Rabbit hole 四

今日の時間割は1時間目・国語、2時間目・算数、3時間目・理科、4時間目・社会、給食とお昼休みと掃除、5時間目・体育、6時間目・道徳。

お昼過ぎたら後は楽や。うん、負けへん。


1時間目・国語

漢字テストをやった。10点満点中10点。えへへ。

「緋桜さん、今日も満点ね」

「ひーちゃんすごいね」

「ありがとー」

漢字はなんかお母さんに幼稚園の頃から難しいのまでたくさん書く練習させられてたからけっこう簡単。先生にほめられた、うれしい。

「字もきれいね、花丸です」

「えーずるーい」「先生、おれは?」「松吉くん、ここ出ちゃってる」「あ…」

そんで、教科書の話を読んで話した。

もう何回かやっとる『初雪のふる日』。作家さんは安房直子(あわ なおこ)さん。

「これは、どういう話なのか、みんなわかるかな~?」

「「はいはいはいはい!!!」」

「女の子が連れていかれそうになる話!」

「女の子がウサギと遊ぶ話」

「冬になるちょっと前の話」

「女の子があの世に行きかける話」

「ウサギが冬を連れてくる話」

先生がみんなの意見を黒板に書いてく。

ウチはなんか…。

これは女の子がけんけんぱしとるうちになんかめっちゃ遠くに行きそうになる話。手は挙げんけど、正直、つまらんくて、ちょっとどうでもいい。

大した敵もおらんし、特に黒幕とか黒幕の黒幕とか、話が逆転したりとかせーへん。なんか読みにくいし。マンガやゲームの方がおもろいし、わかりやすい。何より、石けりなら石けりしてほしい。よーわからん…。

「登場人物は、誰がいた?」

「はい、女の子」

「ウサギ」

「おばあさん」「どっちの?」「おまじないの」

「たばこのおばあさん」

「遠くの村の人」「ちがう、遠い町の人」

「犬」「おかしやの犬」

ウサギもなぁ…なんかもっとパッとせーへんかな…。雪の精霊みたいなとこあるけど、倒せへんし。

「女の子は村に住んでたけど、最後に出てきたのは町の人たちだったね。他に呼び方が変わったり、この登場人物をもっと詳しく言える人?」

『真っ白いうさぎ』『雪うさぎ』『白うさぎ』…わからんことが黒板に書かれてく…。何が違うん?

「じゃあ、出てくるもので重要そうなもの、キーワード、あるかな?」

「はい、雪」「白坂さんありがとう」「ウサギ」「ウサギ出たじゃん!」「ん~でもありがと、こっちにあるからそれ以外ね、他に?」「石けり」「石けりは他の言い方があったね?何があった?」「…石けり?」「アホ」「けんけんぱ」「片足、両足、とんとんとん」「うん、望月くんいい意見だね。今のはいいよ。みんな、少し長くてもいい、気になるとこや重要だと思うところはあった?」「歌」「ヨモギ」「春」「バスの停留所」「ああ、中川くんもいいとこに気づいたね、他に?」

「ばあさん!」「たばこのババア!」「たばこババア!!」「たーばこバーバ♪」「「たーばこバーバ♪」」「「「たーばこバーバ♪」」」

「はーい、静かにー!!!!!」

「「「「「「「………………」」」」」」」

……………………。

こーゆーアホなんはさすがにどうにかならへんかな…先生が止めるからええけど、このアホら相手にするのってほんま気分悪くなる。注意するとあげ足取ってくるし、嫌や。もっと叱らん先生もちょっと悪いと思う。

「他に?」

「先生、ここに無い言葉でもええ?」

「?、何?」

「神隠し」

「よく知ってるね。うーん、でもこの中にある言葉でなるべく話をすすめてこーな」

「……はい」「ありがとう」

知っとる、神隠し。ホラーとかでよく聞くわ、ウチも知っとる。でも、だからなんやのん…。

正直、ウサギは好きやし、連想ゲームならそこそこ好きやから、永遠やれんねんけどなぁ…。不思議の国のアリスの話とかと一緒にしたらめっちゃ話まだ盛り上がる思うねんけど。おもろない。おもろないからみんなもアホなことするんやと思う。先生はわかってへんと思う。

『神隠し』ダメってのもやっぱりよーわからん。主人公も弱い、なぞなぞ一つで出れたり出れへんとか…。こういう意味不明なとこが国語、やっぱり嫌いや…。

ほんまなら手挙げた方が先生も喜ぶし、ウチもほめてもらえるんやろうけど……ハズいし…。



2時間目・算数

小数点のかけ算。

答えを出した後は小数点の場所をちゃんと間違えずにつけなあかん。ちょっと難しいけど……ここかな。

「ちがーう」「左、左!」「もうひとつ!」

え。

「緋桜さん、おしい。右から3つ目に点があるから…もうひとつとなりですね」

あかん、はずい。

残りのHPとかMPとか、あとどれくらいの経験値、戦闘、モンスター倒せばレベルアップかとか数えるのは割と好きやねんけどなぁ…。

国語はまだ漢字できてるからあんまりお母さんから言われることないけど、算数はあかんねん…。

こんなんかけ算できて、数字はちゃんとできてるんやし、ダメかなぁ…?

あ、あかん…あかんあかん。

グッとこらえる。

そして、プリントで問題が配られる。

「できた人から持ってきて~」

「………………………………………………………………………………………………………」

……………………。

むずかしい…。

わからへん…。

「……………………………」

「先生、」

「あ、吉川くん、早いねぇ。……、…、…、…、……、…、…。はい、OK」

「すげぇ」「はえー」「…」

………………………………。

「先生」「はい。……、…、…」……58×0.29……………「先生、できました」…「…、…、…、…、……OKです」………8×2…5×2………「はい」「…はい、休み時間まで待っててね」………8×9……7をとっとく、7をとっとく……………………5×9ってなんやったっけ…9×5の反対…………「OKです」「やーった!!カッシー?」「これ、おとなしく席に戻る」…………、………。…次のは…………7.1×1.35……逆にしよ………これはそのまま…135………7の下、3の下で…………「はい、」「はい、」……「先生~トイレ行っていい?」「もうすぐ20分休憩だから、がまんして。うん、石脇くん静かに並んでね」……………………終わった、次……………………。……………………、………………、……………。…………………………「はーい、もうすぐだから、席にちゃんと座る!誰がボール持っていいって言った?20分休憩なしにするよ?!」………………、…………………………………、…………終わらん。…………………………、……………、………………、………ううん………………、…………………、………、……、……、………、…………、……………、……………


「ひーちゃん…………大丈夫?」

「大村ちゃん………」

大村ちゃんも、もう終わったんや…。ウチ、まだ3問も残っとる…。

……………。

あ………あかん…。

「だ、…(だいじょうぶ)?」

「(うん、ありがとー)っ、ひっ…っ、……、…」

あかん、ダメ、ダメやのに……。

「っ………っ……っ…ひ……っ………~……っ」

はな………すってもすっても………出て……あかん…ティッシュ…ランドセル…………あ、ランドセル、汚れる…お母さんがくれた……中が………あかん……………


キーーーーンコーーーーンカーーーーーンコーーーーーン…


「はい、残った人は次の算数の時間までに宿題ね」

「「はーい」」

「ひーちゃん、保健室、いこ?」

「う、、ぐ……、、んっ」

……………。


20分休憩はせめて大村ちゃんに教えてもらって宿題なくしたかったのに…。大村ちゃんはみんなが気づかへんうちにウチを保健室へ連れてってくれた。

保健の先生は、ティッシュ箱を傍に持ってきてくれて優しかったけど、すぐに机に戻って仕事してた。



3時間目・理科

ウチらの体と運動。

骨格とか怖い…筋肉も…。なんでこんなんの名前覚えなあかんのやろ…。

「みんなの体には骨があります。体を支えている大事なものです」

骨を作っとるんはカルシウムやろ?今日も朝飲んだし、毎日給食でも牛乳出てるやん。そこまで知っとる。骨折とか絶対したくないなぁ…。

「体を動かせるのは筋肉があるからですね。筋肉は骨の周りにこんな風にあります。そして~?、こうして腕を曲げると、こっちは縮んで、こっちは伸びてます。ちょっと今自分の腕で触ってみてね」

触ってどうなるん…?ぜい肉でなければ別にええかな。そんなに食べもせんし、ウチはそんな太らんし。あ、好き嫌いはせんよ?お母さんのご飯おいしいし。まぁ、ゲーム好きで外あんま行かへんし、カロリーとか気にすることはあるけど。

「先生~、磯俣くんちぢまなーい」「それはお腹だからだねー」「先生~、磯俣くんのお腹はなんでちぢ……」「ストーップ、石脇くん、この前先生なんて言った?」「・・・」「……石脇くん」「・・・」「石脇くん、人の気持ち、考えよう?」「……はい、…」「先生、石脇くんがみんなを楽しくしようとしてるのはわかってる」「はい…」「もうしないね?」「はい…磯俣、ごめん」「・・・」「はい、泣かない泣かない。大丈夫?保健室でなんなら休んでいいよ?。…………。えらいえらい。気分悪くなったらいつでも言ってね?」「・・・・・・」「はい、じゃあ続けるね~?、……ごめん、みんな、どこだっけ?」「先生~骨、骨」「違う、そのあと、筋肉」「マッソー!マッソー!」「関節がまだです!」

……………………。

磯俣くんかわいそう…。石脇さいてーや。あれでなんで男子みんな笑うのかまったく知らん。男子みんなアホや…。

「みんながこうしてグーパーしたり腕や足を曲げたりできるのはそこに関節があるからですね。ちょっと隣の人と手の関節がいくつあるか数えてみようか。手首はいいからねー。いくつあるかプリントのここに書いて~」

なんやろう…。いちいちそんなん数えんでも…。

大村ちゃんが普通に見てくるし、見せてくるので、一応数えた。

14だった。

だからなんやの…。


「明後日の理科は理科室で人体模型を見ながらみんなの体がどんなものか見てみましょう」

えーいらへん、そんなん…。

もし動いたらどないすんのん…。いや、ないってわかっとるけど…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る