【第四章 回想、悲嘆、涙……そして俺の決意】

清らかな涙

「よう」

 通りのかどで待ち伏せしていた俺が姿を見せると、その人物の表情が険しくなった。俺がエアガンで撃たれた時にいた、眼鏡の男性だ。彼の名前は凪良なぎら とし。凪良さんのお兄さんで大学二年生。ただし凪良さんと同様、五月以降は登校していない。

 探偵をしている俺の母さんに凪良さんについて調査してもらったんだけど、結構驚いた。きな臭い情報が次々と出てくる。最近、街の中心の大きな郵便局の隣に宗教団体の本部ができたんだけど、そこにも関わっているらしい。ただ、そう言った第三者からの情報だけでなく、当事者から直接話を聞きたかった。俊さんは不良を数人引き連れている。今日は妹はいない。

「まだやるつもりか?」

 俊さんは威嚇するように俺に訊ねる。

「いずれはな。でも今日は、会話しようぜ」

 不良の一人が彼の前に立ちはだかった。その顔を無造作に掴む。

「うぅ、ぐっ、や、やめ」

 不良はジタバタと足掻くけど無駄だ。そのまま真上に持ち上げる。十秒ほど経ってから手を離す。僅か一〇センチの高さから落ちてよろめいているのは苦痛の所為せいだ。握力九〇キロのアイアンクローはこたえただろう。もっとも、握力九〇キロというのは以前の話。今の俺は悪魔憑ルディンメになったことで、更に人間離れした身体からだになっているらしい。

「話し合いに来たから手加減しているんだけど、潰さないと分からないか?」

 不良は青ざめた顔で横にどいた。俺は不良たちを無視し、俊さんだけを見る。この兄妹の口調や物腰はガラが悪くない。おそらく本来は不良じゃないはずだ。根っからの悪人でもないだろう。そんな彼らが不良たちと行動を共にし、悪事を行っている。そこには必ず理由わけがある。

「何の話をしたいんだ?」

 俺を睨みつけながら俊さんが訊ねる。

「あんたたち兄妹が何でこういうことをしているのかなあって」

「聞いてどうする?」

「さあ? 何もできないかも。でも知っておきたいんだ。クラスメートだしな」

クラスメートだ」

「学校に戻ってくれば、クラスメートだよ」

 俊さんはわずかに迷った後、結論を出した。

「ふん、話すくらいはいいだろう」

 俊さんは不良たちに「この男と話をしてくる」と言い、俺たち二人だけで喫茶店に向かった。

 俺には俊さんが話したがっているように感じた。


    ♦ ♦ ♦


「こちとら慈善事業じゃねえんだよ!」

 そう言って凪良 鈴の父親、凪良なぎら 健司けんじをぶん殴ろうとした男はもり 俊夫としお、下っ端のヤクザだ。場所は凪良家の自宅。暴力団『大泊組』の森と、彼の兄貴分である辻岡つじおか 圭吾けいごが乗り込んで来ていた。しかしそのこぶしは飛び込んできた鈴の顔に命中。

 ポタ、ポタと鼻血が床に落ちる。彼女は鼻血を流したまま、父親の前に立ち森を睨みつける。

 凪良 健司の経営している会社はいわゆる『町工場』だ。他社製品の部品となるような微小な金属製品を生産している。近年赤字が続き、銀行が融資を渋りだした。そして手を出したのが闇金融。法外な金利に債務額はたちまち膨れ上がった。彼はやむなく従業員を全員解雇、事実上の倒産だ。最終月の給料は未払いのまま。学費を納められず、兄妹は退学を選んだ。

「またてめえかメスガキ、ウゼえんだよ!」

 森は鈴の顔を何度も殴る。相手が女でも容赦しない。一方で鈴も暴力を腕でガードすることもせず、顔で受け続ける。これまでの数日間の暴行で顔に痣ができている。痛みが最大になるように。普通なら受けた痛みは時と共に薄れていく。しかし鈴が望んだ場合、その痛みは減らない。むしろ新たに受けた痛みの分が蓄積していく。それが凪良 鈴の『願命』だ。

