはどうよ? と眉を顰めたくなる沙綾だった。

 

(でも、いつもはそう感じなかった……妖精さんがいたし、アイツもいたし……)


 そこまで考えて、頭を大きく左右に振る。


(……何を考えてるのよ、私……。クソッ。あの馬鹿が変な事を言って行くから、余計に気になるじゃない!!)


 意識してしまえば、気になってしまうのは仕方がない事だった。普段通り、何も言わず出て行ってくれたなら、数日ぐらい来なくても、そう言えばアイツいないなー、程度で済んでいたのだ。

 それなのに今日に限って、言い置て行った。それも、おまけの台詞付きである。意識しない方が無理だった。


(あ~も~、何だってのよ、本当!! 妖精さん、お願いだから早く帰って来てぇ~)


 沙綾のその悶々とした思いは、数時間後に妖精さんが帰ってくるまで、暫く続くのだった。

 勿論、帰ってきた妖精さんが沙綾に、理不尽に八つ当たりされたのは、ある意味お約束であった。

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