心からなんて笑ったことはない
そいつは制服のリボンの色とスリッパの色からして一年生だった。入学したての一年が三年の俺に話しかけるのはかなりの勇気のいることだったと思った。
「なんで、笑わないんですか?」
そいつが同じ質問を聞いてくる
「笑ってるが?お前の目おかしいのか?」
「心から笑ってないですよね?なんでですか?」
心から?
心からなんて笑ったことがない、笑い方がわからない
そもそも、笑うってなんだ…わかんねぇ…
小さな時から人への関心が薄かった。理由は俺と年子の弟がかなり手を焼くやつで親は俺ではなく弟の方を優先した。小学校に入学してテストで百点を取って帰ってきても弟の方を見ていた。別に寂しいとは思わなかった。いつの間にか親が俺の方を向かないのがどうでもよくなっていたんだ…
人への関心がなくなったのはそのころだと思う。
自己暗示 Saito @saitonano1040
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