(今日で一週間、そろそろ……)

 意を決した鈴がこぶしを握り、森に殴りかかる。一方的になぶられていた少女の予想外の反撃に森は不意を突かれたものの、女のこぶしだと高をくくっていた。

「ぐっ、うがあ〜!」

 腕から噴き出した水蒸気が雲になり、雲の中から突き出す鈴のこぶしは、まるで蒸気機関車だ。鈴は悪魔憑ルディンメになったことで身体能力が飛躍的に上がっていた。森には避けられない。それだけなら鈴のこぶしは強力なパンチに過ぎなかったが『願命』による凄まじい衝撃に森は全身の筋肉が反応、本人の意志と無関係に体が跳ね上がって糸の切れた操り人形のように床に倒れた。

 鈴が『願命』を行使した場合、自分が受けた痛みや他者から吸収した痛みは蓄積される。受けて丸一日、二四時間以内には痛みは放出できない。二日前の痛みはそのまま放出できる。三日前の苦痛は放出時に二倍になる。四日前のは三倍、五日前のは四倍。一日の間に受けた暴行の痛みが、たった一発の打撃に集約されれば威力はどれほどのものになるか? それが一週間分になれば、一日分の一倍+二倍+……+六倍=二一倍になる。たった一発の反撃を食らった森は悶絶し、涙を流し、全身が痙攣を起こし泡を吹いて気絶した。ズボンの股間から床が濡れていく。

 明らかに一発の反撃では有り得ない現象だ。何しろ毎日、鈴は血を流し、痣を作ってきた。それらの痛み三週間分相当だ。一方で鈴が受けた痛みは二一日分ではないものの、昼も夜も、決して苦痛が癒えないことを選び、それに堪え続けてきた。覚悟を込めた渾身の一撃だった。

 それを見た辻岡が鈴に訊ねる。

「女……一体、何をした?」

 辻岡は森のように叫んだりはしない。しかし、その低い声音こわねには暴力に慣れた者でさえ震え上がらせるような静かな凄みがあった。

「ドレイド、出ておいで」

 鈴のその言葉が何を意味しているのか、誰に向けられたものか、その瞬間には誰も分からなかった。しかし鈴の全身が虹色に輝き出した。そして、その体から人型の影が分裂し現れ、もう一人の女性の姿に変わる。その異常な光景には、豪胆な辻岡でさえ度肝を抜かれた。

 それは黒服の、二十歳くらいの女性だった。

「初めまして、悪魔ディンメドレイドと申します」

「鈴、これは一体?」

 父の凪良 健司が訊ねる。

「アクマよ」

 鈴は父に振り向いて答えると、再び辻岡の方を向き、睨みながら言った。

「あたしはアクマと契約したのよ。家族を守るためなら何でもするわ。お前たちヤクザのことを人はアクマと言うけど、所詮は人間。これが本物のアクマの力よ!」

 辻岡は目の前で何が起こっているか理解を試みたが、理解できない。ただ、これまで通りに力任せの暴力だけでは借金の返済を迫るのが難しいと感じた。対策を練って出直すべきだろう。

「日を改めよう」

 辻岡はそう言うと、森を叩き起こして帰って行った。


「こいつは石田いしだ 無全むぜんと言う」

 数日後、辻岡は連れてきた男を凪良 鈴たちに紹介した。

「初めまして」

 石田が鈴に挨拶する。三〇歳近く、レゲエミュージシャンのようなウェービーヘア、そして無精ひげ。そのマスクは甘さとワイルドさが同居している。辻岡は鈴の不可思議な能力について結局理解できなかったが、その力を利用して借金を返済できないかと鈴に話を持ち掛けた。鈴は彼女の能力が対象にダメージを与えること、あるいは対象の痛みを吸収できることを打ち明けた。と言っても能力の全貌は明かさない。一方でこの『願命』の様々な可能性の模索していた。

 鈴の能力を聞いた辻岡の提案は、一つは大泊組の下部組織となる不良たちと手を組み、恐喝などで金を集めること。そして二つ目、不思議な能力の彼女を教祖とした宗教団体の創設。そのために霊感商法で荒稼ぎしていた石田を鈴の補佐に付けた。大筋を決めた後、辻岡は鈴を『教祖』として雇う賃金を提示した。ボロ儲けが予想される宗教団体の収入に対して、その金額は借金を一生完済させないものだったが、選択肢など始めからなかった。


    ♦ ♦ ♦


 俊さんの話は終わった。俺は凪良さんたちに対してどうすべき? 何ができる?

「俺はあんたたちの悪行を止める」

 心はまだ迷っているのに、自然とそんな言葉が出た。

「そうか。ぼくたちはやっぱり敵なんだな」

 俊さんは険しい表情になった。

「こんなこと、俺には言う資格がないだろうけど、あんたたちが幸せになれたらいいな」

「言うな! もう遅いんだよ。今更、幸せなんて。ぼくたちは後は堕ちるしかないんだ。そして、お前には言う資格がない!」

「だよな」

 俺たちは喫茶店を出た。

「次に遭った時は、闘いだな」

 俺は声を掛けたが俊さんは答えなかった。そのまま振り返らず、去っていく。


    ♦ ♦ ♦


 新城が俺を追い越した。そのまま、更に俺を引き離す。俺は結局、新城に追い付けないままゴールした。三〇人中一一位か。

 体育の授業で一五〇〇走のタイムを測った。身体能力を隠して『中の上』を演じる俺は疲れた振りをして頼真の横に座る。悪魔憑ルディンメになる前からやっていたことだ。その隣で陸上部の宇都宮が肩で息をしながら寝転がっていた。宇都宮が喘ぎながら言葉も切れ切れに頼真に訊ねる。

「はあ、はあ、橿、練習してない、くせに、はあ、なんで、そんなに、速いんだ?」

「簡単だ。悪いことをすればいい。逃げ回って脚力が付くぞ」

「んなわきゃねー、陸上ナめんな!」

 ゴールした俺たちは運動場グラウンドの端、学校と外を隔てるフェンス近くに座ったり寝転んだりしていた。一方でクラスの女子は運動場グラウンドの俺たちの反対側、校舎の近くでバレーボールだ。試合じゃなくて二人一組でボールのパス。遠塚さん、運痴だからボールがあさっての方に飛んでいく。でも、それを拾いに走る水南枝は運動神経がいいから、どこに飛んでもちゃんと遠塚さんの方に返している。

「おっ、藤林。このスケベ! 誰を見ているんだ? 巨乳の澤崎さんか?」

 新城がニヤニヤしながら聞いてきた。それに対して頼真が微妙なフォローをする。

「いや、茅汎はきっと遠塚くんと水南枝を、娘を心配する母ちゃんの気持ちで見ているはずだ」

「さすが『おかん』!」

「……うるせえよ、お前ら」

 スケベと言われた方がマシな気がする。

「巨乳なら澤崎くんより、むしろ小西だろう?」

「……いや、小西のあの胸は巨乳じゃねえ」

 頼真の主張に、新城がゲンナリしながら反論した。柔道部の小西 つよしは体重一二〇キロのクラスの男子だ。そんなくだらない会話を続けていると、脚の横の地面で何かがコロコロと転がった。

「ん?」

 何気に目を向けると、一センチもない小さなボール。これは……

 すぐさま立ち上がり、背後に振り向いた。俺にBB弾を撃つ人間は一人しか心当たりがない! 俺の後ろ、フェンス越しに学校の外にいるのは凪良さんだ。両手にそれぞれ拳銃ハンドガンを持っていた。二挺拳銃デュアルウィールドか。

