小話集
水星 佑香
第1話 猫のギモン
おはようと、今朝捕まえたネズミを枕元に置いた。
怒られた。褒めてはくれない。
人間はネズミが嫌いなようだ。
お腹がすいた、だからトンボ捕まえて食べていた。
見つかった。また怒られた。
人間はトンボも嫌いなようだ。
じゃあ何をしたら喜んでくれるのだろうか。
とりあえず、足元に擦り寄った。
なでてもらえた。
ごほうびのご飯をもらえた。
人間が言った。
「いい子だね」
いい子。いい子とはこういう事だろうか。
何か違う。何か違うぞ。人間は。
ある時人間が四角い、ひらべったい、なんだか分からないが前足の指を動かして四角い光る物とにらめっこしていた。
何故こちらを見ない。
「邪魔しないで」
邪魔にされた。
まだ何もしていない。何故だ。
ある時私は水の入った大きな入れ物に落ちた。
驚きのあまり、入れ物から飛び出して家の中を走る。
家の中が濡れてしまったが人間は怒らず私の姿を見て笑っていた。あの、四角い光る物をこちらに向けている。
カシャと音がした。
なぜ笑っているのだ。
ある時、人間が私をカゴに入れ、黒い塊…クルマ?と言うものに乗せた。
独特の匂いがして気持ち悪くなったが私はどうすることも出来ずカゴで泣きわめいた。
ある場所につくと見知らぬ人間が沢山いる。
イシャ、と言う人にみてもらうと人間が言った。
名前を呼ばれるまで待てという。
何様だろうか。
イシャと言う人間が私にチュウシャをすると話していた。なんだそれはとイシャの前足を見ると変な形の先に銀色に光るハリ?が付いている。
恐怖でしかない。
終わった後も泣きわめいた。
人間は「元気だね」と笑っていた。
そうではない。何か違うぞ人間。
私は人間のような表情はできぬようで。
人間も捉え方が違うようで。
なぜ違うのだろうとギモンだった。
小話集 水星 佑香 @Mizuh0si_Ryuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。小話集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます