第5話シン

空牙なんていなければ…

ダメだ!!そんなことを考えては!!

香奈さんと二人でいられる…

空牙のお陰で僕は感情をてに入れた!!

これからも卒業までずっと一緒に…

………

空牙さえいなければ……

「どうした氷治、そんな怖い顔をして」

「いや、何でもない…」

一瞬、自分の世界に入り込んでた気がする。

「ねぇ、空牙…聞きたい事がある…」

「ん?なんだ?」

「もし、空牙が好きな人が別の人と楽しそうに話してたら…どうする?」

僕がそう質問すると…

「俺もそのなかに入り込む!!

そいつが俺の嫌いなやつならぶっ殺す!!」

「そ、そうなんだ…」

なぜ、空牙を憎んでるはずなのに空牙に聞くのか…

「そうだ!後で二人で話し合おぜ!!」

「いいけど…」

話しとは何か。

授業が終わり空牙が指定した場所に指定した時間で行った。

そこは学校のそばにある寂れた小さな小屋だった。

そこに空牙はいた。

空牙が真剣な面構えだった。

「単刀直入に用件を言うと、お前…香奈の事が好きだろ?」

突然そんな事を聞かれて一瞬固まった

「好きだよ」

僕は自分に【恐怖】した。

本来なら慌てて否定したり、聞き返したりするのが普通だと思う。

だが、自分は違う。

怖いくらい【冷静】だ。

「俺のこと…邪魔だって思ってるか?」

「……まぁ」

素直に返した。

それしか出来なかった。

今の空牙には嘘は通じないと思った。

「なら、これをやるよ。

使うか使わないかお前次第だ」

そう言って空牙は僕の方に何かを投げった。

カラーンと鳴り響いた。

僕はその物を見た。

そこには鋭く研がれたナイフがあった。

僕は理解した。

してしまった。

これで空牙を刺せということか。

恐る恐るそのナイフを手に取る。

今までにない汗と【緊張】が僕を襲う。

もう一度空牙の顔を見る。

その顔は覚悟を決めた顔のようにも見えた。

「うわあぁぁぁ!!」

僕は行きよいよく飛び出した!!

頭のなかはもうなにも考えられるず、ただ空牙に向かってはしるだけ!!

僕の手には今ナイフがあり、その刃先は空牙に向かっている!!

ブスッ!!

気がつけば僕の全身が空牙の返り血で染まっていた。

空牙はそのまま倒れ込み、辺りは静寂に包まれた。

全身から汗が流れ、空牙の血と交ざり流れていく。

「はぁ、はぁ、はぁ」

心臓が物凄い早さで動いてる。

汗と血が冷えて少し寒い。

そんなことを考えていると遠くからサイレンの音が聴こえてきた。

振り向くとそこには香奈さんの姿が…

その顔は空牙の姿わ見て驚いた顔でも、僕の姿を見て恐れている顔でもない。

その顔はこの出来事が起こることを知っていたかのように冷静で冷たく、悲しみに包まれていた。

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