 右手にはドイツザウアー&ゾーン社のSIG SAUER P320 MHSエディション。俺の個人的評価で世界最高のSIG SAUER P226と同ブランドの最新モデル。ただしP320のフレームはP226のような鋼鉄製ブルースティールじゃなくてシンセティック・ポリマー(プラスチックのような合成有機素材の一種)、他にもストライカー方式、DAOなど最新技術をふんだんに取り入れている。

 そして左手にチェコ、チェスカー・ズブロヨフカ社のCz75。共産国時代に採算性度外視で製造された高品質の前期モデルは冷戦中の西側諸国で好評だった。民主化後の後期モデルは品質劣化し、製造終了した前期モデルはマニアに高額取引される。

 もっとも、それらの銃の、今言った品質クオリティはあくまで実銃リアルガンのもの。それを元にしたエアガンとは関係ない。しかしガンマニアじゃない凪良さんがそんなマニアックな銃を敢えて選択したのは、銃やエアガンについて充分に研究しているというアピールだろう。俺が彼女の兄と話をしたことは、おそらく知っているはずだ。俺の背後から俺に当てずに横の地面を撃った……俺への宣戦布告か?

 俺と凪良さんはしばらく見つめ合った。やがて彼女は踵を返して去っていく。そんな彼女の後を追う、体操服の少女。あれ?

 水南枝?

 何やってんだ!


「……とにかく、授業中はみだりに校外に出ないこと。分かったか?」

「すみませんでした」

 謝る俺の横で水南枝が泣きじゃくっている。

 去っていく凪良さんを追い掛けた水南枝、そしてそれを追った俺は、二人揃って種田先生に叱られた。水南枝は凪良さんに、復学するように説得したそうだ。事情を聞いた種田先生も、まだ泣いている水南枝には強くは叱らなかった。

「藤林、水南枝のことは頼む。次の授業は少し遅れてもいいぞ。数学の細井先生にはぼくの方から言っておく」

「すみません」

 種田先生が去った後の二人きりになった生活指導室、俺の横で水南枝はずっと泣いていた。


    ♦ ♦ ♦


「どうぞ」

 石田 無全は隣に座る凪良 鈴に流し目を使うと、静かに微笑んで彼女の前に優しくグラスを置いた。珈琲色の液体の中で氷が揺れる。中身はカルーアミルク、アルコールだ。

「あたしは未成年ですから」

 凪良はにべもなくそう言ってグラスを石田に戻す。小さいが洒落たフレンチレストラン。照明を暗くした店内は、家族ぐるみより恋人同士に相応しい。店は世界各地の様々なワインやカクテルも用意していた。『打ち合わせ』と称して石田が凪良をこの店に誘ったのだった。

「何を言っているんだい。ぼくたちは悪いことをしているのに。今更気にすることないよ」

 石田は微笑んだ。微笑みながら、内心で暗い嫉妬の炎を燃やす。いつか宗教団体を立ち上げ、教祖になることを夢見ていた詐欺師の石田は、凪良を教祖とし、彼を補佐とする大泊組の指示が気に入らなかった。かと言ってヤクザに文句を言う度胸はない。そこで凪良を籠絡し、自分の指示に従わせようと目論んだのだった。数々の女性をものにしてきた彼にしてみれば、たかが十代の少女を落とすなど造作もない。カルーアミルクは甘いカクテルなので酒に慣れていない者でも飲みやすい一方、ビールよりもアルコール度数は高い。酔い潰してしまえばどうにでもなると高をくくっていた。

 彼は読み違えていた。恋愛に疎いが生真面目な凪良は、彼が今まで射落としていた甘いマスクと甘い言葉で簡単に落ちる軽い女たちとは違う。むしろ軽薄そうな男には警戒心しか抱かないタイプだ。普段は落とせる女か見極めてから近付いていた彼も今回は目先の欲に囚われ、いつもなら見抜いていたことを見落としていた。

