セモリイェール機の決着
「
「まだ
それは、狩っていたつもりの
プミアィエニの脳内で機械によるカウントダウンが始まる。彼女が最初から想定していた、
かつてセサ人が居住していた部屋に
「ううっ、くそ!」
セモリイェール
やられる‼
セモリイェールが敗北を覚悟した瞬間、前方で爆発が起こった。フレスピネス機だ。フレスピネス機はまだ無事だ。しかし更なる爆発で四散した。
「フレスピネス!」
減速が間に合わない! しかも背後からプミアィエニ機が迫る。セモリイェールは咄嗟の機転でむしろ加速し、薄れ始める爆炎の中に飛び込んだ。迷う間もない〇.一五秒の即断だ。飛び散ったフレスピネス機の破片が次々と高速で機体に衝突する。が、無事に爆炎を抜けた。
「な、何が起こった⁉」
フレスピネス機が何故撃墜されたのか、セモリイェールには全く見当も付かなかった。フレスピネス自身も理解していない。撃墜前の爆発は
三機の
「セモリイェール、あなただけでも逃げ切って!」
撃墜されたフレスピネスは立ち上がってセモリイェールの隣に立った。セモリイェールは顔に着けた
「やられてたまるかぁ〜‼」
セモリイェール機は通路を闇雲に逃げ回った。後方のプミアィエニ機の
「反撃どころじゃねえぜ!」
この時点ではセモリイェールもフレスピネスも予想していなかった。
セモリイェール機はプミアィエニ機の猛撃を
♦ ♦ ♦
「何をしている⁉」
部屋に入ってきたリアサターセさんはミア/俺の姿を見て息を飲んだ。続いて現れたスフォーセネさんもミアを見て固まる。
「まさかプミアィエニ、君が⁉」
驚きでしばらく固まっていたスフォーセネさんがようやく言葉を絞り出す。
ミアが
ミアは基地の近くの廃屋に潜んで
でも
念じただけで遠隔操作する能力。そして自在に視界を得る能力。
それだけは、誰にも知られてはいけない。
ミアは何故かそのことを敗北よりも恐れていた。だからその能力が万が一バレる
「もう少しだけ。今は闘いに集中したいの」
ミアはそう言って、演技でなく本当に
「プミアィエニ? 君はどうやって操作してるの?」
バレた⁉
「どういうことだ?」
訊ねるリアサターセさんに、スフォーセネさんは手にした機械を見せた。電波探知機だ。
「あたしはこれで
「えっ? ……えっと、あの、その、」
ミアがあたふたしている。
ミアは別の場所に置いた囮用の
「言いたくないの? いいわ。リアサターセ、このことでプミアィエニを追及しないで」
「う、分かった」
リアサターセさんは渋々といった感じで了承した。
「プミアィエニ、存分にやりなさい」
スフォーセネさんが言った。リアサターセさんとスフォーセネさんはただ黙って闘いの行く末を見守ることにしたようだ。
♦ ♦ ♦
「くっ、しぶとい!」
プミアィエニ機の
そして気付く。彼女は叫びながら
「セモリイェール、あなたはここに誘導されているわ!」
「フレスピネス、お前は何故分かったんだ?」
「敵は分岐点の直前で必ず攻撃をしているわ。道を誘導するために。
逃げてセモリイェール! 敵の追跡を振り切って! 最悪、撃墜されてもいいから!」
「フレスピネス! 一体どういうことだ?」
フレスピネスの言葉を聞いて、それまで黙って成り行きを見ていた
「この地点だとセモリイェールは逃げ延びられる。敵はセモリイェール機を敢えて生かしています。何かに利用するつもりでしょう」
「どう利用するんだ? そもそも我々を生かすメリットがあるのか?」
「それは私にも分かりません」
プミアィエニがセモリイェールよりもずっと
「ううっ、振り切ろうとしてるができねえ‼」
追う側から逃げる側に変わることで行き先を自由に選び、用意された罠を避ける。そのはずだったが逃げてもなお、プミアィエニの術中に嵌まっている。
追い込まれた先は行き止まり。ただし突き当たりでは壊れたエレベータの入口が口を開けていた。相継ぐ右折と左折で速度が落ちていた
セモリイェール機の背後に再びプミアィエニ機が姿を表した時、セモリイェール機の前方左側の壁が爆発する。背後からの攻撃ではない。建物の外から再び【
「墜ちろぉ〜‼」
セモリイェール機の
プミアィエニは外側の
セモリイェールの眼に映ったのは建物の外、地球よりも濃い青色の空。
その空には急接近する
「助かった……逃げ切ってやったぜ!」
セモリイェールはホッとするが、安心するのは早い、と気を引き締める。
次の瞬間、セモリイェール機の背後で建物の穴から現れた二機のプミアィエニの
「なに⁉」
爆発の炎に二条の光の線が何度も現れたのだ。破壊された
増援部隊は次々と撃墜されていく。セモリイェール機とプミアィエニの
プミアィエニはこのためにセモリイェール機を生かしていたのだった。
「俺を巻き込んでいい。撃て! 撃ちまくれ‼」
セモリイェールに言われるまでもなく、残り二八機の
セモリイェール機が爆発した後、二機のプミアィエニ機の姿はなかった。
撃墜できたと考えた者はいなかった。
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