「君みたいな可愛い子は、色んな男に言い寄られたんじゃないのかい?」

「別に」

「そうかい? でも自分に自信を持っていい。ぼくたちは勝ち組だ。騙される方じゃない、騙す方なんだよ」

 人は褒められるのに弱い。加えて石田は『同じ立場』を強調し共感を覚えさせて距離を縮めようとした。男女関係に疎い凪良も慣れない褒め言葉に戸惑いつつ、石田に口説かれているのだと朧気おぼろげながらも気付く。しかし騙す人間を「勝ち組」と評する石田に強い不快感を持った。

 凪良は『願命』で信者から肉体的苦痛を取り除くことで「奇跡だ」「女神様」と崇拝されている。しかも信者の中では敢えて肉体を傷付け、凪良が苦痛を除去することで『女神様の奇跡』を体験する強者つわものまでいる。そのことが彼女には耐えられない。そうやって騙す行為を『勝ち組』と呼ぶのは、とても受けれられなかった。

「あたし、帰ります」

「待ちたまえ、これはノルマだ」

 石田はにっこり笑ってカルーアミルクのグラスを軽く持ち上げて振る。

「一五歳ですからお酒は飲めません!」

 彼女の叫びに周囲の客が何事かと振り返る。石田は狼狽えた。

「鈴ちゃん、大声でそれはマズいよ」

 石田が小声で注意するが凪良は聞くつもりはない。激昂した演技はすべて計算ずくだ。それより、こんな男に『鈴ちゃん』なんて呼ばれたくない。それがとても不快だった。彼女は何も言わずにレストランを出た。

「ま、待ってくれ!」

 石田がレストランから飛び出してきた。そして凪良を抱きすくめる。

「離してください!」

「いいや、離さない」

 抱き締める力を強め、胸を揉みしだく。それは優しげでも官能的でもなく、ただ荒々しい。石田は焦って余裕がなかったのだ。ずっと耐え忍んでいた、凪良の中の何かが決壊した。

「ぎゃっ、うぐぐ!」

 エアガンから襲い掛かった『願命』の激痛に、石田は涙を流してその場に崩れ落ちた。

「辻岡さんに報告しますから!」

「待で……それ……やめ……!」

 石田の制止を無視してそこを離れ、暴力団『大泊組』の幹部、辻岡に電話した。辻岡を味方だと思っていない。逆に味方に付けないとまずいと考えている。辻岡が石田側に付けば凪良はヤクザに盾突いたことになる。だからこちらから先に泣き付いて味方に付けるのだ。電話で凪良は辻岡に、石田に迫られ『うっかり』能力を使ってしまった、手加減はした、そして二度とこんなことをされたくないと告げた。泣く演技をしようとしたが、本当に涙が出てしまった。

 電話を切り、石田に触れられた胸に自分の手を当てる。まだ感触が残っている。それは、恋人同士のような甘いものではなく、虫が素肌を這ったような不快感しかなかった。

 ふと、見上げる。そこにあるのは星空。満天とまではいかないが、灯りの消えた民家の狭間から、多くの星々が煌めいているのが見えた。

「綺麗……」

 そう呟くと再び涙がこぼれてきた。

 美しい星々。

 それに較べて自分はなんと穢れた存在か。

 教祖として多くの信者を騙している。拒絶した石田を穢らわしいと思う資格があるのか? 凪良は涙を拭う。泣いてはいけない。被害者でなく加害者の自分は泣く資格はない。凪良は自分にそう言い聞かせる。しかし涙は止まらなかった。

「誰か……あたしを、助けて」

 悪魔ディンメの手を借りた者に、神は手を差し伸べるのか?

 騙された信者たちは偽りの女神に救いを乞う。ならば、偽物の女神は誰に祈ればいい?

 ふと、二人の元クラスメートが脳裏に浮かんだ。

 やめさせたい、と言った藤林 茅汎。

 学校に戻ろう、と言って泣き出した水南枝 莉乃。

 世界が彼女を見捨てても、二人はまだ見捨てないのか?

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